087:天使（ワンコ山田）

手をつなぐ込み入った話しそこねる指のすきまを天使が通る

086:恵（ワンコ山田）

おしゃべりなロック多すぎひとときの恵方ロールは黙ってかじる

085:うがい（ワンコ山田）

あっ、私、ジャム期に入った、たった今　うがいの届くあたりの喉が

084:球（ワンコ山田）

私やらクロウサギやらの地団駄がじわりじんわり地球を揺らす

083:名古屋（ワンコ山田）

本当に「名古屋はええよ！やっとかめ」でもビルヂングの星が見えない

082:研（ワンコ山田）

０８２：研に苦しむ「我が窮状」ジュリーは銃を背中に隠す

081:嵐（ワンコ山田）

内緒だよ「わらいかわせみに話すなよ」磁気嵐避け短波は笑う

080:Ｌサイズ（ワンコ山田）

遺伝上ＬＬサイズ生む種子(たね)のどこかに気弱が隠されている

079:児（ワンコ山田）

卒論は『児童文学の離婚像』別れる恋はしないつもりで

078:合図（ワンコ山田）

班長の目配せ合図に唱和して７の倍数忘れっこ無し

077:横（ワンコ山田）

見た目より横隔膜が軟弱で内緒を溜めるスペースが無い

076:ジャンプ(ワンコ山田）

ジャンプしてごらん写真に切り取ろうアドレナリンが写りこむはず

075:量(ワンコ山田）

矢車草抱え通学した朝の器量ほめられ今生きている

074:銀行(ワンコ山田）

台風に煽られ風はたどり着き銀行のドアこじ開けている

073:寄(ワンコ山田）

寄り道の途中溜まった笑い声夕日が溶けたビー玉をはじく