風のたより #10 千葉甫 2019-04-19 14:38:26 | 短歌 呼びかけた私の声の届かないままに静かに閉じられたドア サイレンの疾走抜けて行った夜半いつしか降っている雨の音 問題は時の流れに濾過されて徐々に答えの表れてくる
風のたより #9 千葉甫 2019-04-17 14:39:40 | 短歌 もう少しの時間潰しに聞いている前にも話に出たこの話題 寝に就いて眼閉じればこの夜も遠く聞こえる梟の声 はっとして目覚めてからの夜の刻こともなく行くもう眠れずに
風のたより #8 千葉甫 2019-04-15 14:31:30 | 短歌 ライターで点す蝋燭 燐寸擦る匂いのいつか遠くになって 挨拶の後に見合いの間の延びる互いに次の言葉を待って 十歳は若く見えると言われても齢相応にしか動けない
風のたより #7 千葉甫 2019-04-13 14:40:13 | 短歌 伐採を予定のままに冬を越した雑木の枝の芽を吹き初める 唐突に雷鳴一つ転がって時間はもうすぐ明日へ移る 壁際を走っていった影がある何か定かに判らぬままに
風のたより #6 千葉甫 2019-04-11 15:10:47 | 短歌 幾たびか顔を合わせた人の名を今更に知る電話を受けて 静電気帯びた指から離れないポリプロピレンの紐の切れ端 海のある町に住みつつ海を見ることの無いまま過ぎた十年