竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

がま渓流弧空硬中硬530

2019年10月15日 21時37分18秒 | インプレ
今夜のお題は、私の一軍ロッド、がま渓流「弧空」硬中硬530です。

はい。廃盤アイテムです(予備パーツ確保済)。


じつは、硬調バージョンの実戦投入はこの2019年が初めてだったんです。

何が言いたいのかというと、2018年は釣りに行ってませんから、2017年以前の釣行記は「弧空」とあれば全て「弧空硬中硬」で釣ってるってことです。


思えばこの竿にはずいぶんお世話になりました。それまで掛けても逃げられていた魚がこの竿に替えてから急に獲れるようになって来たんです。急流の中で掛けた25cm級を0.15号の通しであと一歩のところまで追いつめた時は我ながら自信のようなものさえ(過信かな)覚えてしまいましたね。なんせ4.5mの穂先を詰めて4.3mで使用してましたから

時はまさに零釣法真っ盛りという時代。

仕舞寸54cmでコレですからね、探せば他にもっといい竿があるだろうと探し回りましたが結局見つかりませんでした(朱紋峰凌は別ね)。

ワタクシが体験したことは、当時雑誌とか本に書いてあることとは異なる部分も相当あったんです。いろいろやってみましたが、結局のところヤマメ・アマゴという魚はブランクスの張りが強ければ首を振る、首を振らせてしまえば下流に下られる、そういう魚なんだと自分なりに納得する他なかったんです。ですから軽くて高感度な竿で楽をしたいのはヤマヤマなんですけど、そこは我慢するしかない、と。それが正解だったかどうかは今もって分かりません。ミミズ餌で口の横に掛けて、という釣り方もありますし…。


そんなこんなで2006年の遠山川釣行の時もコレの6.2mを改造して使用しました。硬調じゃないですよ、硬中硬です。

この時は三年魚とのリベンジは果たせなかったのですが、下流を向いての引抜もうまく行き、この竿のポテンシャルを確認できましたね。
この時は、穂先・穂持まで抜いて代わりにガチガチのソリッドを突っ込んで釣ったのですが、首振りが激しく泳がせは無理でしたが想定の範囲でした。その時は水量が多かったので却って丁度良かったのかな、と思います。



実際、管理釣り場などで試してみるとこの竿の粘りがどれほどなのか実感できます。0.125号を使用した意地悪テストでは、朱紋峰凌よりも細糸限界能力は上という驚くべき結果が出ました。
試しに動画配信サイトで探してみると、この竿で鯉を釣ってる動画がありました。おそらく粘りに関しては渓流竿史上最強の部類に入るのではないかと思います。

往年の銘竿、マミヤの「峽Vプロ」とか天龍の「GMモンスター」、「高木国保スーパースペシャル岩魚」、サクラ「金剛渓流」に匹敵するぐらいなのかも知れません。いつかオークションで手に入れて試釣してみたいですね。

とはいえ上記のような竿はオークションでもとんでもない値段が付く希少竿ですからなかなか手が出ません。ですから安価な弧空を改造して自分好みにして使うというのは賢い選択だと思います。敢えてお勧めはしませんが…散々褒めておいて何だ!と言われそうですが改造はお勧めしません。メーカーが作ってくれるまで待ちましょう。待てないという人は、どうぞ自己責任ということで…。


とはいえ、竿は粘りがあれば大丈夫というほど渓流釣りは単純ではありませんから、用途に応じた使い分けが必要になってくると思います。安くて低反発な竿の方が掛かってからのやりとりは無難だけど、引きを楽しむという面ではある意味高弾性の高級ロッドの方が小型でも楽しいと言えるかも。大物が掛かるとこんな軽い竿でパキーンと行かないかとハラハラする、そういうスリル要素も無くは無いし。確かにメンタル的には、安い竿握ってる時よりは、高い竿握ってる時の方が緊張感は高い…。「この竿で何が何でも獲るんだ〜〜」という気合いも漲ってくるし…安い竿なんかじゃマトモに集中できないよね。?ん?何言ってんだろ俺?

.........


いいじゃんか。向こうが溪のレーシングカーなら、こちらは溪のハチロクずら!!
こうなったらパンダカラーに塗ってやる〜〜!!

.........


ちょっとウイスキーが濃かったようですね…。4〜5月なら起こし虫に小針を使うため、6〜7月なら急流でバラさないために、弧空硬中硬の粘りは特に有効だと思います。究極の一尾と出会うための竿、そして食糧を確実に獲るというサバイバー御用達竿、それが、がま渓流弧空だと思います。

基本スペック


	全長			5.3m
	継数			12本
	仕舞寸			53.5cm
	自重			115g
	適正ハリス		0.15〜0.8号
	年式			FY2004
	生産国			日本

※特記事項:ノンズーム。回転トップ付φ0.8ソリッド穂先。黒檀製上栓。アルミ製尻栓。全節後端に面取処理。コミ調整済み(固着ほとんどなし)。
あの「がま渓流シルバー」で180gですからね、充分に軽いと言えるでしょう。

硬調との違いについて


硬調に比べるとややスローテーパーになっています。当然ながら仕掛を飛ばすパワーは硬調の方があります。硬中硬のスローテーパーを活かすためにも穂先の改造はマストだと思います。バットから曲がる感じです。ハリスは0.25号がベストマッチだと思います。

テンカラ竿との違いについて


確かに改造後はテンカラ竿に近い感じになりますね。でもバットが太いので片手では振れません。両手で振るスタイルになります。樹脂量は少ないようですから、粘りがある割には仕掛が飛びます。
じつは、餌釣りの軽い仕掛けが飛ばせる竿って短くて軽いテーパーラインも振れるんです。冨士式テーパーラインとかですね。破損覚悟ですがやってみた方はぜひ使用感をお聞かせください。

零竿との違いについて


さすがに0.1号で尺物を獲るのは無理だと言わざるを得ません、弧空では。ですが、いわゆる零竿よりも強いテンションでやりとりできます。“魚を黙らせる”力があるとでも言いましょうか…。零竿でも小継〜中小継のモノだとだいたい穂先〜穂持が弱いですね。コレだと軽い仕掛が絡みやすいし、仕掛が馴染む前のアタリで掛けるのが厳しいですね。

引抜について


撓み量がかなり大きい(=曲がりが深い)ですので、普通の抜竿のように片手で抜こうとしても抜けません。両手持ちでバットをかなり押し込む必要があります。また、イナシ・くぐらせに失敗して下流に流れた時はそのままシモまで送って竿が伸び切ったところで抜けば抜けます。ココが凄いところなのですが、細糸でもなかなか切れません。また、針のフトコロも開きにくいようです。

耐久性



2004年から使い続けていますが破損、固着知らずです。幾らかヘタって来てはいますが、まだまだガン玉7号の軽い仕掛が飛んでくれます。

穂先の改造について


2017年までは急テーパーに削ったソリッドを、先詰めした穂持を介して付けていました。ですが、先日紹介した弧空硬調と同様に、穂持ごとそっくり他の竿と入れ替える、コレが一番いいようです。

例の雪渓硬調ですね。

強度も相当ありますし…。そうすると全体的に硬い振り感になるのですが、掛けた時の粘り感は一緒です。コレでまずタモ入れがずっと楽になります。また、軽い仕掛が格段に振り込みやすくなりますし、急流にも仕掛が入れやすくなります。やりとりに関しても、無駄な遊びがない分、魚に翻弄されにくく主導権を握りやすいです。竿先への絡みもノーマル状態より少なくなっています。

食い込みが悪くなるのでは…という懸念があるかと思いますが、そもそも小針軽錘釣法では糸をたるませたまま流し込んでいく釣り方なので全く問題ありません。
と言いますか、どれだけ穂先が硬くても、水中糸の馴染み具合に最も影響するのは結局のところ竿先周辺の振動数なので、もともと固有振動数の低い弧空であれば相当穂先を強くしても仕掛馴染みを悪くする心配はない、ということです。

さらに言うと、仕掛が長くなればなるほど、また太くなればなるほど穂先は強くするべきだと思います。そうでないと、張らず緩めずの微妙なテンションをキープしづらくなりますから。

一般的には穂先の柔らかい竿が食い込みがいいと言われていますけれども、実のところ、ある程度流速のあるポイントでは、そうではなくて、仕掛馴染みの良い竿を使って流すとエサ・針・オモリが狙ったスジに乗ってくれる、仕掛が手前に寄ってくる現象が起きにくくなる、そうすると自然と魚の口に入りやすくなるということのようです。じゃあ仕掛馴染みの良い竿ってどんな竿?ってことになると思うんですけど、このへんのテーマについてはまた今度、ということで…。



穂先換装後の曲がりはこんな感じです。

ソリッドよりもチューブラーの方が仕掛が飛ぶと言われてますが、こんくらい急テーパーならソリッドでも実によく飛んでくれます。それでいて馴染みも良い♪
(雪渓は前期型の方がバネがあり、より郡上竿っぽい仕上がりになりますね♪)


〔反動抜きのしやすさ評価〕
ノーマル弧空硬中硬(5.3m)…………★☆☆☆☆
雪渓#1〜#2換装後(5.1m)…………★★★★☆


市販の穂先について


だいぶ前から廉価な中国製のソリッド穂先が出回っていますけど、結構当たり外れがあると言うか、芯が出てないものがあります。表面が黒く塗装されているからしばらくは持ちますけど、後でささくれの原因になります。こういう穂先はドリルで削っていくとあっけなくポロッと折れますね。

昔は日本製でも偏心とか偏肉と言って、ああいう芯が出てない穂先はあったんです。今はまず見かけないです。寸法も日新とかリコーとか安心して使えるものが0.1ミリ刻みで手に入ります。繊維も昔より均質になってると思いますね。これなど本当に隔世の感、という感じですが、まだまだソリッド穂先は技術革新でこれからも進歩していくと思いますよ。何年かすれば今よりずっといいソリッドが出るでしょう。ですから渓流竿メーカーさんには、テーパーのピークがティップに来るようなテーパー設計をお願いしたいですね。

総括



軽い仕掛をビュンビュン振り込んでいると、どうしても竿というのはヘタって来ます。これはもう仕方ないです。竹だってヘタるのですから。

ですから①良心的な価格である;というのは非常にポイント高いです。他にも②風のある日に思い切り振り込んでも折れない;③小針・小エサでも仕掛馴染みが良く、食い波に乗ってくれる;④掛かった魚が比較的おとなしく、泳がせやすい;⑤突然良型がダッシュしても、手元から曲がってくれるので楽に対処できる;⑥ワンランク細いハリスが使える;⑦スレバリでもバレにくい;⑧そこそこ飛ぶ;⑨スローテーパー;——と、いろいろと使うメリットの多い竿かと思います。

そんなこんなで、ワタクシの小針軽錘釣法で最も使用する頻度の高い竿となっています。


関連記事:渓流竿の性能比較(〜2019)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 19/09/02 オス祭り | トップ | 偵察(1) »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

インプレ」カテゴリの最新記事