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ゴダールのバイオリン協奏曲第2番を聴く

2008年06月28日 | 今日聴いたCD
ベンジャミン・ゴダール(1849-1895)は鈴木の教本の中で,「ジョスランの子守歌」を練習したときに初めて名前を知った作曲家である。これ1曲のみが伝わっているという,「金婚式」の作曲家,マリーと似たような境遇だ。ゴダールにはその「子守歌」が歌われるオペラや管弦楽曲が多数あるというが,最近出たこのCDでやっとゴダールの作風の一端が分かるようになったのは嬉しいことである。

バイオリン協奏曲第2番作品131は緊張感を孕んだ冒頭から引き込まれる魅力を秘めている。弦楽器奏者らしく奏法を知悉した独奏パート,豊かな管弦楽法は素晴らしいものがあって子守歌だけの作曲家ではないと思わせるものがある。どこかエキゾチックな旋律,爛熟したようなハーモニーは受け入れやすさを持っている。

が,その反面,せっかくの緊張感が緩んだり冗長に感じる部分もある。当時受けたとしても長く残る普遍性は持っていなかったと感じてしまう部分があるのはやむを得ないだろうか。このような曲に光があたり時代がより深く理解できることは幸福なことと言わなければならないだろう。バイオリンのChloe Hanslipも好演である。

作曲者のゴダールは最近ご紹介したザイツよりも1歳年下。だから19世紀のロマンチックな傾向は似ている。しかし,ドイツ人のザイツは甘美ではあるもののどこか生真面目な印象があるのに対しゴダールは自由で色彩的である。

さすがはナクソスならではの企画(19世紀バイオリニスト兼作曲家シリーズ?)である。是非,ザイツの作品もお願いしたいものだ。

■Benjamin Godard: Concerto No.2 for Violin and Orchestra, op.131, Concerto Romantique for Violin and Orchestra, op.35, Scenes Poetiques for Orchestra, op.46.
Chloe Hanslip, Violin, Slovak State Philharmonic Orchestra, Kosice, Kirk Trevor, Conductor. Recorded in June 2007. Naxos, 8.570554


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