かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

独り言です

2010年09月01日 | 今日のワタシ
同い年の男性肺がん患者さんがいる。

別に同級生いうわけではないけれど、同い年というのは不思議と親近感がわく。

その患者さんのベッドに、赤ちゃんがすやすやと寝ていた。
ベッドサイドには若いお姉ちゃん。

『孫?』

恐る恐る訊いてみた。
治療前に会ったことのある奥さんという人は、このお姉ちゃんじゃなかったし、ひょっとしたらイリーガルな関係かもしれないし・・・

けれど、杞憂だった。
お姉ちゃんは患者さんの実の娘さんで、赤ちゃんは6ヶ月になるお孫さん。
みんな結婚が早かったのね。

そんな話をしていたら、赤ちゃんがちょうどお寝覚め。
ワタシがよほどいじりたそうにしていたのだろう、娘さんが「抱っこします?」と言ってくれたので、抱っこさせてもらった。

男の赤ちゃんには好かれるのだ。
あやすとニコニコしてくれた。
幸せな気分になったが、赤ちゃんの体重をずっしりと腕に感じながら、今生きている人生では、孫はおろか、こうやって自分の子供を胸に抱くということはもう望めないのだなあと改めて思った。


ずいぶん前になるが、テレビのドキュメンタリー番組で吉永小百合さんが、「悔いのない人生を送ってきたが、唯一、自分の人生で後悔することといえば、子供を持たなかったこと」というようなことを言っているのを聞いたことがある。
あのときは、自分もそんなふうに思うようになるとは想像もしていなかった。


女優のハル・ベリー(43)がインタビューで、40過ぎまで子供を生むのを待ったのは良かった、女性は年を取るほど妊娠しやすければいいのにと語っている。

「若い時の方が妊娠しにくく、年を取ると妊娠しやすくなればいいのに。心の準備ができても、なかなか妊娠できないんだもの。わたしは21歳の時は心の準備はまったくできていなかったけど、体は適齢期だった。年を取るほど卵子も発達するような体のつくりだったらいいのにね。神様はそこを間違えたんだと思うわ」

そう。
ワタシの場合、心の準備と体の準備があわなかった。
もうひとつ加えるとすれば、社会的な準備も間に合わなかった。
でも、なぜ、この世の中の多くの女性が当たり前のようにやっていることが、ワタシにはできなかったのだろう?


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2 コメント

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必要とされている人 (Murata)
2010-09-10 09:07:35
子供を産んで、育てるというのも立派な仕事だと思いますが、cellopyさんは、それ以上に沢山の人に必要とされている人だと思います

子育てしているよりも、病院で待っている
患者さんがどれだけいることか
もちろん、患者さんだけでなく、学校でcellopyさんの話を聞いた子供たちきっと将来役に立つことでしょう。

医者という仕事は、子育てとの両立はなかなか
大変と聞きました。

きっと神様もそれをわかって、残念ながらcellopyさんには、そのチャンスを与えなかったのかもしれませんね

これからも、たくさんの患者さんを癒して
ください
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Unknown (cellopy)
2010-09-10 14:00:12
こんにちは!

この世に生を受けた意味・・・などということは考えたこともありませんでした。
医者は天職などとは、こっぱずかしくて言えませんが、ひょっとしたらそういう意味合いもあるのかもしれない・・・などと、ふと考えました。

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