アントニオ・アウグスト・ボレッリ・マシャド著(成相明人神父訳)『ファチマの聖母』1997年(原著初版1975年)
★ 三章 数回にわたる私的示現
ご出現の後、フランシスコと特にジャシンタが地上で過ごしたほんのわずかな期間中、そしてご出現があった期間中さえも、彼らは何回か個人的示現を受けています。ジャシンタに恵まれた示現の主なものをここに紹介しましょう。
◆20、「わたし教皇様を見たの・・・」
ある日の正午頃、ルシアの家の井戸のそばでジャシンタはルシアに「ね一。あんた教皇様を見なかった?」と聞いたものです。
「いいえ」
「どのようにしてかは言えないけれど、わたし教皇様が大きな家にいらっしゃるのを見たの。テーブルの脇にひざまずいてらっしゃつたわ。手を顔に当てて泣いてらっしゃつたのよ。家の外にはたくさん人がいて、その中のある人たちは教皇様に石を投げつけていたわ。教皇様をのろったり、ののしったりしている人たちもいたわよ。おかわいそうな教皇様!わたしたち教皇様のためにたくさん祈らなければいけないわね」(回想録3の228ページ、デ・マルキ98-99ページ、ウォルシュ85ぺージ、アイレス・ダ・フォンセカ137ページ参照)。
一九一七年夏のある午後、子供たちがカベソの丘の玉石に座っていたとき、ジャシンタは突然天使から教わっていた祈りを唱え始めました。そして深い沈黙の後ルシアに言いました。
「大通り、路地、野原で、おなかがすいているのに食べ物が何もないので泣いている人たちがたくさんいるのが見えない?教皇様はマリア様の汚れない御心のご像の前で祈っていらっしゃるわ。たくさんの人たちも一緒に」(回想録3の228ページ、デ・マルキ99ぺージ、ウォルシュ84ぺージ、アイレス・ダ・フォンセ137ぺージ参照)。
ある日ジャシンタの家でルシアは彼女が何か深く物思いに沈んでいるのを見て聞きました。
「ジャシンタ、あんた何考えてるの?」。
「次の戦争よ。たくさんの人たちが死ぬわよ。そしてほとんどの人たちが地獄に行くの。たくさんの家が焼け、たくさんの神父様たちも殺されるのよ。いいこと?わたしは天国に行くわ。このことがすべて起こる前、夜、天に光が現れるってマリア様がおっしゃったわよね?あんたも天国に逃げておいでよ」(回想録3の228ぺージ、デ・マルキ238ぺージ、ウォルシュ85ぺージ、アイレス・ダ・フォンセカ161ー162ぺージ参照)。