ある日、別れる日がきた。
熱く抱きしめてくれた、お母さん。
あの日のことを思い出します。
母との別れがやってきた。
人の家にもらい子になった僕。
ああ、おまえ、分別の年になった。
お父さんにさとされて、人の家のもらい子なる。
今まで不自由もなく、くったくのない生活をおくってきた。
弟や母さんのことを考えると!
「母さん、悲しまないでほしい。」
朝の日のささない薄暗いころ
お母さんに見られないように、出かけないとダメ。
お母さんは悲しがっているんです。
別れの悲しみをさせないようにしなければ。
さあ、今から、僕の新しい人生をおくらないといけない。
「兄さん、別れのあいさつをしちゃいけないかなぁ。」
だまっていってしまったら、きっと恨まれるよ。
玄関を出てあとを振り向くと、弟がカーテンの陰で
見下ろしている。いつ日は楽しい日々だっのが。
一瞬にして涙がこぼれ落ちてくる。
お母さんが弟の体を抱きしめて
冷たい両手がいつのまにか温まり。
体の全身に伝わってくる。
「あの子はやさしい子だ。」
母さんのことは心配しないで、
自分のことだけを立派にやるですよ。
人の言うことを聞いて、なまけないで努力するですよ。
門を出ていく姿を見送ったが、しかしその姿を見ると
もう涙がいっぱいになって、待って。
追っかけて抱きしめたくてたまらない。