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映画監督オリバー・ストーンと欧米リベラルの発想

2017-08-23 12:01:02 | 戦勝国史観


 「歴史通」9月号で、えのくちじゅん氏が映画監督のオリバー・ストーンについて書いている記事が興味深い。オバマ大統領の広島訪問に、ストーン監督のドキュメンタリー「語られなかったアメリカ史」が影響を与えたという推測の下、その内容を解説している。

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 戦勝国アメリカを絶対正義とし、敗戦国日本を悪とする「戦勝国史観」に疑問を持つ日本人にとって、アメリカ史の闇を描くストーン監督の作品は絶対に見るべき必須映画である。ケネディ暗殺を描いた「JFK」や、ウォーターゲート事件を扱った「ニクソン」は、何度も何度も繰り返して見たものである。特に、ケネディ暗殺はアメリカ史最大の謎であり、陰謀論とはいえ、かなり真実に迫った内容である(映画では、CIAのY将軍が暗殺を指揮したように描かれている。Y将軍のモデルは、エドワード・ランズデール空軍少将だが、私の予想では、犯人は別人)。

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 ケネディ暗殺はアメリカ史のタブーではあるが、映画「JFK」の影響もあり、暗殺の背後に陰謀が「あった」と考えるアメリカ人が、「無かった」とする人より多くなっている状況なので、最早タブーではないかもしれない。一方、第二次世界大戦のアメリカの正義を否定することは、未だに絶対的なタブーであり、ストーン監督の「語られなかったアメリカ史」は相当の物議を醸した。そもそも放映してくれるテレビ局やスポンサーがなかなか見つからず、大手メディアには無視され、内容的にも「歴史修正主義」と非難された。

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ピーター・カズニック教授


 この「語られなかったアメリカ史」において、歴史検証を担ったのがアメリカン大学歴史学部のピーター・カズニック教授である。アメリカのタブーを破り、「原爆投下の正当化」神話に鋭いメスを入れた学者ではあるが、彼の南京事件に関する記述を見ると、以下の通り、日本を悪とする旧態依然とした陳腐なプロパガンダから全く進歩しておらず、がっかりさせられる。彼のようなアメリカのリベラルな学者にとって、第二次世界大戦のアメリカの正義を否定する勇気はあっても、敗戦国日本を「悪」だと決めつけるプロパガンダの汚名を晴らす発想は皆無だったりする。
 

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 何故、このような発想になるかというと、彼らの左翼的なイデオロギーが原因だろう。欧米のリベラルが開花したのは、ベトナム反戦運動。ベトコンなど共産勢力にシンパシーを持ち、アメリカ帝国主義と闘った彼らにとって、保守層から「歴史修正主義」と非難されようとも、第二次世界大戦におけるアメリカの正義を否定するところまでは踏み込む勇気がある。だが、第二次世界大戦に勝利した共産勢力の正義だけは絶対不可侵なのであり、その正義の裏付けとなる敗戦国の戦争犯罪に関して、見直す気など更々ない。寧ろ、日本人が南京大虐殺や慰安婦強制連行を否定しようとするならば、ヒステリックに「歴史修正主義者!」のレッテルを貼ってくるだろう。

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左から、カズニック教授、ストーン監督、ジャパン・フォーカスのマクニール記者
 ピーター・カズニック教授は反日サイト・ジャパン・フォーカスと組んで反沖縄米軍基地運動にも熱心に取り組んでいる。2013年、ストーン監督と一緒に来日した時は、外国特派員協会で記者会見をし、日米同盟を批判すると同時に、なぜか安倍首相批判をブチ上げていた。戦後の日米関係を”problematic”、安倍首相を「歴史否定主義者」「軍国主義者」と決めつけ、日本は南京虐殺と慰安婦問題を直視し、憲法9条を順守して、アメリカから決別するべきだ!と、まるで日本共産党のようなことを主張していた。カズニック教授と共著がある田中利幸や乗松聡子は、ジャパン・フォーカスのエディター。この二人はストーン監督の広島・沖縄訪問にそれぞれ同行している。記者会見の司会をしているマクニール記者ジャパン・フォーカスである。

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広島平和記念資料館でストーンとカズニックを案内した田中ユキは、慰安婦問題で悪名高い


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沖縄でストーンとカズニックを案内する乗松聡子
 「歴史通」9月号の別の記事で、元海兵隊のマックス・フォン・シュラー氏が気になることを書いている。アメリカ共産党が岩国基地内でスパイ活動をしていたという内容。彼らは「パシフィック・ニュース・サービス」という新聞社を隠れ蓑にして、安保条約を潰す活動をしていたとのこと。そう言えば、
ジャパン・フォーカスも、「アジア・パシフィック・ジャーナル」という別名を持っている。単なる偶然だろうが、ジャパン・フォーカスも左翼の巣窟。記者や大学教授を隠れ蓑にして、政治活動をしている輩ばかり。安保条約でも一致している。

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 大多数のアメリカ人にとって、第二次世界大戦は「良い戦争」であり、「アメリカの正義」を否定する行為は「歴史修正主義」。左翼の一部には、アメリカの正義をベトナム戦争同様、否定するところまでは踏み込むが、「日本の戦争犯罪」と否定する行為は
「歴史修正主義」。日本の左翼同様、所詮、反戦平和運動はリベラルによる政治活動の方便であり、彼らが反対する「戦争」とは、共産主義を阻止する戦争だけ。共産主義が勝利した戦争にまで反対する気などは全くないのである。アメリカ帝国主義のアジアにおける最大の要が日米同盟であり、日米を離反させる絶好のトピックが日本の歴史問題。アメリカの正義を信じるアメリカ人にとって、悪逆非道の日本人を象徴する慰安婦問題は、簡単に信じてしまいがちなプロパガンダ。慰安婦問題が全米に拡大すれば、日本人の米国への反発が高まり、アメリカの戦争犯罪を暴こうとする方向にエネルギーが傾きかねない。だからこそ、中国は歴史問題に相当の力を入れてきたわけだが、アメリカのリベラル勢力も同様の動きを見せる。それがストーン監督やカズニック教授、それと連携するジャパン・フォーカスの活動から透けて見える。

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 日本人は広島を訪問したオバマ大統領の勇気に感動し、絶賛するが、オバマが代表するアメリカのリベラルが親日的だと勘違いしたら大間違いである。憲法改正しようとする安倍政権を批判し、圧力を加えてくるのは、欧米のリベラル学者やメディア。彼らの偶像がストーン監督であり、彼らの狙いは米軍の沖縄撤退である。大統領であったオバマは、当然のことながら軍の利権を無視することができず、辺野古移転計画を日本政府と一緒に進めてきたが、大統領を引退して平和活動家になったら、何をするか分からない。鳩山化することは容易に想像できる。広島で平和運動をしている日本人の多くが共産党系であるのと同様、原爆投下を自己批判するアメリカ人も、戦争犯罪を単に悔いているのではなく、左翼思想に取りつかれているだけだったりする。オバマが広島に行ったのだから、日本は中国、韓国に永久に謝罪しろ、と言いかねない。オバマの広島訪問にぬか喜びすることは、残念ながらできない状況にある。


続きは、『オリバー・ストーン監督の「語られなかったアメリカ史」感想
 


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