かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

世界禁煙で~

2012年05月31日 | サポーターの心得
5月31日は世界禁煙デー。
WHOが毎年スローガンを掲げてキャンペーンを行っている。

2012年のスローガンは
「Stop Tobacco Industry Interference(たばこ産業の干渉を阻止しよう)」

これを受けて、厚生労働省が掲げた日本語版スローガンは、
「命を守る政策を!」

厚生労働省のHPをみてみたら、同省のその他の対応として「禁煙週間中における合同庁舎5号館内でのたばこの自動販売機の停止」と書いてあった。

まったく、いまだにタバコ自販機が厚生労働省庁舎内にあること自体、おかしいね。
恥を知れ!だね。


先日、ファイザー製薬のポスターが山の手線の車内に掲示されているのを見つけた。
キャッチコピーは「愛では、タバコはやめられない?」

禁煙治療薬の舘ひろし版に続く大きな広報活動。

CMの主旨はこうだ。

お父さんの禁煙を家族みんなで応援してるけど、実際、愛だけでは禁煙するのはむずかしい・・・
なぜなら、喫煙はニコチン依存症という本当にやっかいな病気だから。
意志だけでやめようとすると、大きなストレスがかかってしまう。
でも、今は禁煙するためのいい薬があって、しかも保険で治せるんだよ。
さあ、病院へ行こう!


禁煙しようとしている夫を助ける妻の役に起用されている女優さん、実は数年前、同社の主催する大きな講演会によばれてしゃべったとき、ニコチン依存症を説明するために引き合いに出させていただいた人だ。

ドラマの中で彼女が喫煙するシーンがあって、そのタバコの吸い方を見ただけで彼女は(役だけでなく)喫煙者であることがわかったという話をしたのだった。

私はタバコを吸っている人をみたときに、「タバコを楽しんでいる」というふうには決して見えない。
「喫煙は薬物依存症である」ということが本当に理解できると、喫煙者は「イライラしたり落ち着かないといったニコチン切れ状態から少しでも解放されたくて、仕方なく吸っている人」に見えるようになる。

彼女はまさに依存症患者が原因薬物を補給している吸い方で、演技を超えていたのだった。


ところが、何をカンチガイされたか、講演を聞いていたごく一部の人から「ゆきえちゃんのことを悪く言った」という批判をネット上でされた。

勿論、あの女優さんには個人的になんの恨みも持っていないし、普段から喫煙者のことは病気に苦しんでいる患者さんとしてみているつもりなのだけれど、どうしても「反タバコ行動=喫煙者狩り」みたいな印象を持たれやすい傾向が世間一般的にはまだあるのは残念なことだ。


さて、そんなこともあったから、ファイザー製薬の広告に彼女が起用されたのは、ちょっとビックリだった。
どんな経緯かはわからないが、もしも彼女がまだ喫煙を続けているのであれば、是非この仕事をきっかけに、禁煙治療を受けて欲しいと心から応援したい気持ちでいる。

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