キリストのあかしびと 公教会の教父たち

公教会(カトリック教会)の諸聖人、教父、神父らの伝記を掲載していきたいと思います。彼らは、クリスチャンの模範です。

聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人 22

2018-01-12 14:48:24 | 聖ドミニコ・サヴィオ
『聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人』企画:デルコル神父、文:江藤きみえ、22

 みなさん、ドミニコ・サヴィオがたてたあのかたい決心を思い出してください。かれは、「罪をおかすよりも死を!」と、初聖体の日に書き、この決心を最後まで守りぬきました。

 自分をすばらしい聖人につくりあげたのは、この決心の忍耐づよい実行だったのです。自分を征服して、世界の若ものの心と、天国を手にいれたこの少年を、教皇ピオ11世はこう呼びました、「小さな巨人」と。

 教皇ピオ12世も、1954年6月12日、かれを聖人の位にあげ、世界じゅうの若ものの模範として宣言しました。

 わずか15才で聖人とは! そうです、あなたも、望みさえすれば、できます、きっとできるのです。

聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人 21

2018-01-12 01:01:46 | 聖ドミニコ・サヴィオ
『聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人』企画:デルコル神父、文:江藤きみえ、21

日本で、聖ドミニコ・サヴィオにささげられた唯一の小教区、大分県中津市古城町の、古城教会。門の上の聖人の胸像は、主任司祭サレジオ会員フランコ・ロッシ師の作。

(ロッシ師は、1983年9月3日帰天。66才、来日48年、司祭叙階38年)


聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人 20

2018-01-11 23:50:58 | 聖ドミニコ・サヴィオ
『聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人』企画:デルコル神父、文:江藤きみえ、20

 ドミニコの亡きあと、いく度ドン・ボスコは、自分の生徒たちに、かれの美徳を話したことでしょう。この少年こそ疑いもなく聖人だと知っていたドン・ボスコは、くわしく調べました。そして、全世界の子どもたちの手本にするために、その伝記を書きました。

 こうして、いつもドミニコのことを考えつづけていたドン・ボスコは、その帰天の19年後に、あの有名な夢でドミニコを見たのです。清さにかがやくドミニコの少年の姿は腕に香り高い花束を抱えています。少年は、かつての先生にその説明をします、「ばらは愛徳、すみれはけんそん、ひまわりは従順、麦の穂はたびたびの聖体拝領、そしてゆりは潔白を意味します」と。

「ドミニコ、きみが死ぬとき、いちばん慰めになったのは何だったの?」。

「神のおん母に守られていることでした。どうぞ、あなたの子どもたちに聖母に祈ることを忘れないように教えてください」。

聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人 19

2018-01-11 23:42:13 | 聖ドミニコ・サヴィオ
『聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人』企画:デルコル神父、文:江藤きみえ、19

 なんという平和でしょう!もう死ぬことは少しもこわくも悲しくもありません。第二のいのちに、ふみだす大きな希望があるだけです。でも、おとうさんのはうは、そうではありませんでした。

「おとうさん、よい死のための祈りをとなえてください」という息子の願いに祈りの本をとり出したものの、涙にかすんで字がみえません。やっとのことで、おえつにとぎれながら、祈りはじめました。

「ぼくの愛するおとうさん!」と、ドミニコがいっています。目をあげると、ドミニコの顔が光りかがやいています。「さようなら、ああ、ぼくは、なんと美しいものを見ていることでしょう!」

 そういうと、少年は、天国から迎いに来た美しいそのおかた方に手をさしのべるかのようにして、息たえました。

 1857年3月9日、15才にまだ1ヶ月たりません。一か月たっても、おとうさんは、悲しみから立ちあがることができません。思い出すのは、ドミニコのあどけない顔、微笑、不思議な善良さ!・・・いちばん辛いのは、夜でした。ベットのなかで眠れない夜を苦しんでいます。

 とつぜん、部屋がかがやきはじめました。ま昼よりも明むすごるくなりました。ドミニコが、息子が、そこにいます!にこにこして、太陽のように光りをはなちながら!

「ドミニコ、いまどこにいる? もう天国なんだね」。何をいっているかも分らずに、おとうさんがいいました。

「そうです、おとうさん」となつかしいあの声が楽しげにかえってきました。

「ああ、それでは、わたしたちみんなのために祈りなさい、いつか、みんないっしょになれるように」

「もちろんです、おとうさん、祈りますとも」

 ああ、なんという慰め!おとうさんの心に、もう今は一点の雲もありません。

聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人 18

2018-01-11 23:08:38 | 聖ドミニコ・サヴィオ
『聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人』企画:デルコル神父、文:江藤きみえ、18

 いよいよ家に帰る日が来ました。ドン・ボスコは、念をおすように、願いをこめてくりかえします、

「ねえ、ドミニコ、きっとだよ、家に帰ったら、かならずなおって、またここに帰ってくるんだよ」

 でも、涙にうるむ先生の顔を見あげて、少年はいいます、「いいえ、ドン・ボスコ先生、もう帰ってこれません。あなたとお話しできるのは、きょうが最後です。だから教えてください、わたしは神さまのために何ができるでしょうか?」

ドン・ボスコは、もう胸がいっばいです。

「ドミニコ、きみのその苦しみを、みんな神さまにささげなさい。神さまを喜ばせるいちばんよいおくりものですよ」

 1857年3月1日、迎えに来た父の馬車から、ドミニコの細い手がお別れをしています。

「みなさん、さようなら。きっと天国で会いましょう!」家族も医者も、あらんかぎりの手をつくします。病室はまるで戦場のよう!なおしたいみんなの必死の思いと努力が、見えない火花をたらしています。でも、ますます病気は重くなってきました。

「おとうさん、最後の聖体拝領をさせて!」家に帰って一週目にドミニコがいいました。

「とんでもない。おまえは死んではならんぞ、絶対に生きぬくのだ!」

 父は、ききいれません。

 少年は、たのんで、たのんで、やっと村の主任司祭がやってきました。

 今はもう最後の告白をすませたのです。心になんの不安もありません。ご聖体をいただくと、ドミニコの心は、いいようのない慰めにみたされました。