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弁護士の模範

2016-08-06 01:55:03 | 格言・みことば
聖フィデリス

 帰国したのち弁護士を開業し、正義の闘士として道理にかなうことはあくまでこれを弁護し、わけても貧者をかばい、その弱みにつけこんで不正を行なう人びとをぴしぴしととがめた。ある日、彼がある訴訟事件を解決して法廷から出てくると、なかまの弁護士が近寄って「あなたの弁護なさった事件はなかなかこみいっていましたね。これをわずか一日で解決したのは惜しかったですな。なぜ数回に延ばさなかったのです。訴訟を延ばせばどの弁護士もみんなもうかるのに・・・。わたくしどもは弁護士の資格を得るまでにたくさんの金を使っており、また訴訟事件の資料を集めたり、それを調べたりするのにたいへんな労力と時間がかかったのですから、弁護料をたんともらわなければ引き合いませんよ」と、不平を鳴らした。

 フィデリスはこれを聞いて「わたくしはそうは思わない。まず第一にいくら弁護士だろうと道理にそむいて、法律違反者までも弁護できない。第二に待つ人の身になって、できるだけ早く訴訟事件を解決してやらなければならない。第三に弁護料は正当に貰うこと。金めあてにわざと訴訟をだらだらのばしたり、厳密な調査を怠ったりして、人に損害をかけた場合は必ずこれを賠償しなげればならない」と答えたそうである。こうして彼の名声は日一日と高くなり、訴訟を依頼する者が多くなったが、その反面多くの商売がたきも現われ、陰に陽に妨害したので、彼は世間のみにくさにあいそをつかして、ついに弁護士を廃業し、一六二一年、三十五才のとき司祭となってカプチン会の修道院に入った。

池田敏雄(司祭)『聖人たちの生涯』p.108

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