らくがき・遥

遥。
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名探偵コナン「魔女と探偵と怪盗と」

白馬は相変わらずイギリス探偵もどきの格好で現場へ。中森警部も文句は言っているけど、警視総監の息子だから強く言えないらしい。それってどうなんだ…。むしろ警視総監になんとかしてもらえないのか…。

白馬がやけに強気と思ったら、キッドの頭髪を手に入れたとか。それ本物かなぁ…と疑ってたんだけど、高校生らしいと判定が出たから本物みたいですね。しかも、徹夜(?)で正体を突き止めたとか?! それ警察に教えろよ(笑)。父親が警視総監なんだから話は十分に聞いてもらえると思うんだけど。どうしても自分の手で捕まえたいのかなぁ。

でも、白馬の疲れっぷりがなんか可愛かったです。そして紅子への惚れっぷりも可愛いな。紅子に頬を赤らめてると、急に間抜けっぽく見えてくるから不思議だ(笑)。

快斗と紅子の会話がいいなぁ。あくまで「怪盗キッドだったら」という仮定で話しているのがね。

偽キッド、めっちゃ笑ったわ! 声がもろに紅子だし! しかも箒って! 箒に乗っているキッドって違和感たっぷりだけど、シルクハットをとって紅子になるとめっちゃいいね~。さすがにバレバレだろうと思ったけど、みんな意外と信じちゃってるのね。まあ、キッドはいろんな姿や声になれるから、どんな声でも疑いようがないのか。しかし、いくらなんでも箒は毛色が違いすぎるような…。

スパイダー、今回も出てきました。紅子を使ってキッドを…というつもりだったようだけど、キッドの方が一枚上手でした。スパイダーに関しては警察は動いてないんだっけ?? 一応、スパイダーの正体は割れてるんだけど…白馬は警察に言うつもりはないのかな。

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らくがき・遥

遥。
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らくがき・澪

澪。
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らくがき・アルティナ

アルティナ。
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らくがき・アンジェリカ

アンジェリカ。
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らくがき・沙耶

沙耶。
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らくがき・澪

澪。
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らくがき・七海

七海。
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名探偵コナン「くらやみ塔の秘宝(後編)」

仕掛けがどれもすごすぎる。歩美ちゃんたちのところ、見せかけといってもリアルすぎるだろう。実際はそうでもないのかなぁ…歩美ちゃんにはああ見えてるってだけで。でも、水と炎は映像でも、それに連動して熱風も出してるとかすごいよね。元太たちの方も、スリムな元太はよくある基本的なやつだけど、逃げるドアノブはさっぱりわかりませんでした。子供部屋の仕掛けも何がなんだか…。

くらやみ塔の秘密はコナンがひとりで解いちゃいました。お兄さんの話を聞けて良かったですね。そうじゃなければ解くのは難しかった…かな? コナンならそうでもないかな? 後妻さんが落ちたのは結局事故ってことかぁ。あのホログラムは単なる茶目っ気のつもりだったんだろうけど、人騒がせというか罪作りというかなんというか…。

お宝は青じゃなくて緑のボタン。巨大な万華鏡でした。あれだけではどんなのか想像がつかないけど、リアルで見たらきっとすごいんだろうな。お兄さんも三代目をやる気になってくれてめでたしめでたし。後妻さんが浮かばれない感じだけど…。

私も緑のことを青と言ったりすることはあるけど、信号か野菜植物関係くらいだなぁ。相手に色を伝えるときは、緑は緑、青は青と言うよ。緑と青が一緒にあればなおさら。

子供たちを追ってきてたのは、犯人じゃなくて、助けようとしてくれてたわけね。黙って近づいてこないで何か声を掛けてほしいですよ(笑)。

あれ、次回はまたまじっく快斗か。なんかもうコナンの1/5くらいはまじっく快斗じゃね? 面白いし好きだからいいんだけど。

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らくがき・沙耶

沙耶。
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「東京ラビリンス」第29話・許されない願い

「はっ!!」
 武蔵の懐に素早く飛び込み、みぞおちに放った一撃は、読まれていたかのように軽く阻まれた。すぐさまもう一方の拳を打ち込むが、こちらも完全に受け止められてしまう。一度間合いを取るべく、後方へ飛び退こうとしたが、その一瞬に足もとをすくわれた。
「――っ!」
 受け身を取りつつ倒れ込み、一回転して彼の追撃をかわすと、その勢いを利用して側頭部に蹴りを入れる――はずだったが、すんでのところで足首を掴まれてしまう。さらに、膝裏を抱え込んで体ごとのしかかられ、両腕までもがあっさりと取り押さえられた。逃れようと懸命に体を捩るが、彼の力には敵わず、ほとんど身動きすらとれない。
「も……もう一回!」
「いいかげん諦めろ」
 澪は躍起になって再戦を申し込むが、武蔵は溜息まじりに軽くあしらうだけだった。拘束していた両腕と左脚を解放し、少し体を起こすと、澪の顔にかかる乱れた黒髪をそっと払った。

 橘家と電話で交渉をしてから三日が過ぎた。
 それ以降、澪の手錠はずっと外されたままである。外に出なければ何をやってもいいと言われたが、やはりトレーニングくらいしかすることはない。それゆえ一人で黙々と体を動かしていたのだが、今朝ふと思い立ち、武蔵に手合わせの相手を頼んでみたのだ。
 彼は面白がって快諾してくれた。
 悠人以上に強い相手がいるのだから利用しない手はない。澪は大いに張り切って挑み掛かるものの、何度やっても軽くねじ伏せられるだけである。手合わせの意味があるのかも怪しい状態だ。実力が違いすぎることは嫌というほどわかったが、このまま終わるのは悔しく、なんとしてもせめて一矢報いたかった。

 澪は仰向けのまま、まっすぐに青い瞳を見つめて懇願する。
「あと一回でいいから、お願いっ!」
「もう勘弁してくれ。疲れたんだよ」
「嘘ばっかり」
 運動量でいえば、攻撃を仕掛ける澪の方が圧倒的に多い。おそらく澪よりずっと体力のある武蔵が、これしきのことで疲れるとはとても思えない。澪は思いきり頬を膨らませて不服を訴えるが、武蔵は大きく息をつき、ぐったりと澪に覆い被さるように脱力した。彼の体重がずしりとのしかかる。
「ちょっ、重いよ」
「しばらく休ませろ」
 武蔵は投げやりにそう言うと、澪の首筋に顔を埋めたまま、はぁっと熱い吐息を落とした。ドクドクと早鐘のような鼓動が、密着した体から伝わってくる。疲れているというのは本当なのかもしれない。
 でも、この体勢って――。
 先日、武蔵に抱かれそうになったあのときと似たような形になっている。違いは、服を着ていることと手錠がないことくらいだ。意識すると急に顔が火照り、体も熱くなってきた。鎮まれと思えば思うほど、鼓動も速くなっていく。どうしよう、と動けないまま狼狽えていると。
 ぎゅるるるるる――。
 腹の虫が盛大に悲鳴を上げた。
 しん、と時が止まったかのような静寂が訪れる。が、すぐに武蔵はククッと肩を震わせて笑い出した。ゆっくりと体を起こして立ち上がり、両手を腰に当てると、軽く息をつきながら小さく微笑んで言う。
「そろそろ昼飯の準備するか」
「え……あ、うん!」
 呆然と頬を紅潮させていた澪は、彼の一言で我にかえった。跳ねるように立ち上がり隣に並ぶ。
「お昼は何?」
「ぶり照り」
「やったぁ!」
 武蔵とともに台所へ向かいながら、無邪気に声を弾ませる。先ほどまでの動揺はもうどこにもない。足を止めずに歩く武蔵を、隣から覗き込んで見上げ、ニコッと屈託なく笑いかけた。

「ねぇ、お味噌汁も作るんだっけ?」
「あった方がいいだろ?」
「うん、じゃあ味噌とか出しとくね」
 澪は、武蔵に確認しながら一つ一つ食材を用意していく。
 拘束を解かれて以来、いつのまにか食事の準備や後片付けを手伝うようになっていた。武蔵に頼まれたからではなく、暇なので自発的に始めたことだ。家では専門のスタッフを雇っているという事情もあり、手伝いなどしたこともなかったが、武蔵との準備や後片付けはとても楽しく感じられた。
 こういうの、ささやかな幸せって言うのかな?
 手際よく料理を進める彼の手元を眺めながら、澪はふとそんなことを考える。人質として拉致軟禁された状態でおかしな話だが、それに近いものを実感していることは事実だった。

 昼食を平らげたあと、武蔵は思い出したようにテーブルの隅に手を伸ばした。
「懸賞金の三億円は寄付するらしいぜ」
 そう言いながら、無造作に掴んだ新聞をひょいと澪に手渡す。
 広げると、一面にその記事が大きく掲載されていた。孫娘が見つかったので三億円の懸賞金を取り下げること、寄せられた中に有益な情報はなかったこと、三億円は福祉団体に寄付することなどが書かれている。世間の反応が気になったが、そういったことは何も書かれていなかった。
「それで納得してくれればいいけど……あれっ?」
 難しい顔で新聞を畳もうとしたとき、ふと隣の見出しが目に入った。
 怪盗ファントム 予告通り高塚修司の作品を盗む――。
 そういえば、怪盗ファントムの予告があったと、数日前に武蔵から聞いていた。おそらく怪盗ファントムに扮していたのは遥である。澪がいない分、いつもより人数が少なかったはずだが、記事を読む限り問題はなかったようだ。
「良かった……」
 澪はほっと安堵の息をつき、胸を撫で下ろした。
「怪盗ファントムの方か?」
「うん、大丈夫だとは思ってたけど」
 武蔵の問いに答えると、新聞を四つ折りにしながら小さく笑う。しかし、対照的に彼の表情は険しくなった。瞬ぎもせず、まっすぐに澪の瞳を見つめて尋ねる。
「いつまで怪盗ファントムやるつもりなんだ?」
「え、私たちがハタチになるまでって聞いてるけど」
 なぜそんなことを聞くのか不思議に思いながらも、澪は素直に答えた。本来なら他言してはならないことだが、すでに正体は知られているので、この程度であれば彼に隠す意味はないだろう。
 武蔵は僅かに眉をひそめる。
「やらされてるのか?」
「うん、おじいさまに言われて仕方なく……私としては、あんまりやりたくなかったんだけどね。何だかんだ言っても、窃盗は犯罪だし、迷惑かけてるし、捕まったら困るし」
 澪は肩をすくめて苦笑を浮かべる。仲の良い友人にさえ話せないことなので、思わず愚痴をこぼしてしまったが、それでどうこうというつもりはなかった。だが――。
「それでも、あの家に帰りたいのか?」
「え? うん……それは、そうだよ……」
 思いがけない問いかけに戸惑いを隠せない。追い打ちを掛けるように、鮮やかな青の瞳がまっすぐに澪を射抜く。
「俺なら、そんなことはさせないけどな」
 武蔵はそう言い残し、空になった食器を流しに運んでいく。その唇は固く結ばれていた。まるで何かを堪えているようであり、心なしか怒っているようにも見える。
 澪はわけがわからず、きょとんとして彼の端整な横顔を見つめた。

「ん……」
 鉛のように重たい瞼が、ぼんやりと開かれる。
 昼食後、することもなく布団で横になっていたら、いつのまにか眠りに落ちていたようだ。澪は眠い目を擦りながら、気怠い体を起こして部屋を見渡す。だが、武蔵の姿は見当たらなかった。シャワーかトイレだろうと気にはしなかったが、厚手のカーテンがゆるりと風をはらんでいるのを目にすると、吸い寄せられるようにその窓際へと向かっていった。
 カーテンとガラス窓を開き、冴え冴えした外気を感じながら顔を出す。
 そこは小さなベランダになっていた。白い塗装がところどころ剥げ落ち、泥で汚れ、隅には枯れ葉が溜まっている。あたりは鬱蒼とした木々に囲まれており、他の建物はひとつも見えなかった。木々の隙間からは柔らかい日射しが降りそそいでいる。
 案の定、武蔵はそのベランダの奥にいた。白い手すりに腰からもたれかかり、携帯電話で何かを喋っている。彼はちらりと澪を一瞥したが、気にすることなく電話を続けた。相手は誰だかわからないが、かなり親しげな口調に聞こえる。
 澪は裸足のままベランダに出た。肌を刺すような凛とした空気と、凍てついたベランダの冷たさに、ぶるりと身震いして鳥肌が立った。半袖Tシャツでは厳しい。確かもう三月に入っているはずだが、真冬としか思えない気候である。
「ああ、じゃあな」
 武蔵はそう言って電話を切った。左肘を手すりに置き、右手の携帯電話を掲げて見せる。
「篤史から。行方を突き止めたんだと」
「へぇ、ずいぶん早かったね」
 一週間ほどかかるという話だったが、まだあれから三日しか経っていない。その間には怪盗ファントムの仕事もあったはずだ。それだけ篤史たちが頑張ってくれたということだろう。
「明日の早朝、橘の屋敷で詳しく話を聞くことになった」
「私も一緒に行けるの?」
「ああ、ただしメルローズを救い出すまでは俺の側にいろよ」
「わかってる。約束は絶対に守るから」
 澪は寒さを堪えながら武蔵の隣に並び、ざらついた手すりに指をのせる。吐く息が仄かに白い。武蔵はそっと横目を流して口もとを上げると、腰からもたれたまま、手すりに両肘をついて大きく顔を上げた。真上には薄水色の空が広がっている。
「今日でこの生活も最後になる、のかもしれないな」
「最後にしなきゃ。頑張ってメルちゃん助け出そう?」
 澪はグッと両こぶしを握って訴える。が、武蔵は不思議そうな顔で振り向いた。
「メルちゃん?」
「メルローズだからメルちゃん」
「ああ……」
 勝手な呼び方をして彼の気分を害したかと思ったが、そうではなかったようだ。彼は納得したようにひとり頷くと、再び空を見上げ、ふっと曖昧な笑みを浮かべて目を細める。
「そうだな、助けないとな」
 その横顔を、澪は横目でちらりと窺った。暫しの逡巡のあと、躊躇いがちにそろりと切り出す。
「あのね」
「ん?」
「もし……もしね、助けられなかったら……」
 この仮定を口にすることが、どれだけ無神経で身勝手かはわかっている。それでも訊かずにはいられない。彼の表情が大きく曇ったのを見て、若干たじろいだが、引き下がることなく言葉を継ぐ。
「私、帰れないのかな」
 その声に隠しきれない不安が滲んだ。
 武蔵は眉を寄せ、足もとに視線を落として沈思する。
「……帰さない。そういう約束だったはずだ」
「人質として使い道がなくなったとしても?」
「ずっと、一生だ」
 彼の声は落ち着いていた。感情的になっているようには思えないが、どこまで本気なのか、あるいは冗談なのか、もしくは牽制なのか、澪には判別することが出来なかった。しかし、メルローズを助けさえすれば丸く収まる話であり、助けられなかったときのことを考えるのはやめようと、無理やりに思考を切り替える。
「なあ……」
「ん?」
 今度は武蔵が躊躇いがちに切り出した。澪には目を向けず、うつむいて手すりに背を預けたまま続ける。
「メルローズを助け出したら解放するが、おまえさえ良ければ、そのあともずっと一緒に暮らさないか?」
 予想外の提案に、澪は声もなく目を見開いた。
「二人きりじゃなくメルローズも一緒になるんだが……おまえとなら上手くやっていけると思う。あ、いや、別にメルローズの世話を押しつけるつもりじゃない。おまえと一緒にいたいだけだ。ここじゃなく橘の家の近くに部屋を借りてもいい。もちろん外出は自由だし、学校にも行けるようにする。だから……」
「それは、出来ないよ」
 彼のひたむきさに心苦しさを感じながらも、そう答えるより他になかった。
 武蔵の顔に仄暗い陰が落ちる。
「俺を、許せないか?」
「そうじゃなくて……えっと……私、付き合ってる人がいるし……」
 武蔵を恨んではいないが、彼の想いには応えられない。それが澪の率直な気持ちだった。そして、武蔵ならわかってくれると信じて、戸惑いながらも正直に伝えた。しかし、彼は苦々しく顔をしかめて舌打ちする。
「なるほど、あの会長秘書か」
「あ、師匠は違うよ。ただの保護者」
「保護者……ねぇ……」
 眉をひそめて、まるで信じてなさそうに言う。確かに、ここ数ヶ月のことを思い返してみると、ただの保護者とは言いがたいかもしれない。だが、澪との結婚を望んでいるなどと言って、わざわざ話を煩雑にはしたくなかった。
「付き合ってる人は別にいるもん」
「そいつのことが好きなのか?」
「好きだから付き合ってるんだよ?」
 どうしてそんな当たり前のことを訊いてくるのだろう、と訝るように小首を傾げる。武蔵はすっと逃げるように視線を逸らせたが、意を決したように口を引き結ぶと、今度は怖いくらい真剣な眼差しで見つめ返した。
「俺じゃ、ダメなのか?」
「えっ?」
「その男じゃなくて、俺を好きにはなれないか?」
「あ……えっと、嫌いってわけじゃないんだけど……」
 ここまで食い下がってくるとは思わなかった。嘘をついているわけではないのだが、言葉を選ぼうとして歯切れが悪くなってしまう。目を泳がせて口ごもった澪を見て、武蔵は何かを悟ったように自嘲の笑みを浮かべた。
「約束どおり、メルローズを助けるまでだな」
「うん……」
「今晩だけか」
「だね」
 今度こそメルローズを無事に助け出そう。その強い意志を持って武蔵と向かい合う。しかし、彼の青い瞳は揺らいでいた。曖昧に微笑みながら澪の頬に手を添える。その包み込むような優しい温もりに、胸が、身体が、奥からじわりと熱くなるのを感じた。
「む……さし……?」
 当惑を含んだ声で呼びかけると、彼はすうっと目を細めた。頬に置いていた手を髪に差し入れ、ゆっくりと澪に顔を近づけていく。彼が何をしようとしているか、わからないわけではない。心臓は壊れそうなくらいに激しく打っている。けれど、震える瞼を閉じ、為すがまま身じろぎもせずそれを受け入れた。
 温かい吐息と、少し冷えた唇が重なる。
 そのとき初めて気がついた。すでに身体中の至るところを彼に翻弄されていたが、唇だけはこれが初めてだということに。別れを惜しむかのような長い口づけ。柔らかな木漏れ日が二人に降りそそぎ、清冷な風になびく黒髪をきらきらと輝かせていた。

 最後の晩餐、ということになるのだろうか。
 その日の夕食はいつもと変わらないメニューだった。武蔵はせっかくなので特別なものを作りたかったようだが、急なことだったので食材を揃える時間がなかったらしい。しかし、あまり感傷的な気分になりたくないので、澪としてはこの方がありがたかった。それでも、最後にもういちど感謝の気持ちだけは伝えておこうと思う。
「ごちそうさま。美味しかったよ……今までありがとう……」
「ああ……」
 それだけで思いのほかしんみりとしてしまい、澪は慌てて笑顔を作ると、明るく振る舞いながら食器を流しに運んでいく。武蔵も一息ついてすぐに立ち上がった。
 二人並んで後片付けを始める。
 取り立てて話すこともなく、澪も武蔵も黙々と手を動かしていた。喋っていればそうでもないのだろうが、ついベランダでの出来事を思い出し、無意識のうちに表情が硬くなってしまう。彼の気持ちを疑っているわけではない。ただ、彼の口づけを抵抗なく受け入れた、自分自身の気持ちがわからなかった。

 夜が更けたころ、二人はひとつの布団で横になった。
 明日は朝早くに家を出ることになっている。そして、おそらく美咲と対峙することになるだろう。しっかり寝ておかなければと思うものの、今日のこと、明日のこと、いろいろと考えてしまって寝付けない。武蔵に背を向けて少し体を丸める。
「澪……」
「ん?」
 背後からの遠慮がちな呼びかけに、澪は振り向くことなく聞き返す。
「眠れないのか?」
「うん、武蔵も?」
「ああ……」
 武蔵は溜息まじりにそう答えると、おもむろに体を起こして前髪を掻き上げる。澪もつられるように起き上がり、両手をついて隣から彼を覗き込んだ。間接照明の薄明かりが背後にあるため、陰が落ちてよくはわからなかったが、随分と苦しげな表情をしているように見えた。
「どうしたの?」
 顔を近づけたまま小首を傾げて尋ねる。と、武蔵は無言で澪の肩を抱き寄せ、あっというまに懐に引き入れた。澪はすっぽりと彼の腕に収まる。もぞりと僅かに頭を上げるが、彼の顔はほとんど見えない。
「あ……あの……」
「俺は必ずメルローズを救い出さなければならない。そのためにこの国へ来た。それ以外の可能性を願うことは許されない。頭ではわかっているが、気持ちが……どうしてもついてこない……」
 彼の声は苦悶に満ちていた。
 澪は考えを巡らせながら慎重に言葉を紡ぐ。
「会えなくなるわけじゃ、ないよ」
「けれど、おまえは……」
 武蔵は言いよどみ、澪の体を抱く両腕に力を込める。そう、会えなくなるわけではないが、彼の望む形で会うことはできない。受け入れるわけにはいかない。澪は返す言葉もなく押し黙るしかなかった。
 長い沈黙が続く。
 澪も武蔵も動こうとしなかった。互いの鼓動が呼応するかのように合わさり、体温は融け合うかのように重なっていく。微かに触れた熱っぽい呼吸が、自分の体を、相手の体をさらに強く火照らせる。
 Tシャツの裾から、大きな手がそっと入り込んだ。
 澪はビクリと体を震わせる。
 しかし、その手は一瞬の躊躇いを見せただけで、ゆるゆると脇腹の上を彷徨い出した。まるで澪の気持ちを探るかのように――無理強いはしない、という彼の言葉が脳裏によみがえる。嫌だと言えば、やめてと言えば、やめてもらえる確信はあった。けれど。
 おずおずと、澪は彼の背中に両手をまわした。
「澪……」
 熱く濡れた声に耳をくすぐられて、ゾクリと芯から震える。次の瞬間、体が浮いたかと思うと仰向けに寝かされていた。目の前には武蔵の顔があった。暖色の間接照明に照らされ浮かび上がる表情は、怖いくらい真剣で、何か思い詰めているようにも見える。その双眸には烈しい情欲が滾っていた。
 優しく落とされた口づけは、次第に荒々しいものへと変わる。
 その間にも、手はTシャツの中へ滑り込み、胸の膨らみをやんわりと揉み、その頂きに刺激を与える。唇は顎から首筋へ、そして、いつのまにかはだけられた胸へと向かう。
 澪の口から小さな声が漏れ始めた。
 前回と行為自体に違いはないが、得られる感覚はまったくといっていいほど違う。それは、澪の心情によるものなのか、武蔵の心情によるものなのか、あるいはその双方が合わさった結果なのか――。
 中途半端に脱がされた服が、ことさら淫靡さを強調する。
 二人の息づかいと衣擦れの音、そして体の奏でる音が、暗がりの静寂に生々しく響いていた。
「澪……目を開けて、俺を見ろ……名前を、呼んでくれ……」
「……っ……ん……」
 掠れた声で求められ、澪は固く閉じていた瞼をそろりと開く。
 涙の滲んだ瞳に武蔵の顔が映った。
 熱に浮かされたように、唇が彼の名前を紡ぐ。
「む……さし…………ん、ぁっ」
 シーツを掴み白い喉を仰け反らせた澪を、武蔵が覆い被さり抱きしめる。澪も彼の背中に手をまわし、縋りつくように細い指に力を込めた。頭の中は真っ白で、もう何も考えられない。ただ体に与えられる感覚だけが、澪のすべてを支配していた。


…これまでのお話は「東京ラビリンス」でご覧ください。

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らくがき・沙耶

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