
【バンタヤン島の美しいビーチ:今回の台風で、ここの施設は完全に破壊されたそうです】
イキナリですが、今、僕は、少々、疲れを感じております。
まあ、セブ市とか、取り分けウチの周囲のダメージは、レイテ・タクロバンの辺りに比べれば、微小なモノだった訳ですが、それでも、日常とは違う生活を強いられた僕らも‘被災した’と言える訳であり、先週末から、非常な緊張感の中、気が休まる間がなく、今日を迎え、完全仕事モードに入った事が非常に大きいです。
しかも、昨日、やっと戻ったと思われた、電力、水供給が今日も実は安定せず、ウチの中での生活がスムーズに進まない事、それに今日の帰りがけには、エスカリオからフォインティ一帯の電気がストップした結果、信号機が麻痺して、不測の大渋滞が起こった事も‘それ’に拍車をかけました...
泣き言を言う積りはありませんが、僕の立場上、こうした状況にあっても、各方面に気を使わなければならない事は、知らず知らずの内にストレスになってしまった感じです。(取り分け、災害が起きて先の見通しが利かない時に、万が一の事があるとイケナイので、一杯飲んで息抜きっていう何時ものパターンが使えなかった事も利いているような感じです...苦笑)
…さて、本題に入りますが、今回の台風30号の上陸地点となったタクロバンは、日本でも報道されている通り、阿鼻叫喚の地獄絵図になっているようです。
ここは、地形の関係もあって、台風に伴う高潮が波高5~6mという津波級のモノとなり、建物を破壊し、人々を押し流し、その後、西へ進んで、セブ島北端から冒頭画像のバンタヤン島で破壊の限りを尽くして行ったようです。
実は、タクロバンは、僕が、ここセブで駐在を始めた2000年11月11日に訪れ、駐在開始直後、NGOの初仕事をした場所です。そして、冒頭画像のバンタヤン島は諸事情があって、今年になって、3回訪問し、お気に入りの場所になったばかりでした。
…まあ、そうした事についてセンチメンタルになる積りは更々ありませんが、少なくとも、知っている場所だけに、そこで起こった悲劇と言うものを、僕は尋常ならざる臨場感をもって捉えており、‘それ’も疲れの原因になっているかも知れません。
そして、最も今、気になっている事は、タクロバンで大規模な略奪が起こっているという事実です。
実は、この台風を迎える前、僕が買出しに出かけた際には、ウチの近所のスーパーで‘パニックバイイング’が起こっていた事は先日御伝えした通りですが、この時、僕が率直に思ったのは、
“こうして、僕も含めて、事前に物資を押さえられる資力のある人はまだマシだけれど、その日暮らしをしている大多数の人々は、一旦‘事’が起こった時に、一体全体、どうなるのだろうか?”
…と言う事でした。
そして、その懸念は、タクロバンという思い出の地で形となって現われてしまった訳です...
この背景にあるものは極論すれば、物質的、精神的両面の貧困がある訳ですが、伝え聞いたところに拠ると、略奪に遭った某大手スーパーのチェーンのオーナーは飢えた人々を止めることは不可能と判断して、
『分った。食料については、この非常時だから、あなた方に差し上げよう。好きに持って行ってくれれば良いよ』
…と言うような声明を発表し、スーパーのゲートを開けさせたようです。
しかし、そこの人々が取った行動は食料品どころか、家電からバッグ類から何でもかんでも、濡れ手に粟の如く、奪い去ったと言う事のようです...
実際に映像でも確認しましたが、アイスクリームの冷蔵ケース毎奪い取って、それにTVカメラを向けられた‘泥棒たち’が、カメラに向かって誇らしげにVサインを出していた事に、何と言うか、哀しみすら覚えました...(勿論、生存ギリギリで止むを得ず、そうせざるを得ない人も多い訳で、どうぞ誤解なさらないで下さい)
さて、ここフィリピンは俗に、‘幸福度の高い国’と言われます。
しかし、現実は、‘こう’なのです。
...ハッキリ言いましょう。本当に幸福で満たされた人々であれば、‘こんな事’は絶対にしません。
本当は日々欠乏して、憎悪の塊になっているのに、‘何らか’の影響で、薬物や酒に陶酔するが如く、‘幸せだ’と言っているのが現実なのです。要は、その日々の生活の裏側にある‘脆いモノ’から目を背ける何かがあっての‘似非幸福感’があるだけなのです...
こうした事は体感・体験があって初めて分かる事であり、外側から見ているだけ、或いは、拙い言葉によるコミュニケーションだけでは掴めるモノではありませんが、こうした非常時に、こうした事態が起これば形となって見え易いだけなのです。
...誤解しないで頂きたいのですが、内容の良し悪しではなく、今回も、こうした事態が起き、お問い合わせとか安否を心配頂くメッセージを何通も頂いた中で、僕が鮮明に感じた事は実際に東日本大震災とか阪神淡路大震災を体験された方とそうでない方のメッセージから伝わるモノが明らかに違うと言う事です。要は、これが被災という体験がアルナシの決定的な差なんでしょうね...
つまりは、言葉ソノモノなんて体験・体感が伴わない限り、非常に虚しいモノなのだと言う事を今回ばかりは痛感している次第です。
そんな訳で、言葉を尽くしても本当に虚しい事なのですが、仕方が無いものは仕方が無い…それに尽きます。
何だか、自分でも何を言っているのやら、サッパリ分らなくなってしまいましたが、明日はセブ島北端の被災地の子ども及び、関係者と連絡が取れなくなってしまっていますので、先ず、現地へ行って確認して参ります。
...取り敢えずの御報告まで。
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