Rin's Tsure-Zure Diary

Tsurezurenarumamani Kataru wa …

『ビタミンF』重松清

2007-12-13 22:33:01 | 読んだ!
家族を描いた作品が7つ掲載されている。どれも30代後半から40代前半の父親の視点から描かれたものばかり。

結構、この中途半端な年代をうまく描けているような気がする(ただし、2000年出版だから、私よりはちょっと上の人たちが主人公だが…)。20年近くのキャリアを積んで、それなりに仕事はできるようになったけど、まだ確かなものを掴んだわけではない。また、これまでに積み上げたものを投げ出せば、描いた夢を手に入れそうな気もする。嫁さんに大きな不満があるわけではないが、結婚前に付き合った彼女が忘れられないし、「こんなはずじゃなかった」と思うこともしばしばある。そして、子育てについては、子どもが思春期を迎えて、オロオロするばかり…。

中途半端だからこそ、そこには微妙なバランス感覚があり、様々な可能性が萌芽として残っている。「ハンパな自分にちょっと期待してもいいかな」と思わせてくれる一冊だった。