『哲学者のカフェ 世界を生きるための子どもと大人の往復書簡』
ヴィットリオ・ヘスレ 著 ノーラ・K 著 浅見 昇吾 訳
河出書房出版社、1999年
ノーラという女の子が11歳~14歳までの間に哲学者と交わした手紙のやり取りが本になったもの。私が学習ボランティアに通う児童養護施設に置いてあったのがきっかけで読んでみました。
「恐竜が絶滅した後、恐竜のイデアはどうなったのか?」という問いからこの文通はスタートします。その後も湧き出るノーラの疑問に、過去の偉大な哲学者たちが集まるカフェで、その哲学者たちが答え、さらに新たな疑問を彼女につきつける、といった展開になっていきます。人間の手による技術進歩の是非や「悪」の存在意義、自由の問題など、根源的な問いが彼女や著者のヴィットリオ、そして過去の哲学者によって語られますが、その視点は彼女の成長を見守る暖かなものであるのが印象的でした。
もちろん、このノーラは頭も切れるし、行動力もあるという点で「優等生」なんだろうけど、「神とはどういうものか?」といった疑問って多かれ少なかれ誰でも持つんじゃないでしょうか?それに対して私たち大人が、無視するでも、突き放すでもなく寄り添いながら共に考えるという姿勢には、子どもの心理療法を思い起こさせるものがありました。少し忘れかけてたような気がします、この感覚。
哲学とキリスト教に関するほんの基礎的な知識があると、とても読みやすい本ではないかな、と思います。ぜひ。
ヴィットリオ・ヘスレ 著 ノーラ・K 著 浅見 昇吾 訳
河出書房出版社、1999年
ノーラという女の子が11歳~14歳までの間に哲学者と交わした手紙のやり取りが本になったもの。私が学習ボランティアに通う児童養護施設に置いてあったのがきっかけで読んでみました。
「恐竜が絶滅した後、恐竜のイデアはどうなったのか?」という問いからこの文通はスタートします。その後も湧き出るノーラの疑問に、過去の偉大な哲学者たちが集まるカフェで、その哲学者たちが答え、さらに新たな疑問を彼女につきつける、といった展開になっていきます。人間の手による技術進歩の是非や「悪」の存在意義、自由の問題など、根源的な問いが彼女や著者のヴィットリオ、そして過去の哲学者によって語られますが、その視点は彼女の成長を見守る暖かなものであるのが印象的でした。
もちろん、このノーラは頭も切れるし、行動力もあるという点で「優等生」なんだろうけど、「神とはどういうものか?」といった疑問って多かれ少なかれ誰でも持つんじゃないでしょうか?それに対して私たち大人が、無視するでも、突き放すでもなく寄り添いながら共に考えるという姿勢には、子どもの心理療法を思い起こさせるものがありました。少し忘れかけてたような気がします、この感覚。
哲学とキリスト教に関するほんの基礎的な知識があると、とても読みやすい本ではないかな、と思います。ぜひ。