風のたより #77 千葉甫 2019-08-31 15:20:09 | 短歌 スカートの幅靡かせて街灯の灯りを過ぎる自転車の人 この宇宙の何処かで一つの星として地球を見上げている眼を思う 足音の行ったり来たりが一つある寝苦しい夜の窓の外から
風のたより #76 千葉甫 2019-08-29 13:35:56 | 短歌 何となく空腹感はあるけれど食の進まぬ酷暑日続く 台風の予想コースのすぐ下で静まりかえっている熱帯夜 思いでは遠いものほど鮮やかに脳裏に見えてくる齢となる
風のたより #75 千葉甫 2019-08-27 13:43:58 | 短歌 今日もまた暑い暑いと過ぎながらもう伸びている手の爪を見る 朝一錠服むのと夜に一錠を服む薬とをまた間違える 漸くに帰宅の気配 階下からテレビの声が聞こえ始める
風のたより #74 千葉甫 2019-08-25 13:50:33 | 短歌 窓からの風の感触生ぬるく立秋四日後午後十時前 すぐ傍に座った人への一瞥の記憶は肌理の美しい頬 凍らせて林檎を食べる凍らせてバナナを食べる今日も真夏日
風のたより #73 千葉甫 2019-08-23 14:01:09 | 短歌 目が覚めて窓を開けると蝉の声跳ね返るほど雲の無い空 扇風機の風に吹かれてゆくものと異なる影が行く部屋の隅 レジに立つ後姿の振り返るまでを見つめていて知らぬ人