竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

がま渓流「粋我」硬調50

2019年06月12日 21時33分36秒 | インプレ
初め「エアロダンサー」を買うつもりだったんです(Lね。硬い方)。2015年でしたか。お店に着いてさっそく継いでみると穂持〜#3がしっくり来ないというか自分のイメージと違う。カタログ見た感じでは「今度こそ!」って感じだったんですが。

諦めきれずに、ほんじゃこの新しく出た「粋我」を振ってみましょうかと。で、継いでみたら意外とイイ!
あれ〜、いつの間にこんなに粘りを出すようになったの?と。じゃ、「幻我」はどうなのよ、と継いでみたらこちらもイイ!
こんなにいい竿作るようになったんだから今日は一つ買って帰りましょうかと。いざ買う段になって、自分はズーム嫌いだから「幻我」にしようと思ったんですが、なぜか「粋我」の方が微妙にフィーリングがマイルドな感じがして、で、結局ズーム付きの「粋我」硬調にしたわけです。

粘り感を出すと操作感がダルくなります。ブランクも重くなりスペック的にもマイナスです。渓流竿というのはバスロッドやヘラ竿みたいにマニアックな世界ではないですから、重ダルな竿なんてよほどのベテランでもないと手を出しにくいし、販売店も売りにくいでしょう。メーカーとしては一番最後に回したいはず。それにあえて踏み切ったメーカーの姿勢に負けましたね。


フラッグシップは高スペックでビンビン、中価格帯は実釣性能でトルク重視というのが今後のトレンドになっていくと思います。自動車メーカーがF1に参戦するのと同じ、と表現したらいいでしょうか。今はもうただ並べておけば訪日客がお土産に小継竿(それも日本製)を黙って買っていく時代ですからねえ。釣具店と渓流ファンはもっともっと声を上げていかないと。


さて今回の「がま渓流 粋我 硬調50」、表記上は「硬調」となっていますが感覚的には中硬ぐらいでしょうか。勿論これは、ラインナップに7mがあるせいでこういう表記になっていると思います。「刀翠ZE」硬調51-56よりもワンランク柔らかい印象です。「七三調子」となっていますが胴もかなり曲がってくれます。最外層のカーボンテープは、元上のズーム部分までちゃんとナナメってていい感じです。一口に言えば「星煌峰」と「弧空」を足して2で割ったような感じですかね。「粋我」は「アクティブサス」を謳って前面に出してませんが粘りは申し分ないです。ハリスは0.15号程度まで余裕で使えます。


ズームに関してですが、そのズームのバットからキレイに曲り込みますので心配要りません。これにはちょっと驚きましたね。急流で掛けても「獲れる」竿です。パラボリックですがテーパーはあくまでもファーストテーパーで、テーパーのピークは#2に来ています(#3がやや強め、#2は細め)。高耐久ソリッド採用で#1のアソビはかなり大きめなのですが、それでもピン撃ちはかなりやりやすい方です。ただ、太糸で強引な勝負をされる方や、本格的な源流志向の方には他にもっといい竿があると思います。
#2と聞いてピンと来た人はかなりの上級者とお見受けします。価格設定からしてもパワー設定からしても経験者向きなんだと思います。


この竿は極軟のソリッドティップが搭載されていることが一つのウリなんですが、ファーストテーパーにソフトティップという組み合わせですから目印が楽に安定して流せますね。操作性が高くてスレた山女魚を誘い釣りで食わせる際になかなかよいです。軽オモリの釣りに特に向いていますね。誘いを掛ける際、ミスって多少手元が狂っても、竿先の暴れが少ないので、山女魚を警戒させることが少ないように感じます。反面、イクラ餌の釣りをされる方はエサ付けの際も振り込みの際も胴がしなりますので使い辛いと感じるかもしれません。

この竿はブランクスの「張り」ではなく全体的な「テーパー形状」と「振動減衰性」によってドリフトの安定性を高めている印象を受けますね。風が吹いた時の「ザーザー」という振動とか、オモリが底石に触れた時の「コンコン!」という感触は少なめですが、流している仕掛を「止める」→「送る」、ラインメンディングを行うといった操作の際に竿先に「重みの変化」を感じることができます。「モタレアタリ」と一緒ですね。手で直接仕掛を操っているかのような感覚があります。結果的に、今仕掛が食い波に馴染んでいるのか、それとも外れてしまっているのかが手の感触だけでかなり分かります。そのせいなのか「来そう!」とか、「ちょっと針軸が重すぎかな?」という「カン」が働きやすい竿ですね。竿操作を全くしないでただ流すだけだと手に伝わる情報は少なめですので、デッドドリフトやドラグドリフトで積極的に掛けて行く釣りがお勧めです(ナチュラルドリフトで一通り流した後、目印を上げ、ガン玉を思い切って小さくする)。


仕掛けの飛びは申し分なく、ヒラタ餌でもガン玉7~6号で充分振り込めます。細身ですので腰の回転を利用したスイングにも対応できます。ただしソフトティップのためバックスペースは多少必要です。ボサ川やゴルジュ帯では刀翠ZEの方がいいですね。ですから粋我では手尻は短めの方がいいですね。ソフトディップですのでしっかり流せます。竿尻トントン位でも流しじまいギリギリまで流れに乗ってくれます。

これまで、シビアな状況ではフジロイヤルブルーム中調という竿を使ってきたんです。魚の活性が低い時にじっくり流す釣りですね。ところがブルーム中調はスジには乗せやすいのですが、仕掛の飛びが良くないということに気付いたんです。飛びの良くない竿だと振り込みが大振りになり、さすがに疲れてきて酷く持ち重りを感じます。だんだんとピンポイントに入らなくなってきます。それで、低反発でなおかつ仕掛もよく飛んでくれる竿の必要性を感じていたという訳です。この、仕掛も飛びスジにも乗せやすい竿、という点では、この粋我という竿は割りと理想に近いのかなと思います。


引き抜きは、いったんバットを曲げ込んで、ワンクッション置いてから胴の粘りを利用して飛ばせるので楽ですね。手元から曲り込むため使い始めはやや頼りない印象を受けるかも知れませんが、むしろこのワンクッションのゆとりがあることで、抜きの力加減を調節できます。いったん馴れてしまえば抜く方向、タイミングも臨機応変にできるので硬い竿で抜くよりも楽だと思います。

バットの粘りは「弧空」ほどではないにしろ、やりとりの際かなりの安心感があります。この点、「刀翠ZE」では24cmクラスに急流に突進された時など“底突き”してしまいハリス切れを防ぐためにフットワークで衝撃を吸収しなければなりませんが、粋我はわりと余裕あります。下流に転がしてから抜くのもできますし、上流に泳がせて取り込むのもある程度こなせます。先調子でありながら粘りも備えてますので一本でいろいろやれる守備範囲の広い竿です。渇水にも充分対応できますのでサブとして持って行くと便利ですね。


FY2013で今年で5年目のロングセラー。パーツ供給も永そうですし、日本製でこの価格。実用ロッドではないでしょうか。ドリフト性能とキャスト性能というものは大体相反するものですが、この機種ではうまく両立されており、個人的にはかなり気に入っています。予備パーツ確保済


関連記事:渓流竿の性能比較(〜2019)

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