私の小さい頃の、あだ名は『はーちゃん』だった。
別に本名に『は』の一文字が入っていた訳では無い。
なのに何故か、幼い頃、私は自分の事を自分で『はーちゃん』と言っていた。
その為、幼稚園ぐらいまで私と一緒だった子は、いまだに私の事を
『はーちゃん』と呼んでくれる人もいたりする。
いえ、別に今回は私のあだ名ではなくて、人のあだ名の話です。
小学校の頃、同じ学年に『のりこ』という名前の女の子がいた。
彼女の、あだ名は『のりこ』を変型させた『のんこ』だった。
それで、皆は彼女の事を『のんこ』と呼んでいた。
私達の通っていた小学校は、中学になると又別の学区の小学校と統合され
ひとつの中学になって、少し学年の人数が増える田舎中学だった。
小学校を卒業して、中学に入学した時、やはり今まで全く知らなかった
別の小学校の子達との、人間関係は微妙である。
皆、出来るだけ早くお互いに仲良くなろうとして、いわゆる仲良しグループ
やら同じクラブ活動グループやらで派閥のようなものが出来始めた。
『のんこ』と私は同じクラブを選んだ。
もちろん、その他にも、たくさんの女の子達が、そのクラブに入部した。
その中に違う小学校から入学してきた、よく覚えていないが『まりこ』
というような名前の女の子がいた。
『まりこ』は『のんこ』と同じような 身長で同じような体重だった。
その為かどうかは分からないが、二人は意気投合した。
ある日『まりこ』が、同じクラブ仲間の私達の所で
「私の事これから『ま○こ』って呼んでね~」と言ってきた。
どうも『のんこ』と仲良しさんになったので、あだ名もよく似た
お揃いに近いものにしようとしたようだ。
女の子は、お揃いやら色違いというので自分達の仲良し度を確認する
所がある。
田舎の小学校を上がったばかりの、のんびりした私達は
「うん分ったよ~これから『ま○こ』って呼ぶね~」
と答え、事実しばらくは、彼女の事をどこでも校内でも町中でも
『ま○こ~』と呼んでいた。
いつから彼女の事を『ま○こ』と呼ばなくなったのかというと
よくは覚えていないが4月に入学して中学の、はじめての夏休みに
突入する前ぐらいまでだったと思う。
その意味を知った『ま○こ』本人が、今度はそのあだ名で呼ばないで
くれと言ってきた。
まだまだ、幼いというか、物知らずな私達は、意味が分からず
「なんでアカンのん~?」と本人に聞いたりして、彼女を困らせたりした。
で、その意味が分った時は、よくあんな大声で人前で話していたものだと
自分達でも、可笑しいやら、恥ずかしいやら。
なにせ、駅の構内の端から大きな声で、呼んでたりもしましたからね。
いや~、知らないってオソロシイもんですね