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フランシスコ・ザビエル神父への書簡   聖イグナチオ・ロヨラ

2018-04-30 05:00:43 | 格言・みことば
フランシスコ・ザビエル神父への書簡

イエズス

 主キリストの至高の恵みと永遠の愛が絶えず私たちを助け、守護してくださいますように。
 主にあって親愛なる兄弟

〔一五〕五二年一月二十八日付けのお便りをいただきました。ポルトガルからローマまで届くのが困難なため、お手紙はいつもより日数がかかって着きました。そのため、早速お返事をしたためたつもりでも、こんなに遅れてしまったのです。主なる神があなたの使徒活動によって、主の福音の宣教と、日本および中国の人々の回心への可能性を広く開かれたことをうかがい、神のみまえで、ことのほか慰めに思っております。と同時に、神への知識と神の栄光が日ましに広まり、さらに神の恵みによる賜物を保ちふやすことのできる人々のあいだに、それがいや増すよう希望しております。

 あなたがそちら〔インド〕と中国とにガスパル師と他の人々を派遣されたことは、的確な措置であったと思います。あなたを導かれるのが永遠の英知〔キリスト〕であられることを私は確信していますから、(インドの事情さえ許せば行くつもりだと言っておられた)中国に、あなた自身で行かれてもよかった、と私は思うことでしょう。しかし、当地で理解しえるかぎりでは、ご自分はインドに残り、他の人々を派遣して、自分でしようと〔計画〕されたことをかれらに行なわせるためにかれらを差し向けられるならば、主なる神へのより大きな奉仕となるにちがいない、と判断します。なぜなら、このようにされれば、あなたは一か所にいながらにして、多くの所で働くことになるからです。さらに、次のことも申し渡します。私は、主なる神へのより大きな奉仕とそちらの国々の人々への援助とを顧み、かれらにもたらされる善はどれほどポルトガルにかかっているかを考えて、あなたには進路が数多くあっても、〔この手紙の着きしだい〕最初の便船で、このポルトガルへの道をたどるよう、聖なる従順の誓願によってあなたに命令することを決定しました。たとえ、ただちにインドに戻られることになるとしても、主キリストのみ名において、このポルトガル帰還を命令します。

 インド諸島の善益のためにあなたを引きとめておきたいと思われる現地の人々にもおわかりいただけるように、同じくかれらにもたらされる善益を考えて、こちらでこの決定を下した理由を説明しましょう。

 まず第一に、そちらの国々とギネアとブラジルでキリスト教を維持し広めることは、ポルトガル国王のご命令の当否にどれほど依存しているかを、ご承知でしょう。また、陛下ほどにキリスト教的な望みと聖なる意向をもたれる君主が、あなたのように現地の事情に経験によって精通している人から報告をお受けになれば、主なる神への奉仕と、あなたから報告された現地への援助のために、どれほど多大なことをされるか、あなたもおわかりになることでしょう。

 次に、そちらのキリスト教会の新信者と古くからのキリスト者の善益にとって必要、ないし、きわめて重要な霊的援助を与えるために、聖座が信頼のおける人から、インド諸島の事情について確実・公正な情報を得ることは重要です。ところで、あなたは現地の消息に通じ、当地の信望も得ておられますから、この点でそちらのだれよりも適任者だと思います。

 さらに、インド諸島の善益のためには、そちらに派遣される人々が、時と場合に応じて現地で求められる種々の仕事に適した人であることは、どんなに大切かもおわかりでしょう。そのため、あなたがポルトガルと当地に帰還されることは、きわめて有益でしょう。それはただ、多くの人々が現地に行く望みをかき立てられるからだけでなく、宣教志願者のうち、派遣されるための適格者はだれか、各宣教地にふさわしい人はだれかを、ご自分で審査するためでもあります。この人選を的確に行なうことがどんなに重要か、考えてみてください。あなた自身か、あなたと同程度に現地の消息に通じた人に、派遣されるべき人々と会い、かれらを知っていただかないかぎり、現地からのすべての報告書をもってしても、当地では事態を十分によく理解することはできないのです。

 以上はすべて、インドにもたらされる善をめざした理由ですが、このほかにも、エチオピアの件に対する国王のご熱意を促していただきたいとも思います。その件は、エチオピアの地で何年も以前から着手寸前でありながら、いまだに実現をみていないものです。同じく、コンゴとブラジルの件も、ポルトガルからは少なからず援助の手をさし伸べられるでしょうが、インドからは交通至難で、とうてい不可能なことです。さらに、統轄上そちらに定住する必要があわれるかもしれませんが、あなたはポルトガルにいながらにして、日本か中国で行なうさるとも劣らず、よく統轄することができるでしょう。ですから、あなたは、これまでにもたびたび長期の留守をされましたが、それ以上に長びく予定で、そちらには適任と思われる数入の院長、一人の最高責任者、そして適任と思われる数人の顧問を残して、出発してください。主なる神は、かれらとともにおられるでしょう。

 その他の事項は、ポランコ師に委任します。では、私のためにも祈ってくださるよう心からお願いいたします。私も、いつくしみ深い至高の神が〔私たち〕一同にその完全な恩恵を賜わり、御みずからの至聖なるみ旨を絶えず悟らせ、それを完全に果たさせてくださるよう祈ります。

1553年6月28日

ローマにて

ポルトガル到着後は、国王が主なる神の栄光のために、あなたをご自由に使われるよう、陛下に従ってください。

主にあって、まったくあなたのイグナチオ

〔イエズス会インド管区長にして、主にある私たちの兄弟、フランシスコ・ザビエル神父様〕

聖イグナチオ・ロヨラ 「書簡」5:148-151、1553年6月28日

(イグナチオは前便で、フランシスコ・ザビエルにひと目会いたい、と書き送った。が、この手紙では、聖なる従順の名において、どのような計画も投げうって、ただちに帰欧するよう命令する。この重大な決定を下した理由は、ポルトガル国王と教皇庁に、福音宣教に最適の手段を選択するための正確な情報を提供する必要があり、かれの帰還が多くの人々に宣教地を志願させる刺激となると期待され、また、宣教地で要求される適性をよく知るかれこそよい人選ができるにちがいないと考えたからだ、とイグナチオは言う。しかし、それ以外にも、総会長職をザビエルに譲りたかったからであろう、という説もある。
イグナチオはこの手紙をしたためたとき、すでに半年前、一五五三年十二月三日、上州島でザビエルが帰天していたことを知る由もなかった。)



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