上田力 「クロス・トーク」

作・編曲家、ピアニスト:上田力とスタッフが徒然なるまま語ります。

またチック・コリアが来るんですネ

2009-02-25 | diary
「Jobim My Love」を12年も続けてきた今だから語れるのは、86年の春先き、「ラティーナ」誌からジョビン初来日の知らせが入り、だから一筆をという依頼に、ハタと困ってしまった…

今頃になってジョビンは何をしにくるのか?という思いが自分の中で抑えにくいレベルになっていたことだ。ジョビンはかつて ゛私には作曲しか出来ないのに、日本から来るのは演奏家としてのコンサートの誘いばかり、作曲家としてなら直ぐにでも行くのに… ゛と語っていたそうだから、初来日実現のために日本側から、どんな<誘い>をかけたのかについては、ちょっと興味があったのだが、79年頃から始まった日本のブラジル音楽ブームも、この頃には一応鎮まり<フツウ>になっていたし、そんな中でのジョビンは、ボクにとって特別な<興味の対象>ではなかったから、つい ゛何しにくるの? ゛なんて思ってしまったのだろう。

もちろん、日比谷野音での、あの<トコトンゆるめ>のライヴに接して、それがどんなに見当外れの認識だったかを思い知らされたんだが、つい最近耳にしたのは、ある管楽器専門店で若い店員が ゛またチック・コリアが来るんですネ ゛と云ったら、古参のオジサンから ゛何しに来るの? ゛との反応があったという実話…これを<笑いばなし>のサカナにするのは自由だけれど、もし万一、そのオジサンがチックを知りつくしているからこその<おとぼけ>だったとすると…!。