いい覚悟で生きる:がん哲学外来から広がる言葉の処方箋 | |
樋野 興夫 | |
小学館 |
「がん哲学外来」の樋野先生の新刊書です。心に沁みる、心が慰められる言葉の処方箋集です。
一番心に響いた言葉。
「がんになる前の自分が最高だなんて、誰が決めたんですか?自分で決める人生は、病気とは関係ありませんよ」
もう二度とがんになる前の自分には戻れない...(涙)と思う人は多いのでは。でも、先生のおっしゃるとおり!
自分の役割意識と使命感を持って生きる決意、それが「いい覚悟」だそうです。
「がん哲学外来」提唱者が贈る言葉の処方箋
がんになっても、人生は続く。がんになってから、輝く人生だってある。
がんと告知されてから患者さんが心に抱えることは、「病気、治療、死に対する不安が3分の1で、あとは人間関係の悩みが実はいちばん多い。家族、職場、医師……それまでなんとも思わなかった周囲の言動に反応して心が傷つくのです」と、「がん哲学外来」の提唱者で発がん病理学者の著者・樋野興夫先生は言います。
「がん哲学外来」とは、多忙な医療現場と患者さんの「すきま」を埋めるべく予約制・無料で開設された、今もっとも注目を集める「対話の場」です。約60分、著者はがん患者やその家族とお茶を飲みながら、不安や精神的苦痛を直に聞いて解消できる道を一緒に探します。そして、どんな境遇にあっても「人はいかにして生きるか」という人生の基軸となるような「言葉の処方箋」を贈っています。その数は延べ約3000人にも及びます。
本書は、がん哲学外来の「言葉の処方箋」を初めてまとめた待望の一冊。著者自身が影響を受けた新渡戸稲造や内村鑑三、病理学の師である吉田富三ら偉人たちの語り継がれる金言から、哲学的なのにユーモアあふれる一言まで、読めばくじけそうな心が元気になる、人生に「いい覚悟」を持って生きるための言葉にあふれています。
【目次】
がん哲学外来―心地よく、気軽く
第1章 ゆだねる
人生いばらの道、されど宴会
ユーモアとはユー・モアなり「あなたを、もっと大切に」
八方塞がりでも天は開いている
無頓着に大胆になること
目下の急務はただ忍耐あるのみ
砕けたる心、小児のごとき心、有のままの心
あなたには死ぬという大切な仕事が残っている
「暇げな風貌」と30秒の静思を
第2章 つながる
いい覚悟を持って生きる
いのちに期限はありません
思い出すのもいやな思い出ともつき合う
マイナス×マイナスでプラスに転じる
自分を見ないという生き方もある
人生は不連続の連続である
「偉大なるお節介症候群」と認定します
第3章 受けとめる
あいまいなことは、あいまいに考える
がん細胞は、わが家の不良息子と同じ
孤独を友としましょう
がんも病気も個性のひとつです
どうせ人は死ぬのだから
プロとして客観的な視点で自分をとらえる
肝臓のすぐれた働きに学ぶ
尺取虫になって歩む
「天寿がん」でいきましょう
第4章 乗り越える
病気であっても、病人ではない
今日は「今日の苦労」で十分
楕円形のようにバランスよく生きる
愉快に過激に品性を持って
疾風に勁草を知る
グレーゾーンに対して語るには愛しかない
自己に頼るべし、他人に頼るべからず
センス・オブ・プロポーション
第5章 与える
人生の目的は品性を完成するにあり
お互いが苦痛にならない存在となる
明日死ぬとしても、今日花に水をやる
勇ましい高尚なる生涯
寄り添う心は言葉を超える
余計なお節介よりも偉大なるお節介を
なすべきことをなそうとする愛
病床にあっても、あなたは役立っている
人生と向き合うチャンスは思いがけず与えられる
患者さんが笑顔を取り戻すために医療の維新を目指して
「がん哲学外来のチーム医療」を支える偉人たち――参考図書リスト