栃木発「ちゃりあん」ブログ

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日光けっこう! 中禅寺湖一周歩き③ 白岩付近 2012.08.26

2012年08月31日 21時27分25秒 | 日記
「歩いているときはどんな気持ちなのか」

よく聞かれる質問である。


もちろん歩く距離によって変わるけれど

山歩きや長距離ウォーキングのときは

「つらい、はやく楽になりたい」

とばかり考えている、と答える。


スタートはテンションが高い。

でも

1時間も歩けば苦痛がやってくる。

おのずとテンションは下がり

しんどい表情に変わる。


けれど

また繰り返す理由は何なのか?

やはり

「達成感」だけなんだろう。


ゴールにたどり着いたとき、

僕は必ず笑みがこぼれる。


「おわったー」って大声で叫ぶ。


僕の記録が

そこで更新されるのである。


これはマラソン選手と同じ心理であろう。


ただ違うのは

マラソンは「速さ」の追求

僕の歩きは「未知の領域に足を踏み入れた距離」の追求

であること。


クマが怖いという臆病なところは

永遠に取り払うことはできないけれど

「歩いて死ねれば本望」とは考えている。


歩くこと。


僕が生きている証・・・・




9時41分。

まだ阿世潟から1キロしか進んでいない。


500メートルごとにポストは設置されているが

なかなか姿を現さない。

ペースとしては相当遅いようだ。



木の根がボコボコの道。

なかなか歩きにくい。


ここでつまづけば、崖下に転げ落ちてしまう・・・


気は抜けない。




過去の僕であれば

このような看板はすべて撮影していたであろう。

けれど

この日だけは

クマが異常に怖くて(笑)

ほとんどチラ見してはスルーしていた。



何やら虫がウヨウヨしているように見えたが

キノコの一種であろうか。


気持ちが悪い。。。。



9時48分。

ほとんど太陽の光が届かない森の中に

木製ベンチが置かれていた。


そばにある看板に「上野島」とある。


・・・・

悲しいかな、湖面に浮かぶ「上野島」は

ここからは観ることができない。


深い森に囲まれ


中禅寺湖の青色までも

ここからは見えないのだから。


看板がむなしい。


僕も、むなしい。。。




まだ足は痛くありません。

しかし

左は高い崖

右下は湖面に落ちる、これまた崖。。。

なによりクマの恐怖はトラウマになってしまい

終始震え上がっていたが

「落ちたらどうしよう」という

足もとの不安も

だんだん増してきた。


500メートルが

長い、長いわけである。



10時05分。

大日崎。

ほんとうに半円形の地形で

突き出した岬ギリギリまで歩いているというパノラマ。

僕の基本

2時間ごとの休憩でいえば

ここで腰を下ろすべきなのだが


休むスペースはなく

やはりクマが怖くて・・・

人がいる「千手ヶ浜」まで一気に歩くことにした。



ここから歩く方角が変わったため

完全に日陰の暗い道を進みます。



「竜頭の滝」の看板がありましたが

木に邪魔されて確認できませんでした。



熊鈴と波の音だけが

あたりに響きます。



いままでは遊覧船やボートが多く往来し

湖面から人の声が聞こえたりしたが


ここはアウェイらしく


ほんとうに僕、独りになりました。。。




10時21分。

松ヶ崎。

ベンチもなく

岬も見えません。


いつもなら「独り言実況」をつぶやくのですが


この日はその元気もありません。


完全にテンション、下がりマックスでした。。。



あまり陽が当たらないせいでしょか

白いフワフワ系キノコが多いです。



もはや道ではありません。

岩をまたがり

よっこいしょっ


1メートル以上飛び降りる岩もゴロゴロ。。。


もうサバイバル。



10時42分。

千手ヶ浜まで5.4キロ。

ここで推定90分と算出。

早ければ12時にヒトに会える。。。と踏む。

・・・・・・・・・・・

少し気持ちが落ち着いたせいか

「そうだ独り言をつぶやこう」

僕は

誰もいないことをいいことに

独り実況中継を始めた。


「クマさん、ここに人がいるからねぇ・・・」

そんなことから始まり・・・


だんだん調子が乗ってきたときに

悲劇が・・・


崖の上から「ザワザワ」と音が。


恐る恐る上を見ると・・・



ヒトが

い。ま。し。た。。。


思わず僕の発した言葉は

「あっ、人だぁ」


あまりにうれしくなり

いろいろ聞いてみると

小山市の男性。

一人でここまで来たものの

帰りの渋滞を心配して

ここで引き返そうとしていたそうだ。

あらら・・・


一緒に千手ヶ浜まで同行できると思ったら

また僕はひとりのようだ。


せっかくなので

休憩して水分の補給。


片言会話をして

男性はいままで歩いてきた道を

再び戻ってゆきました。





だいぶ来た、と思っても

まだ1/4の位置。

同じ風景に

やや疲労がでているだけに


はやく千手ヶ浜には到達したい。。。


そのことばかり考えていた。




白岩展望台。

先人たちが「滑落する危険がある怖い展望台」と言っていた。

その意味は

まだわからない。。。

まずは行ってみよう。



11時10分。

手前の突き出した白い石が「白岩」だ。

崖の上にボコっと乗っかっているだけ。

岩の上によじ登ることもできるが

滑落したら生きては還ってこられない。


僕はこれがいっぱいいっぱいだ。


ちなみに今立っている位置も

やや歩くと振動がある。

天然の展望台。


みなさんもいかがですか?




白岩は細長い半島になっている。

※画像奥が「白岩展望台」

両脇の木の端の崖下には中禅寺湖の青い湖面が見える。



目の前に道がなくなった・・・

「やばい迷子か?」

一瞬あわてたが


左の岩と、目の前の木の間に道は通じていた。

大きな岩を「よっこいしょ」



大きな岩をまたがり

下ると

カエデの美しい平原にでた。


ただ陽はあまりあたらず

相変わらず暗い。


陽があたらないので

熱中症などの暑さの心配はないが

木に遮られ

浜風もないので

なんとなく不快。



11時15分。

千手ヶ浜まで4キロを切りました。

あと1時間の勘定です。


ここで到着予定を12時20分に設定。

ペースが上がることを期待する。

※自分にね



赤いブイを見失い迷子。

巨大な倒木に道をふさがれたと思ったら

ヒト一人分が通れるすきまがあり

倒木と

前の木の間をゆっくり進む。




坂を上り

岩と岩の間をまたがる。


もう深緑を楽しむ余裕はなかった。


そして

4キロが

こんなに遠いと感じることもなかった。


まだまだ続くその先に

僕の無事はあるのでしょうか・・・


続く


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