去る7月25日、47才の若さで他界した、コンピューター科学の世界的権威、そして米国カーネギーメロン大学のランディ・バウシュ教授は、「子供の頃からの夢を本当に実現させるために」というテーマの講義の中で、<壁>にぶつかった時の心得を“それは夢を阻まれたのではなく、<壁>の向こうにある「何か」を、自分がどれほど真剣に望んでいるかを証明するチャンスを与えられているのだ、と思う必要がある…と説いている(7月28日付東京新聞のコラム『筆洗』より)。
なんとも感動的な言葉に、思わず目を見張ってしまったが、ここで指摘されている<壁の向こう>という意味を、ちょっとニュアンスは違うけれど自分流に比較してみた。
だとえば、いまピアノを弾いている音世界の、その向こうに、もっと別な音世界をシンクロナイズ出来てしまうという現象が、ときどき発生する…そんな時は、自分で勝手に思いこんでいる<表現の壁>が、ウソのように消え去り、創造力が倍々増もしたように両手が動いてくれるのだ。
これはやはり、<壁の向こう>の、さらなる「大きさ」や「広がり」を同時にイメージできてしまうという意外な状態そのものが、思い上がりではなく、自分の創造力や表現の<壁>など取り払ってくれる「クリエイティブなチャンス」であることを証明しているのではないか、と自分では思えるのだが…。