30年前の6月24日。
県南地方で起きた大きめの事件がその前日に片付いて、不眠不休のような1週間の出張を終えてアパートに帰った。
正午すぎだったと思う。
すぐに横になろうとしたが、留守番電話が点滅していた。
彼女の妹からだった。
「いま、姉が亡くなりました」
その後の数時間は記憶がない。午後7時過ぎに彼女の実家に着いた。
彼女のお母さんが「ほら、〇〇さんが来てくれたよ。ほら、起きな」と彼女の体をゆすった。
彼女の頬に手を当てて、しばらく彼女の顔を見つめていた。
目を閉じたままの彼女は、微笑んではくれなかった。
頬から伝わってくる冷たさだけが、今も峻烈な記憶として残っている。
25歳。生きていれば、今年で55歳。
おれはそのあとの30年間、いろいろな道を歩いてきたよ。
おれはもう少し、生きようと思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます