上田力 「クロス・トーク」

作・編曲家、ピアニスト:上田力とスタッフが徒然なるまま語ります。

< 現在進行形 >の魅力

2008-07-07 | diary

シャンソン界の大御所、石井好子さんが、゛歌の神様だったダミアに捧げるつもりで作った゛という新作『ダミアからDamiaまで』が話題になっているが、先週の水曜日、NHK昼のスタジオパークで、司会の竹内アナが ゛今回のアルバムでは13曲も歌われ、お疲れになったのでは?゛と、85才という年齢を気遣う意味の質問をした。

石井さんの答は゛歌うというのは深呼吸しているようなものだから体に良いし、13曲だって大したことはないわ゛という、少しも< 特別なことじゃない >というニュアンスを含めた明快なもの…そんな石井さんの゛今゛を知りたくて早速アルバムを聴いてみて驚いた。 大きなシチュエーションの中で、歌も、語りも、すべてが絶妙なコントラストと間合いで響きあい、全く自然な快感を生み出しているからだ。

美しい…というより、日常的に ゛こなれた゛日本語とフランス語で石井さんが伝えてくれるのは、シャンソンというジャンルを越えて、歌うのが限りなく自然体でいられることの素晴らしさ…

それが ゛新作としては最後のアルバム゛と位置づける石井さん自身の ゛想い ゛に反して、85才という年齢ではなく、85年という時間を生き続けているからこそ生み出せる< 現在進行形 >の魅力なのだ。

上田力のクロス・トーク 7月6日