金>白金、なのだとか。
5月31日のコラム 「中日春秋」 (と、東京新聞「筆洗」)から。
黄金は、永遠なるものの象徴だ。何千年たとうともさびず、失せぬ輝き。権力と富のシンボルとして崇められてきた金に、ひそやかな力があることを発見したのは、日本の科学者だ▼金は抜群の安定性ゆえに、化学反応の触媒としては働かない。それが科学の常識だった。だが、きのう中日文化賞を受賞した春田正毅(まさたけ)さん(66)は32年前、その常識に挑戦することを決めた▼そのころ春田さんは独自の実験から、ある仮説を導き出して発表した。その仮説は、金に触媒としての可能性があることも示していた。だが、金は高価で経済性に欠ける。そう考えていた春田さんを、学会で会った米国人がたしなめた▼「研究開発においては、経済性よりも新たな科学的原理を見つけることの方が、大事だ。コストの話など後で考えたらどうだ」。日々の技術開発に追われる中で忘れかけていた原点に気付かされたことが、ノーベル賞級の発見に結び付いた▼金は抜群の安定性を誇る。だがナノの世界、つまり10億分の1メートル単位のごくごく小さな塊にすれば、その性格を変え、触媒として驚くべき働きをすることを、世界に先駆け突き止めたのだ▼ナノの世界は摩訶不思議で、原子の数がちょっと違うだけで、思いもよらぬ力を発揮する。まだまだ無限の可能性があると、春田さんは言う。金の中には、無数の金の卵が潜んでいるらしい。
触媒とは「自分変化しないが、他人を変化させる」もの、である。
その代表と言えば、「白金」(プラチナ)と相場が決まっているもの
と思いきや、「金」の方が「白金」よりも優れていた、ということらしい。
(触媒作用 by 金)
一般的には、金属の中でも「金」は最も不活性なので、触媒には
不向きと考えられていたが、「ナノ粒子」になると優れた触媒作用を
発揮する、ということを春田正毅教授が発見し、それまでの化学常識を
覆したのだという。
2013年には、その論文の引用数から、ノーベル賞有力候補者として
「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を授与された。
(トムソン・ロイターによる春田教授インタビュー ・・・・長い !!)
すでに、トイレ脱臭装置やディーゼルエンジン、飲料水浄化の大型プラント
などで実用化され、大学内ベンチャー企業「ハルタゴールド」を
起ち上げている。
iPS細胞の山中伸弥教授も、2010年に この栄誉賞を受賞し、
2012年にノーベル生理学・医学賞を授賞している、という実績がある。
触媒は奥が深く、深入りするなと言われる分野だが、
触媒学会のHPに、「触媒とは」という わかりやすい解説がある。
触媒は何もしないのではなく、反応に深く関わっている。
自身に変化はないが、周囲が元気づく。
お気づきと思うが、触媒(catalyst)は愚生のハンドルネームである。
(背景とかは機会があれば紹介するつもり・・・)
そうでもなきゃ、中日新聞・東京新聞なんか引用したりしない。
そのひねくれっぷりは、ここ数日のコラムとかで実感されたい。
(URLは敢えて紹介しない。)