実家の庭は

この松の木だ(この時は2022年)




大概、父の命日前後にはきれいにしておくように業者に依頼をする
2023年の9月の作業済みの庭で
少し気になったのが

この松の木だ(この時は2022年)
これだけは他人の手で施行してもらわず
父が自ら剪定をしていた松の木だ
実家を父が建てたとき
父の母(ワタシの祖母)が
田舎の実家からお祝いとして贈られたもので
常に手入れを欠かさなかった
そろそろ危険で危ないから
ワタシが代わりにやろうかと言っても
「これだけは、わしがやらにゃあ、だめじゃ」
そう言って
古い脚立を出して昇り
ひょいと持った剪定鋏を
ちゃきちゃき動かすのも
楽しんでいるようだった
その松の木が変色していたのだ

劣化はどんどん進み

ついには枯れてしまった
父の想いまでが
果ててしまったのかと
悲しむも
足繁く実家へ通うワタシに
「もう、ええで」と
父が言っているのかと
あきらめの気持ちが沸いた
2024年9月
父の7回忌の命日
業者さんに庭の手入れをしていただく折に
根元から伐採してもらう


松の木を支えるように
建っていた石が顕になり
「お疲れ様でした」と
静かに手を合わせた
これで終わりなのかもしれない
覚悟しておいたほうがいい
そう思ったのには
もう一つ訳があり
この頃、女性が来ていたのだ
(その話はまた先で記事にします)
時は少し戻り
この年の春
4月の上旬に
ワタシの心を知る友が
都会から逢いに来てくれた
しばらくぶりの再会を楽しみ
父の墓も参ってくれた
帰りの新幹線まで時間があるので
駅そばのカフェへ入り
まだまだおしゃべりを楽しむ中
女性の話になった
面白おかしく
手短に当時のエピソード
私はゴールド、ダイヤにプラチナ
S子はシルバーの女だっ
と言って
母の宝石箱を開けたこと
お墓参りではなく
お墓荒らしをしたっていう
女性の話なんかを
笑い混じりに話していると
「あのひと、罰当たっちゃうわよ」
友はそう言った後
「ねえSちゃん、ブログに書いたら?」
と、勧めてくれた
ピクんとまぶたが起き上がるワタシの目に映る
彼女の真っ直ぐな眼差しの中に
ワタシではなく
母が見えた気がした
スンっと背筋が伸びたワタシは
目が覚めた
このカフェでの僅かなひと時の
友からの言葉が
ブログを始めるきっかけだ
不思議なことに
記事を書きはじめていくと
止まっていた時計の針が
動き出すように
様々なことが起きはじめた
つづく