アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)
◆11、秘密の第一部 ー 地獄の示現
イルマ・ルシアは地獄の示現について以下のように書いています。
「マリア様はこう言い終えられると、また以前二度なさったように手をお広げになりました。(その両手からの)まぶしい光は地面を突き通すかのように見えました。そしてわたしたちは火の海を見たのです。その火の中に見えたのは悪魔たちと炎の中に浮かんで見える人間の形をした、真っ赤に焼け、黒く、茶色の燃えさしにも似た何人かの魂でした。彼らが自分たちから吹き出す炎と煙の雲に纏まれて、重さも安定性も無く、大きな炎からばらまかれる火の粉のように、悲しみと絶望の悲鳴とうめき声をあげながらどこかしこと無く吹き飛ばされているのが見えました。わたしたちは怖くて、震えを止めることができませんでした」。
「悪魔たちは恐ろしい、ゾッとするような形をした、それまでに見たこともない動物のような格好をしていました。しかし真っ赤に焼けた石炭のように透明でもありました」
この示現はほんの一瞬間しか続きませんでしたが、その間、周囲の人たちはルシアが息を呑むを聞いています。もし自分たちを天国に連れて行って下さるという聖母の約束がなかったら、自分たちは驚きと非常な恐怖のために死んでしまっただろうとイルマ・ルシアは後日、述懐しています。