雪害の記録 2006 Apocalypse

君死にたもうことなかれ

(農水省)「攻めの農政」/食品産業との連携も強化を

2005年05月02日 | 農業サポートセンター
農政転換の象徴として、政府は農産物輸出の倍増に取り組む。2004年の輸出額3000億円を09年度までに6000億円に引き上げるという。アジアでの富裕層の増加や世界的な日本食ブームを背景に「高価でも高品質」な日本産のニーズを見込む。
 その実現には、輸入国の要求に即した検疫体制の整備や、輸出コストの低減といった課題がある。だが、輸入農産物の増加に防戦を強いられるばかりの国内農業を見れば、現状の打破を狙う「攻め」の姿勢は、これまでにない期待を抱かせる。

 もっともそれは生鮮果実、緑茶、環境保全米など一部に限られる。当然のことながら、国内の食料産業市場の比ではない。
 産業連関表を基にした農水省の試算では、国内における生鮮品、加工品、外食を合わせた2000年の食用農産物(水産物、一部林産物含む)の最終消費額は80兆円を超える。加工品と外食が年々比重を高めており、その8割を占める。

 若者や高齢者の一人暮らしが増え、食生活は、総菜や弁当という「中食」と外食に頼る「食の外部化」が進む。農業と食品産業との連携は生産・流通コストの低減につながり、積極的に推進すべき施策の一つである。
 外食産業は、消費者の安全志向を背景に、有機農産物を中心に国内生産者との契約栽培を拡大させている。が、一年を通して均質で安価な農産物を安定的に確保できないことを主な理由として、輸入農産物に対する依存度を高めている。地域で、あるいは地域が手を携えて安定供給態勢を整えることが必要だ。

 東北でも他産業との連携、安定供給に向け、新たな試みが芽生えている。仙台市は本年度、「アグリ・ビジネス・コーディネーター」を導入する。嘱託の情報関連会社社長らには、総合的な営農支援とともに食品産業などとの仲介役も期待される。
 福島県内では、企業の生産流通の手法を基に、産学連携で有機農産物の出荷・流通・販売のビジネスモデルがつくられた。農家間で生産量や生産時期を調整し、消費側が求める量を適時供給できるのが特徴だ。

 こうした動きを拡充するには、生産者と事業者との出会いを演出し、新たな事業創出を促すための環境整備が求められる。関係機関による推進体制の確立はもとより、専門知識を有しネットワークづくりができる人材の育成、そのデータベースを整備することも必要だろう。
 これまでも農業経営安定化の鍵の一つとされながら広がりを欠いていた農業と食品産業との連携を、「攻めの農政」はどう支援していくのか。取り組み次第では起業の可能性がある分野だけに、地域経済の活性化にも結びつく。実効性の高い施策の展開を望みたい。

河北
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