『リトアニアの英雄 聖カジミロ』アロイジオ・デルコル神父著
◆10-5、祖国の保護者
斥候兵を送ると、敵は騎兵だけでも6万人という、それにひきかえ、みかたは2,000人にもみたないと分っていた。しかし、あの勇気のために、こちらから先に開戦したのである。不意をうたれたのは、敵の6万もの大軍、あわてふためき、恐怖におののき、平静さを失って、とほうもなく莫大な軍隊に取りかこまれているかのように感ちがいした。そしてわれ先にと逃げ出したのである。
リトアニア人は、夢中になって、敵に襲いかかり、打ちたおし、捕虜にした。そのありさまは、ちょうど聖書に述べられているあのことばの通りだった。すなわち、「かれらのひとりが千人を追い、ふたりが1万人を打ち破る」(第二法の書32、30)と。
リトアニア人は、おびただしい分捕品を得た。こんなことは、一つの不思議であったが、さらに不思議なことに、敵の大部分が戦死し捕虜になったりしているのに対し、リトアニア人の小さな軍隊は、ひとりも戦死したり、捕虜になったものかいなかったのである。
この奇跡的な勝利ののち、列聖調査はどんどん進んで、1520年の終わり近く完成した。
◆10-5、祖国の保護者
斥候兵を送ると、敵は騎兵だけでも6万人という、それにひきかえ、みかたは2,000人にもみたないと分っていた。しかし、あの勇気のために、こちらから先に開戦したのである。不意をうたれたのは、敵の6万もの大軍、あわてふためき、恐怖におののき、平静さを失って、とほうもなく莫大な軍隊に取りかこまれているかのように感ちがいした。そしてわれ先にと逃げ出したのである。
リトアニア人は、夢中になって、敵に襲いかかり、打ちたおし、捕虜にした。そのありさまは、ちょうど聖書に述べられているあのことばの通りだった。すなわち、「かれらのひとりが千人を追い、ふたりが1万人を打ち破る」(第二法の書32、30)と。
リトアニア人は、おびただしい分捕品を得た。こんなことは、一つの不思議であったが、さらに不思議なことに、敵の大部分が戦死し捕虜になったりしているのに対し、リトアニア人の小さな軍隊は、ひとりも戦死したり、捕虜になったものかいなかったのである。
この奇跡的な勝利ののち、列聖調査はどんどん進んで、1520年の終わり近く完成した。