CASA 地球温暖化の国際交渉

地球温暖化に関する国際会議の開催期間中、現地から参加レポートをお届けします。

COP14・CMP4 ポズナニ通信 6(12/12)-2

2008年12月13日 | COP14・CMP4
★ 12月12日付「ECO」

 12日付けのecoでは、「交渉ペースをスピードアップせよ!(Pick up the Pace)」というメッセージが表すように、カタツムリの挿絵が載せられています。
その内容は、「年々進展する科学的知見が提示する削減目標とは異なり、今回の交渉はカタツムリのようなペースで進んできた。どのようにすれば、来年のコペンハーゲンに向けて交渉をスピードアップできるのか?」で始まり、以下のように続いています。


 ポズナンでの交渉では、来年への地ならしとして、AWG-LCAとAWG-KPの2009年の作業計画に対して合意できたことは一歩前進だ。しかしながら、各国の交渉者たちは拘束力を持つ合意を得られなければ、この世に存在するいかなる文章も全く意味をなさない。

 まず、今回の交渉では各国のポジションが全く変わらなかった。これは当たり前のことのように聞こえるが、昨年のバリでの合意の後、それぞれの国内政策をみると、全く何も変化していない。国内政策が前進していれば、ポズナンでの交渉が前進できたはずだ。とくに、2020年までに25-40%削減を目指す中期目標に関しては、オーストラリア、カナダ、ロシアと日本がこの目標を拒んだことによって、バリでの合意から今日まで、文字通り一年を無駄にしたといっても過言ではない。
それとは対照的に、南アフリカや韓国からNAMA(国内の適切な緩和行動)を強化する建設的な提案が提出されている。とくにメキシコは、自ら長期目標を掲げ、先進国にも劣らない存在感を示している。

 しかしながら、「森林減少および劣化に起因する排出の低減(REDD:Reducing emission from deforestation in developing countries)と「土地利用、土地利用の変化、森林(LULUCF)」に関しては進展が見られなかった。先進国と途上国はLULUCFの抱える隙間を埋め、REDDにおける協調を強化すべきであろう。
そのほかの分野では、締約国は建設的な意見を出し始めた。特筆すべきは、木曜日に開催された非公式な円卓会合で、EUがノルウェー、メキシコとG77+中国による資金に関する提案に対して真剣に検討する動きを見せたことであろう。この動きは、次回のボンでの会合における、AWG-LCA議長の仕事を円滑に進めさせるであろう。
資金と技術に関する課題は早急に進展させるべきであり、そのためには思い切った決断(tough decision)が必要である。適応基金に関する合意は、各国の閣僚発言でも述べられていたように適応対応は逼迫しているが、交渉は複雑さが増して難航している。

 次回のボンでの会合では、EUがリーダーシップを発揮できる場である。アメリカでは、オバマ次期大統領が気候変動問題に対して前向きな姿勢を見せている。次回のボンの会合ではアメリカ政府代表が明確で野心的なマンデートを持って交渉に望めるように体制を整えるべきだ。そうすれば、途上国との新しい動きを築けるだけでなく、日本、オーストラリア、カナダ、ロシアなどに言い訳を許さないであろう。

 今回の交渉では、各国代表のムードは鉛色(dull grey)だったが、世界の科学者たちのムードは警告を発するべく真っ赤 (bright red with alarm)である。次回のコペンハーゲンでの合意に向けて、各国代表たちは交渉を行き詰らせるのではなく、新たなマンデートとともに動き出すべきである。

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