セブ島移住者の本音トークⅡ

セブ島でNGO活動に従事する管理人が、フィリピン人家族との奇妙な生活や、現地での国際交流について語ります。

ゴリ押しと非常識....

2013-06-08 | NGO活動

新学期(新学年)が始まり、雨季も本格化して来た今日は、冒頭画像の通り、日本の梅雨さながら、非常に、鬱陶しい天気になっております。


先週から、小学校、ハイスクールでは新学期が始まり、来週明けからは、ほぼ全ての大学も新学期がスタートしますが、その関係で、今週も色々な調整局面(?)がありました。


折角、小学校から支援を続けてきたのに、そして、成績標準も十二分だったのに、一家の大黒柱になっていた御祖母ちゃんが病気で入院した為に、今学期の就学を断念せざるを得なくなった奨学生Aさんもおりましたし、こちらのアドバイスを聞かずに、昨学年、無理に私立のハイスクールへ子どもを送った結果、惨憺たる内容になった同じく奨学生Bさん一家のケースとかもあり、色々、アドバイスしたり、叱咤激励したり…とまあ、結構、バタバタしました。


ここで述べた代表的な2件(他にも色々あったのですが、比較的大きな問題について取り上げただけです)については、実は、問題の根本は共通しており、要は、僕らプルメリアが支援対象にしている庶民層というもの、皆、その生活の基盤が不安定であると言う事なんですね。


まあ、Aさんのケースで、一家の大黒柱が病気になった…これは、日本でもあり得る事ですが、ここでは、こうした‘稼げる人’の周囲に扶養されている家族・一族が基本的に非常に多い為、その問題の大きさ、影響の範囲たるや、日本のそれとは比べ物にならない位のインパクトがありますが、ここの基本的構造を考えると、ある種、どうにもならない事で、僕らとしても、その対象の奨学生については、‘気の毒’としか言いようが無いのです。


要は、Aさん一族は、‘そうした状況’(一族郎党が一人に寄りかかっている状態)に甘んじた訳ではなく、少なくとも、この対象の子Aさんに限って言えば、そうした一人に頼るだけでなく、将来、彼女が、自立できるよう、勉強を頑張ったが、志半ばで、中断せざるを得なかったと言うか、タイミングが悪かっただけです。


それに対してBさんのケースでは、先にも書きました通り、そもそも、こうした状況を見越して、こちらは適切にアドバイスを送ったにも関わらず、我を通した結果なので、本来であれば、支援打ち切りでも良かったかも知れませんが、先方も自らの非を認めて平身低頭して来ましたので、一応、堪忍しました。


この一件について、詳細に踏み込みますと、そもそもの問題は、この奨学生Bさんではなく、その保護者たる祖母Cさんにあったのでした。


...Bさんをサポートし始めたのは、彼女が、まだ小学校3年生だった4年前の事でした。実は、彼女は、学校からの推薦ではなく、プルメリアセブの前事務所の大家さんの知り合いの弁護士さんを通じて、“余りにも気の毒な境遇の人がいるから支援してあげてくれないか”との打診があったからです。


それで、この御祖母さんと、その孫、Bさんを直に訪問し、色々な話を聞くに連れ、確かに、推薦者が言うように、余りにも大変な境遇にある事は、僕にも直ぐに理解できました。


まず、このCさん(御祖母ちゃん)両目に白内障を患っており、視力が殆どないので、Bさんが彼女の目の代わりをしているような状態でした。


Cさんは、元公立小学校の教師であり、本来ならば、比較的悠々自適の生活をしているところだったのが、Bさんの母親Dさん(即ちCさんの娘)が結婚し、Bさんを出産後、程なくして、末期ガンに侵された事で、転落が始まったようです。


その際、Dさんの夫(Bさんの父親)は、闘病で苦しむDさんと娘のBさんを棄てて、他所の女の下に走り、見るに見かねたCさん(祖母)が自分の年金とか、退職金を担保に借金をして、娘Dさんの闘病生活を支えるも、Dさんは帰らぬ人となり、行き場の無くなったBさんを祖母であるCさんが、引き取ったのだとの事。


しかし、その後、Cさんの定年退職と前後して、Cさんは、重度の白内障を患い、娘Dさんへつぎ込んだ医療費(借金)の影響から、自らの病を治す余裕もなく、視力を失い、それ以来、Bさん(当方の奨学生)が祖母Cさんの目の代わりをしながら生活するようになったのだそうです。


こうした背景をして、正直なところ、僕は、Bさんを奨学生として受け入れた場合、当方の就学支援の範疇を超え、他の大変な問題をも背負い込む事になるのではないかと言う強い懸念をもったのですが、祖母Cさんとも、当方の支援のスタンダードをよくよく確認して(目が不自由なので規約の読み合わせをシッカリして)その上で、当方に出来る事、出来ない事をハッキリさせ、結果として、Bさんを奨学生として採用するに至ったのでした。


しかし、その後、数年に渡って、Bさんのサポートをする中で、勿論、これは、ここフィリピンの社会環境とか福祉のあり方が悪すぎる事(それを支える根拠が無い事)がコンポンの原因なのですが、この御祖母ちゃん(Cさん)には‘自分と孫が可哀想’だと言う事を盾にして、色んなゴリ押しをするクセがある事に気がつきました。


その都度、僕はギリギリの判断をしながら、

『最初から、‘それ’はしないと約束したでしょ!』

…とした具合で、何とか騙し騙し、繋いで来ましたが、ある時、この祖母と孫娘の生活基盤がどうしようもなく揺らぎ、ややもすれば路上生活に転落するかと言った局面があり、その際には、“一度限り”の約束をして誓約書も作成した上で、(一度限りを言う事を理解し、他言は無用云々)滞納した家賃を清算する為の特別援助を行った事がありました。


それからも、色んな局面があった中で、ある時には、こちらが、余りにも、‘規約’と盾に取るものだから、先方も戦法(?)を変え、嫁に対して、電話で、“あなた方の個人資金を貸してくれれば済む事でしょ?”的な物言い来た事すらあり、その時、嫁が、断固として拒否したのに逆上したCさんが、電話を‘叩き切った事’もありました。


その時ばかりは、嫁も非常に感情的になり、

『何よ!あれは、ちょっと行き過ぎじゃないの?酷いわ!』

…と、僕に対して、訴えたのですが、

『分かるけどさ、向こうは本当に困っているんだろうから、堪忍してやれよ...』

…と、僕らもギリギリのところで何とかやって来たのであります。


...さて、そんなこんなで、やっと、今回の御話に直結する、昨年の出来事を御話する事が出来ます。


該当の奨学生Bさんは、昨年、小学校を5番手の成績で卒業する事が出来たので、私立のハイスクールから、準特待生のオファーが来たのでした。


その事で、御祖母ちゃん(Cさん)は舞い上がってしまったようで、何とか孫を私立校へと一生懸命になっていました。気持ちは分からないでもないのですが...


そんな訳で、僕は、そこに‘危険’を察知したので、この御祖母ちゃんに対して、思いとどまるよう、説得しようと試みたのです。


理由は簡単な事で、それまでに、あまり経費の懸からない公立小学校へ通いながらも生活の基盤そのものが不安定な所為で、様々な問題があって、その都度、騒ぎを起こして来たのは前述した通りの事です。


それをベースに考えると、例え、当方から奨学金を出したとしても、準特待生(授業料半額免除)で、その他教材費、日々の交通費その他諸々、継続的に捻出する事は、ほぼ不可能であろうと言うのが僕の懸念でした。


それで、僕は、‘そうした事’をちゃんと説いた上で、この御祖母ちゃんには、

『Bさんの力があれば、公立ハイスクールでトップ集団に入る事は間違いないから、大学進学の時にこそ、こうした特典を利用すべきであって、今は、ギャンブルをすべきでは無いと思いますよ...』

…と言ったのです。即ち、‘鶏口となっても牛後になる勿れ’と言う事で、これは経済弱者が生き残る為の戦略なのであります...


実際のところを言いますと、大学進学を最終目標にセットした時、この方が目標に到達し易く、この方式で成功を収めて行った僕らの元奨学生たちの実績もあったので、僕は自信をもって、‘それ’を勧めたのでした。


...が、この元教師である御祖母ちゃんは、自分のプライドの所為なのか何なのか、僕の話に、半ばヒステリックな反応を示し、断固、拒否したのでありました。


それで、僕も終いには業を煮やし、

『それじゃ、勝手にして下さい。途中で(お金に)困ったからと言っても、こちらからは、一切、規定範囲外の支援をしませんから、それでも宜しければ、おやりになったらどうですか!』

…と突き放したのでした。


そして、その後、旧学年中に起こった事は...


Bさんの成績が激しく落ち込み、最終的に、当方の標準とするレベルを遥かに下回ってしまったのです。


...これは、プルメリアの規定には、標準成績を下回った場合、原則、支援は継続しないと謳ってありますので深刻な問題です。


それについて、御祖母ちゃん(Cさん)は、

『これは、この子の試験の結果が悪かったと言う事ではありません。資金難で、課題製作の材料購入が出来ないで、提出が滞って、その部分がマイナスになった結果ですから御配慮下さい』

…と、こちらに泣きついて来た訳です。


僕は、彼女の話を黙って聞いていましたが、話が一通り終わった後で、

『それは、誰の責任ですか?』

…と、御祖母ちゃんに問いかけました。


彼女(Cさん)がキョトンとしていたので、僕は続けて、

『あの...ですね。僕が去年、ちゃんと御話したでしょ?そうした事も含めて‘資金難’を心配したからなんですよ。‘多分、無理ですよ’って。だけど、あなたは頑として聞き入れず、結果として、こうなりましたよね。それ、即ち、あなたの責任じゃないですか!』

…と、Bさん(奨学生)が隣に居ましたので、気は遣いましたが、それでも、ハッキリと結構、強い口調で言い放った次第です。


それについて、Cさんは、ぐうの音も出なかったようで、ひたすらに謝り続けました。‘後生ですから...’と。


実を言えば、そんな御祖母ちゃんの事を見ても、僕は何とも思わなかったのですが、その横で神妙な顔付きで話に聞き入って、事の深刻さを良く理解している様子を見せていた、Bさんの顔だけを観察していて、僕は決断を下しました。

『今回だけは継続を認めますが、今年度中に改善が見られない場合には、規定通り、援助を切ります』

…と言う事にしました。


冷たい言い方かも知れませんが、こうして凝り固まってしまった老人に、僕は何を言っても無駄だと思っていますが、それなりに理解力のある子どもには、まだ、可能性はあるので、この御祖母ちゃんに向かって話した事も、実は、奨学生Bさんに向けての間接教育の積りだったのです。


...まあ、今後、事態を注意深く観察する必要はありますが、それでも、何とか、Bさんには頑張って欲しいと思っている僕であります。


*6月9日加筆

こうして、成績不良になってしまったBさんは、通っていた私立校での‘準特待生’の待遇は剥奪され、当然、資金的に続かないので、今年度から公立校に転校する事になりました。…最初から、そうしていれば資金的に、もう少し、余裕を持つ事が出来た筈だし、彼女のキャリアに傷が付く事も無かったのに、本当に惜しいです。


 

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