セブ島移住者の本音トークⅡ

セブ島でNGO活動に従事する管理人が、フィリピン人家族との奇妙な生活や、現地での国際交流について語ります。

日本の歌とフィリピン人

2007-11-22 | フィリピンの文化・風土・風習

【写真:日本語教室の比人学生と日本人学生達】



 

この記事の内容と上の写真には直接の関係はないのですが、僕が運営する日本語教室では、時折、J-POP(日本の歌謡曲-既に死語?)を教材に使っています。

外国語を習得する時に、まず、その言語の歌を、まず一曲でも良いから、オリジナルの歌手を出来るだけ真似て、ソラで歌えるようにすると、かなり効果が高いと思われ、僕も英語をマスターする際には、当然、机上の勉強もしましたが、こうしたやり方で、かなりの効果があったと確信していますので、文法的な説明ばかりで飽きが来たような時に、スパイスを利かせるような感じで、まず、日本語の音に慣れる事、フレーズ・単語を覚え易くする事、そして、一緒に歌う事で、‘口慣らし’をする事を狙っています。(…全体として、歌というものは、その言語のエキスを凝縮したようなモノですから、‘キモ’の部分を捉えるという意味においても重要でしょうね)

ちなみにフィリピンには、日本のJ-POPと同様、OPM(オー・ピー・エム:Original Philippine Music) がありますが、最近では、特に一定以上の教育を受けた階層を中心に、アメリカやイギリスの歌謡曲-日本で言う‘洋楽’-の人気が高くなったせいもあってか、OPMであっても、タガログ語ではなくて、英語で歌われている曲も少なくありません。特にセブでは英語の曲が好まれる傾向にあるようです。

また、日本では、お馴染みの日比間を行き来する、フィリピン人エンターテイナー(タレント)の存在があった事も大きく関係していると思われますが、日本の曲がタガログ語に翻訳されて歌われているケースも結構あって、(…一説には、こうした曲が100曲を超えると聞いたこともあります)場合によっては、それらが、庶民の間では、純粋な  OPMであると認知されてしまっているようなケースもあります。

そうした曲で代表的なものは、徳永英明の‘最後の言い訳’、浜田省吾の‘もうひとつの土曜日’、河村隆一の‘Love is...’と言った所でしょうか。比較的スローテンポでバラード調の曲が好まれるようです。

また、最近では、日本の各種アニメーションが、英語、或いはタガログ語に翻訳・吹き替えされて、フィリピン国内で放映されていますが、そのテーマ曲は、原曲(日本語)のまま流されているケースが殆どですので、ウチの里子(奨学生)たちには、その辺りへの関心が高く、歌の中の単語・フレーズについて、日本語教室の中で質問を受ける事もしばしばあります。(ここフィリピンで放映されている代表的な日本のアニメは、ドラゴンボール、スラムダンク、るろうに剣心、ナルト、ガンダム・シード、ドラえもん…と言ったところです)

一般的に言って、フィリピン人たちって、音楽ナシでは生きて行けない(…逆に言えば、音楽さえあれば、常に生き生きと楽しそうにしている)ようなところがあり、実は、こうして、ちゃんと意味が分かった上で日本語の歌を覚える事は、フィリピン人たちには、本当に適した訓練であり、勉強であるようにも思われます。(事実、それまで眠そうに授業を受けていた比人学生たちが、曲をかけると、一気に生き生きとし始めます…苦笑)

さて、普段は日本に居ない僕が、こうした日本の楽曲をどうやって手に入れるかと言う事ですが、昨年くらい迄は、インターネットでダウンロードが可能な日本のサイトに接続して、一曲200~300円で買っておりました。が、最近では、著作権の関係からか、海外からのアクセス・曲の購入を禁止しているサイトばかりになってしまい、買いたくても買えない状況になってしまい、困っていました。

しかし、何とかしたいと言う思いの中で、英語サイト(日本の皆様から見れば海外のサイト)で、J-POPがダウンロード出来ないかどうか検索していたところ、最近流行のYou Tube にて、何と!‘ビデオクリップのオマケ’まで付いて、嬉しい事に、




 


全部タダ!



 



…これ、本当に怪我の功名って言うか、これまで一々、面倒な手続をしてお金まで払って居た事が馬鹿馬鹿しくも感じてしまいますね。

当然、こうした事も著作権に関わる問題の為、先々、どうなるのか分からない部分も含んでいるのは理解していますが、まあ、取り敢えずの所、僕のような立場の人間にとっては大歓迎です。

 



話は変って、どんな曲を教材に使っているのかは、またの機会に、ボチボチとお知らせしようかと思いますが、僕としての基準(原則)は、まず、分かり易く、ハッキリ・シッカリ歌っているモノ、あまり砕けた表現を用いていない事、日本人の特殊性が薄くて、万国共通に理解しやすい内容のものを選びたいのですが、フィリピン人への導入部では、OPMとも捉えられている、徳永英明の‘最後の言い訳’(歌詞は、こちら :タガログ語では、Ikaw pa rin)が非常に受けるような感じです。

…しかし、これって、実は、文法的にはかなりのハイレベルで、各所に倒置が使われて、本来の日本語の語順とは違っているところも多いし、例えば、日本人の感情を表す形容詞-‘つらい’とか、‘せつない’なんて、一般的に英訳したら、painful と言った語しか出て来ないから、どんな状況で、そうした表現になるのかをちゃんと説明して上げないと、キチンと理解する事は難しいと思われるので、結構面倒です。(更に言えば、フィリピン人たちとて、英語に強いとは言っても母国語ではないので、余り高度で使用頻度の低い英単語を使って説明しても無意味ですから、平易な表現で分かって貰えるよう、テクニックが必要です)が、その反面、こうしたプロセスを通して、日本人の事も、より突っ込んで理解してくれる可能性もあるので、良いのかな…と思ってみたりもしています。

(逆に、日本人が英語の中でうまく理解していない代表的な表現は、I miss you. と I love you. かも知れませんね。上記の曲の中で、‘心配は要らない さびしいよ’というフレーズがありますが、ここの‘さびしい’は、I will miss you とやらないで、I feel lonely. なんてやってしまうと、全く理解されないかも知れません)

また、この歌は、かなり日本人的なモノで、この歌の中にある男女の関係は、両者は深く愛し合っているが、‘彼女’の方が、‘彼氏’の為に身を引く…そして、それを分かっている‘彼氏’も辛いけれど、‘彼女’を止められない…この辺りの感情の機微は、多分、フィリピン人の日常の中にはない感覚なので、難しい側面があります(ザクッとした理解では、単に‘悲しく寂しい’と思うだけで、何故、日本人がこうした行動を取るのかまでには思いが至らないので、味わいが薄くなります)が、この辺りをキチンと説明する事で、日本人とフィリピン人の距離ってヤツをかなり縮める事にもなるので、これも、これで、意味はある…そんな感じで捉えています。

…と言うわけで、こうしたプロセスは大変ではありますが、反面、楽しんでいる僕でもあるのです。(笑)



 


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5 コメント

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お願いが (crocodile roro)
2007-11-22 20:59:47
お願いが、
私の妻が日本に来たらインターネットを使ってその
日本語学校に参加させてもらえませんか?
方法はskypeを使って、それが出来ると助かり
ます。

何せ駅前留学が出来なくなりましたからね、それに
権兵衛さんの方が微妙なニアンスも旨く教えて貰え
そうですから。そうすれば後から私が妻から英語を
教えてもらえて一石二鳥

もちろん費用は負担しますし、自作の教材もメールで
送って頂ければこちらで印刷します。これが出来ると
たすかりますねーー、如何でしょう何か方法を考えて
ください
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台風 (crocodile roro)
2007-11-22 21:08:47
先のコメントみたいに馬鹿を言っていられない位
に台風が発達してますね、人的被害が大きく出な
い事を祈ってます。
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喜んで.... (権兵衛)
2007-11-22 22:46:45
crocodile roro さん、それでは、喜んで!(笑)

…が、多分、個別で教授するのは別にして、集団でやる場合には、カメラの問題、音声の問題他、かなりシステマティックに考えないと難しいかも知れませんね。

一度、ネットを通じて、巧く、クラスの状況を中継できるかどうか実験してみる必要がありそうです。

台風の件…今、セブは弱い雨が降っているだけで、今回のは巧く逸れてくれそうですが、ルソン方面は、直撃される公算が高くなって来ました。昨年、同方面では、甚大な被害が出ていることもあって、危ないと思われる場所では、既に住民の避難が進んでいるようです。大過なく過ぎてくれることを祈るばかりです。

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Unknown (meseyan)
2007-11-23 08:51:45
おー すごい!!
すばらしい
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meseyan さん..... (権兵衛)
2007-11-23 21:21:19
いや~、そんなにお褒め頂くと、恥ずかしくもあります。まあ、なんと言いますか、まだまだ手探りの状態…発展途上ですので、先々、楽しみではあるのですけれどね…(苦笑)
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