C E L L O L O G U E +

ようこそ、チェロローグ + へ!
いつまでたっても初心者のモノローグ
音楽や身の回りを気ままに綴っています

ホルスト『コッツウォルズ交響曲』

2021年12月27日 | 今日聴いたCD



組曲『惑星』で知られるグスターヴ・ホルスト(1874-1934)に『コッツウォルズ交響曲』(1899-1900年作曲、1902年初演)があります。この表記はオーソドックスな交響曲とは趣を異にするのかな、と思いましたが、通常の4楽章制交響曲でした。英語名を直訳すれば、「交響曲ヘ長調、作品8『コッツウォルズ』」で、普通の標題付き交響曲です。しかし、作曲時、ホルストはまだ20歳代ですから、全体的な印象はワーグナー的な管弦楽曲と言うこともできそうです。あるいは、習作なのでしょうか。それはおいといて。

一部にイギリス民謡が採用されていることと、第2楽章が哀歌であることは分かるのですが、どのような経緯で、どのよう意図で作曲されたのかまでは分かりませんでした。今では有名な観光地になったコッツウォルズ地方の自然を謳ったものと受け止めて聴きました。

モルト・アダージョの第2楽章は「哀歌、ウィリアム・モリスの憶い出に」となっていて、ホルストが一時傾倒した、空想的社会主義者で、詩、デザイン、出版など多方面で活動したウィリアム・モリス(1834-1896)の死を悼むものになっています。おそらく、この曲の中核となる楽章でしょう。モリスはケルムスコットに居を構え、この地方の風光を愛でていました。
ちなみに、モリスは、イギリスでの古楽復興の先駆者で多くの古楽器復元にあたったアーノルド・ドルメッチ(1858-1940)とも交流があり支援もしていました。

第3、4楽章はコッツウォルズの牧歌的な風景を思わせます。
全体的にこの「交響曲」は、トロンボーン奏者だったホルストらしく、金管楽器が活躍しています。演奏時間は23分ほどです。


このアルバムに収められている『日本組曲』は、6曲からなる管弦楽曲で、1915年に作曲、翌年初演されました。舞踊家伊藤道郎(1893-1961)のロンドン公演のために委嘱されたものですが、経緯や公演自体については諸説あってはっきりしたことは分かりません。日本の民謡を参考に書かれたようで、かなりベタに聞こえますが、音楽、管弦楽自体はまとまっていると思います。

(注)デリク・ブルジョワ(Derek Bourgeois, 1941-2017.)にも、「コッツウォルド交響曲」 Symphony no. 6 - A Cotswold symphony, op. 109aがあります(現代的な曲です。作曲年、初演年不明)。
(余計な注)私にとってイギリスは、蒸留所、保存鉄道、ケルムスコット・プレスの国です。ウィリアム・モリスが過ごしたケルムスコット・マナーや赤い家を訪ねてみたいと長い間考えていたのですが、そこへCOVID-19。困ったものです。

Gustav Holst: Walt Whitman overture op. 7, Cotswolds symphony in F major op. 8, A Winter idyll, Japanese suite op. 33, Indra; symphonic poem op. 13. Ulster orchestra, JoAnn Falletta (cond.). NAXOS 8.572914


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。