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グールドのゴールドベルク変奏曲

2007年02月25日 | 今日聴いたCD
(今日聴いたCD)
バッハ:ゴールドベルク変奏曲BWV. 988,グレン・グールド,ピアノ(1981年録音)SONY,38DC 35

名曲でもあるし,グールドの録音の中でも,最初の録音(1955)ともに特に知られた1枚である。
アリアの最初の音から寂寥感が迫る。孤独な音の宇宙が広がっていく感じがする。音のそれぞれは,あたかも虚空に輝く星座のように,あるべき位置に置かれており絶対不変のように聞こえる。グールド流のテンポの揺らぎがあるので絶対ではないはずなのだし,人工的にグールド(とエンジニア)が作り上げた世界なのだが,そう思わせる何かが全体を支配している。グールドがスタジオで狙った世界が完璧に実現されたのであろうし,そうでなかったら彼はリリースしなかっただろう。最後にもう一度アリアが奏されるとき,グールドはもう生と死の境界を越えていたのではないかとすら思える。

毀誉褒貶の多いグールドだが,この録音はあまりにも完璧,透明すぎ,それだけに現在でもグールド神話を盛り上げている。時に爆発するエネルギーを見せながらも宇宙的な静けさを湛えた音楽には心を洗われる。

「種々の変奏付きアリア」が原題。作曲の経緯はよく知られているとおり,バッハが,弟子のゴールドベルク(当時15歳くらい)の雇い主,カイザーリンク伯爵の不眠症改善のために作曲(1742年刊)したもの。タイトルの「ゴールドベルク」はCD解説書及び私が典拠としている『クラシック音楽作品名辞典』(三省堂,1982)によったが,濁点や長音符に若干のブレがある。ドイツ語に寄り添えば,ゴルトベルク(直訳すると「金山」くん(笑))が適切だろうし,英語ならゴールドバーグだと思うのだが。

せろふえさんのページにお邪魔したら,サックス合奏によるゴールドベルクが紹介されていたので買ってみた。これは驚きのアンサンブルである。弦楽三重奏版は知っていたが,サックスでここまでできるとは! オルガンの響きにも似て,バッハが聴いたらさぞかし喜ぶであろう演奏。グールドが虚空の音楽だとすれば,こちらは地表の音楽で,血も涙もあるという感じだろうか。


4 コメント

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両方持ってます (ひなげし)
2007-02-26 22:51:30
私も55年版と81年版の両方を持っています。
どちらもそれぞれ良いですが、81年版のほうは聞いていると、何故か人を許したくなる気分になります。
サックス版、聞いてみたいです。
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やりますなあ。。。 (isis)
2007-02-27 01:04:05
ひなげしさん,

両方お持ちですか。なかなかやりますなあ。。。

確かに,他人を許したくなるようなサウンドですねえ。もののあはれを感じさせます。もっとも,私の方が許されまくられたい(爆)。
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ゴールドベルク、ゴルトベルク (せろふえ)
2007-02-27 06:13:12
isisさん、紹介していただいてありがとうございます。
 サックス版はゴルトベルクになっていますね。金山さんか、、、、
 実はグレングールドはそれほど「感じ」なくて、、でも最後のアリアに帰ってくるあたり、おっしゃるような感じがありますねえ。
 やはりチェンバロの音が美しく、ピノック版なども好きです。
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チェンバロ用ゴルトベルク (isis)
2007-02-28 02:29:10
せろふえさん,お久しぶりです。

タイトルがおかしいですが,ピアノや他の編曲版しか持っていないとこうなってしまいます(笑)。LPではハルモニア・ムンディ盤のレオンハルトを持っていましたが,CDではオリジナル楽器盤は持っていません。
レオンハルト盤にすべきかピノック盤にすべきか,迷うところです。
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