気ままに一筆

心に引っかかった居心地が悪い出来事や、心の隅で湧き上がってくる日本の風習への思いを感じるままにつぶやいています。

第3号被保険者③

2022-12-21 06:52:25 | 日記
令和4年10月から短時間就労者(パート・アルバイト等)の社会保険の適用範囲が拡大された。従業員数が101人以上の企業では➀週20時間以上、②月給8万8千円以上、③2ヶ月以上の雇用期間、④学生でない短時間就労者(パート・アルバイト等)は、社会保険の適用が強制になった。
 昭和の時代、女性は「寿退社」と言われ結婚退職、専業主婦となる。男は外で働き、女は家を守ると言う世相の中、世帯主である夫が妻を扶養する老後の生活が年金制度の基本で、妻の分として「加給年金」が夫の年金に加算されていた。そのために、女性が退職する際に加入していた厚生年金保険を一時金として清算し結婚資金の一部にする事が当たり前のように手続きされていた企業もあった様だ。
企業で働く人は、企業年金(厚生及び共済年金等)に加入。自営業やその他の20歳以上は、国民年金に加入。専業主婦については任意加入とされていたのを、昭和61年4月から日本国内に居住する20歳から60歳までの人は、国民年金に加入する事を義務付けられた。これが「基礎老齢年金制度」の始まりであり有識者は、これまで任意加入とされたいた専業主婦に年金受給権が確立されたと評価した。しかし、権利には、毎月1万円を超える保険料を納付する義務が生じる。昭和59年には、専業主婦世帯数が共働き世帯数の約1.5倍(専業主婦世帯数、1054万世帯。共働き世帯数、725世帯:総務省調べ)を占めていて任意加入をしていなかった専業主婦にとって、毎月納付義務が発生することで後回しにしたい権利となると思われた。そこで、夫が被用者(厚生・共済)年金に加入していて、年末調整の配偶者控除の対象になる妻は、保険料を夫の年金制度から納付する制度を増設し、「第3号被保険者」とした。
 第3号被保険者が増設されると、TVのワイドショーは、この制度のメリットを、「夫の年末調整で配偶者扶養控除の対象になって入れば、年金の保険料を納める必要がなく、老齢基礎年金を受給できる。」と報じた。「夫の扶養家族として医療保険の適用を受けられなくる。」「保険料を負担しなければならない。」と戸惑っていた専業主婦たちは、「夫の扶養家族でいれば、医療保険の適用も受けられる。保険料を納めなくとも基礎年金が受給できる。」という考えに安堵し、年末に「就業調整」を行うようになった。毎年年末の人手不足の一因となっている。
 第3号被保険者が増設されて30年以上になる。令和2年(2020年)共働き世帯数(1240万世帯)が専業主婦世帯数(571万世帯)の2倍になり、正規、非正規の仕事の内容も違いが無くなってきて労働環境が変化している。
「年収103万円を超えると税金がかかる。扶養になっている夫の会社が支給する扶養(家族)手当が支給されなくなる。」結局、「年収103万円を超えると大変だ。」と年末に向けて収入の調整の為、労働時間の調整をする。そんなパート仲間のお茶飲み話に「本当、本当」と共感していた第3号被保険者(妻)達は、この社会保険適用範囲拡大に今年はどんな対策を考え話題にしているのだろうか。自分の思い描く老後の姿と向き合っているのだろうか。