かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

お香を楽しむ

2021年06月28日 | 今日こんなことが
道と名の付くものはやったことがない。
香道を体験できる機会があったので参加した。

今回は香元(香席で香を焚く人のこと)を体験。
実際にお稽古をやっている人たちの場合、初心者はやらせてもらえない役らしいので、「皆さんは今日、とても貴重な体験ができるわけです」と先生。
付け下げに地味な墨色無地の名古屋帯をお召しだった。
お太鼓がやけに小さかったので、ひょっとしたら6寸帯かもしれない。

せっかくなので、忘れないうちにおおまかな手順をメモしておく。
ちなみに流派は「古心流」。
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香炉は3本足に一重口の「聞香炉(ききこうろ)」と呼ばれるものを使用。
図柄がある場合には柄を向こう正面に置き、青磁などは、3本足でできた三角形の頂点を向こう正面に据え置く。



まず、火筋(こじ)という火箸で灰をかき混ぜる。
柔らかな灰はきな粉みたいで、思わず口にしたくなる。

火をつけた1cm四方くらいの大きさの香炭団(こうたどん)と呼ばれる炭を中央に仕込む。
1㎜くらい灰表面から顔を出すくらいの深さに香炭団を置き、火筋1本を使って周囲の肺を反時計回りに香炉を少しづつ廻しながら灰を香炭団にかぶせていく。

次に、灰押(はいおし)というヘラと羽箒(はぼうき)を使って灰を山型に整え、火山の噴火口を作る感じで香炭団のところは箸で「の」の字を書く。


噴火口から3本の道筋をつけて、灰を形作る。
箸目には4種類あって、今回は「草」。

香炉に蓋をするように手をあてると熱く感じ、火がきいているのがわかる。

そしていよいよ香を焚く。
あらかじめ和紙に包まれて用意された高木(今回は参加者が3人だったので、高木は1㎜くらいの小ささ!)を香匙(こうさじ)ですくい取り、雲母でできた銀葉という板の上にのせて灰の上へ置く。
銀葉を灰の上で軽く押すことによって銀葉と炭団の位置を調節すると、伝わる香りの強さが変わる。
香道では、高木そのものは燃やさないので、煙が出ないくらいに調節する。
私は銀葉を置いたらすぐに高木から煙が出たので、いったん銀葉ごと灰からおろし、ガスレンジの五徳を作るように灰を3方向から被せなおした。
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香道で使われる高木は、インドやタイなどの国が原産で、外的要因によって木に樹脂が凝結し、樹木自体が枯れていく過程で熟成されてできたもので、沈水香(じんすいこう)と呼ばれ、伽羅、羅国、真南蛮(まなばん)、真那賀(まなか)、佐曽羅(さそら)、寸門多羅(すもたら)に分類される(六国)。

高木が日本に初めて漂着したのは淡路島で、天皇に献上されたことが日本書紀に書かれてあるという。

へえ。
淡路島の特産はタマネギだというのは大学時代に遊びに行って知ったことだが、高木伝来の地であり、現在は線香作り日本一だなんてことは知らなかった。


焚いた高木の香りをかぐことを「きく」と言う。
日本酒の味見のことも「ききざけ」と言うし、香りや味が発する声なき声を聴き、その奥深い世界を愉しむという意味だろうか?

先生は「おなかの深いところで香りを静かに感じるようにします」とおっしゃった。

丹田に意識を集中させる・・・みたいな?

香をきいたあとは、好きな名前をつけましょうというのだけれど、私の頭の中では映像でイメージされており、それを言語化して命名するなんて作業は語彙が乏しい私にはかなり難しい。

道というものには、さまざまなアプローチのしどころがあって、始めてしまったら大変なことになるかもね。

まあ、これからも気軽に未知の世界をのぞいてみられる機会があれば、行ってみることにしよう。













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