風のたより #61 千葉甫 2019-07-30 13:57:25 | 短歌 顔のすぐ傍をよぎって行く蝶を追った視線の先に咲く花 靴音を軽く立てつつ行く人のスタイル思う眼を閉じたまま 見上げても見えない雨の先端の感触がある白い真昼間
風のたより #60 千葉甫 2019-07-28 13:59:05 | 短歌 光りつつ窓の外行く草の絮 見えなくなるまで互いに無言 サイレンの途切れて停まる救急車を見に出る者らの無い灼けた午後 イヤホンに満ちてくる曲聴いている私の周りは音の無い夜
風のたより #59 千葉甫 2019-07-26 13:25:29 | 短歌 今度こそ見えてきそうに近づいたヘリコプターを待つ窓の空 立腹の私を想像しただけでことなく過ぎて行った一日 読みさして回っているかと眼をやれば確かに回っている扇風機
風のたより #58 千葉甫 2019-07-24 14:02:48 | 短歌 夜半覚めてトイレへ下りて眼をやって隣のトイレに点る灯を見る 日焼け前の水着の肌の白さから視線逸らせたあの夏の海 行く蟻と来た蟻頭を触れ合ってそれぞれ進む自らの道
風のたより #57 千葉甫 2019-07-22 13:57:37 | 短歌 カーテンの揺れて入って来た風に思い途切れて窓に眼をやる 争いの猫の鋭い一声に目覚めて深夜トイレへ下りる 眼の覚めて闇に聞こえる呟きに耳を澄ませる雨と知るまで