飲食店の禁煙化

久しぶりにタバコのことでブチ切れた。
自分は禁煙治療に携わる専門医として、社会のタバコ問題に対しては北風タイプではなく、太陽タイプのつもりできた。
だから、「嫌煙権」などと大声を張り上げるのはちょっと違うと思っているし、喫煙者はあくまでも依存症にかかっている患者さんとしてみているつもり。

だけど、今日はなぜか違った。
あまりに非常識な態度の男に、ブチ切れた
いや、正確には、キレかかったが、どうにか理性でもって押さえた・・・というべきか。


ひいきにしている餃子屋のカウンターに座ったら、隣の席に灰皿に火の付いたままのタバコが置いてあった。
荷物も携帯電話も置きっぱなしで、客はいない。
思わず灰皿に水をかけてやろうかと思ったが、トイレかどこかに行っている客が怖いにーさんだったりしたら困る。
タバコも半分灰になり、餃子が運ばれてきたところで、やっとそいつが戻ってきた。
２０代のサラリーマン風男性だった。
公の場所を、自分の部屋かなにかと勘違いしているような行動をとる若者が最近多い。

『タバコ吸わないんだったら、消してもらえます？アタシ喘息なんで・・・ごほっごほっ』

喘息持ちのふりをするいつもの手を使った。

一瞬「なにいってんの、この女」ってな顔を見せたけれど、一応「あっ、そーっすか」とタバコを消してくれた。

アタシは喘息持ちじゃあないけれど、実際タバコの煙でノドが不快になって演技じゃない咳が出始めたし、嘘も方便ってことで、そもそもこういう言い方をすれば大抵の人はタバコを遠慮してくれる。

ところが、ものの５分とたたないうちに、携帯を見ながらビールを飲んで、たいして食べたそうでもなく餃子をつまんでいたその男は、またタバコに火をつけやがった
こちらがわざとらしく咳をしても、今度はまったくの無視。
腹がたつのは、タバコに火をつけたはいいけれど、ろくに吸わずに持っているだけで、猛毒の副流煙を発生させているからだ。
相変わらず携帯を見ながらビールをちびちび飲んでいる。
携帯いじるのやめんかい！
飲むのか食べるのか吸うのか、はっきりせい！
黄門様だったら、一喝して印籠を目の前に突き出すところだ。
ん？印籠・・・？
禁煙外来やってますなんていう名刺なんかじゃ効果ないだろうか・・・

あーあ、餃子なんか食べようなんて思わなきゃ良かった。
だけど今日は、めちゃくちゃお腹すいてたんだもん。
ああ、キレそうになったのは、空腹のせいもあるかもなあ。
それとも、最近アタシってば、カルシウムかなんかが足りないんだろうか。
彼氏いない歴２年・・・これって関係あるだろうか。
まさか、更年期ってことも・・・そんなあ

サービスカードのハンコを１個のところ「２個押しときますね」と機嫌よく言うおばちゃんに、支払いのときに店内禁煙化のお願いを再度した。

「すいませーんランチのときは禁煙なんですけど、夜はダメです！　周りの店でやってるところないんで～」

あああ、なんでそうなんかねっ！！
自分の店から率先してって考えはないんかねっ！！

店を禁煙にしても、利益は下がらず、かえってあがるってことは専門的調査でわかってんですよ。
タバコ臭い飲食店なんて、今に客が来なくなりますよ。

アタシも迷ってます。
くじけず通って、禁煙化をすすめるべきか、非買行動をとるべきか・・・
やっぱり、諸外国のように全面禁煙化の罰則付き法律を作るのがいいのかなあ。