@りえ記

観劇と気になる記

2009年1月の観劇記

2009年01月31日 | 観劇記
2009年1月の観劇記

今年からは月に1度よりもっとマメに更新しようと思っていたのですが、結局ダメでした。
とりあえず欠けないようにがんばりたいものです。

1/4夜 ミス・サイゴン@博多座
 福岡でミス・サイゴン! なんだか嬉しくて帰省を早く切り上げて博多座へ。
 「ミス・サイゴン」は、私の中では救われないラストのミュージカルランキング2位(1位はブラッド・ブラザーズ)なのですが、ステージングと音楽の妙で何度も観てしまいたくなる作品です。
 今回は橋本さとしさんのエンジニア。すっかり堂々とした座長ぶりで、カーテンコールのリップサービスでも楽しませてくれました。
 初めてだった藤岡正明さんのクリスと岸祐二さんのジョンが、なかなか男くさいコンビで、かなり気にいりました。(オペラグラスなしのC席だったから、細かいところは観えてませんが)

1/11昼 愛と青春の宝塚@福岡サンパレス
 前売りが始まった段階では観るかどうか迷っていたのですが、東京で観た友人の評価が高いので観ることにしました。キャストも何パターンもあって迷いましたが、メインキャストが知ってる人が多いかんじで。あと、ベニ役はえみくらちゃんで観たかったというのもありました。
 もともとのドラマも宝塚と第二次世界大戦中という時代を重ねて、よく出来たストーリーでしたが、舞台では実際のジェンヌOGの皆さんが演じているということもあり、見応えのある作品にしあがっていました。
 なんといっても、メインキャストの皆さんが全員、キャラに合ってる! ところが心地よかったです。影山先生の石井一孝さんはいうに及ばず、湖月さんのリュータンや星奈さんのトモ。特に湖月さんの男役としては超カッコいいリュータンが、恋をして女らしい振る舞いをするあたりは、かわいらしいくて、ほほえましかったですね。
 新宿コマ劇場の最終公演となったこの作品、東京ではコマならではのショーの演出もあったそうで、それを観られなかったのは、ちょっぴり残念でした。

1/23夜 リチャードIII世@赤坂ACTシアター
 森川久美さんのマンガ「天(そら)の戴冠」とジョゼフィン・ティの「時の娘」の影響で、軽いリカーディアンだったこともあるので、なるべく「リチャードIII世」は観たいと思っているのです。
 実際のリチャード3世に対する誤解を生んだ罪深い作品ではあるのですが。
 しかしまあホントに軽くてダメなファンだなあと反省したのが、一緒に観ていた友人にバラ戦争の両家の象徴をきかれて「ヨークが白でランカスターが赤だったはず」と答えたのに、観ているうちにこの作品でのカラーが逆だった(ヨークが赤でランカスターが白)ため、終演後に「やっぱり逆かも」と言ってしまったこと。
 ヨークが白ばらでランカスターが赤ばらで合ってました。(まあ、さらに調べるとランカスターが赤ばらというのは後世のフィクションとの説もあるようですが)
 しかし今回の舞台上ではヨークの人は赤っぽい服装であらわれ、ランカスター代表リッチモンド伯は神々しいばかりの白い衣装で現れます。
 そのほかにも、今回のリチャードIII世には、これまで観たバージョンとは違った斬新な点がありました。携帯電話や腕につけたモバイルパソコンによる独白ではありません。
 まず、いつもヘタれ大王的な描かれ方をされることが多いクラレンス公ジョージが、非常に得高く立派な人物に描かれていたこと。
 バッキンガム公やリッチモンド伯が非常にキャラ立っていたこと。
 そして最後が、自分の容姿に全くコンプレックスを感じていないリチャードIII世!
 これは、そういう演出なのでしょう。他のバージョンではハッとさせられた「己の醜さをつきつけられる」シーンはそれほどクローズアップされていないのです。
 「リチャードIII世」を群集劇として描こうとしたのかもしれません。
 衣装も60年代ロンドンサイケな雰囲気で楽しかったですね。
 この時代にユニオンジャックはないじゃろう~というツッコミもありますが、わかりやすいイギリスのイメージってことなのでしょう。

1/24昼 タイタニック@国際フォーラム
 タイタニック再演です。初演が非常に気にいっていたのに、1度しか観ることができず残念に思っていたので非常に楽しみにしていました。
 観ながら自分はどうしてこれが好きなんだろうと考えてみたところ、たぶん「予め定められた悲劇的な結末に向かって、それでも自分らしく生きようとする人々の群像劇」というあたりにグッとくるようです。「RENT」や「レ・ミゼラブル」が好きなのも同じ理由のようです。
 舞台にして3時間足らず、描かれているのもほんの数日のこと。でも確かにそこにいる人の人生を映し出している。
 さらに今回は初演以上に役のイメージにあったキャスティングに、イェストンのドラマティックな曲とともに物語世界にすっかりハマりこんでしまった感ありです。
 31日にもう一回観ますが、もっともっと観たい気にさせられました。
 久々に東京に住んでないことが残念になりましたね。
 でも東京に住んでたら何回観たんだろう・・・危なかったかも。経済的に(笑)。

1/24夜、25日昼 URASUJI 3 大陸編~寵愛~@下北沢スズナリ
 URASUJIも3回目。2が幕末だったせいか、今回は明治維新も終わって西太后の時代。仕事人も海を渡って清国に行き、袁世凱も登場。楽器も二胡とよばれる中国楽器が主です。 松村武さんの作品らしい、ちょっとした史実に対する遊び心もあり、必殺ファンとしては、本家のスペシャルの香港編を思い出したり。
 このままで行くと、次回があるなら「現代編」か(笑)?
 詳しい感想は2/1に。

1/31昼 タイタニック@国際フォーラム
 一週間ぶり、2回目にして最後の乗船。初演は2階最前列、先週は2階の最後列、今回初めて2列目という近くで観ることができました。
 近くで観ると一層、乗船客たちの人生が垣間見れるような気がして、それぞれの登場人物に入りこんでしまいます。
 今回は特に入絵加奈子さんの演じる2等船客アリス・ビーンの印象が強く、ああこの役って現代の私たちの多くが属する立場に一番近い役柄なんだということが実感できたのと、ただの普通の人間ではいたくない、でもどうすればいいかわからない、だから、このチャンスを利用しようと最大限にあがいているだけ・・・という、もどかしさ、やるせなさが伝わってきました。初演ではなんということもないシーンに思えたところが、重要なシーンに思えたり。
 見終わった後、友人と話していて思ったのですが、船長が15歳のとき給仕だったということは、そのころエッジズとは同僚だったのでは、とか考えると別のお話も生まれてきそうな感じです。
 初日、船長がノット数を言い間違えて、戸井さんの副船長が冷静に、リピータ以外は気づかないようにフォローしたということがあったのですが、今回は間違いなし。
 でもあの副船長、かなりカッコよかったので、また間違いを期待してしまったり(笑)。

1/31夜 パイパー@シアターコクーン
 観終わって一言。ダイワハウスのCMばりに「なんで、なんで新井素子なんだ」。

 野田秀樹さんの作品に何を求めるか、それは人によって違うと思う。
 見応えのある芝居という人もいるだろう。野田作品に出たい役者さんはいっぱいいるから実力のあるキャストが揃っているし。今回もその点では申し分なし。

 でも私はたぶん野田さんにしかない「世界」を味わいたくて行くんだと思う。
 そういう意味では、今回のこの作品は初期の新井素子さんの世界としてかなり既知の世界。細かくどれが一緒ということはないんだけど、デビューから数年の新井素子作品を物語レンジに全部放り込んで、チンしたらできあがるかもしれないと思ってしまった。

 そして哀しいかな、10代の新井素子さんの作品世界に入り込むには、私はもう歳を取りすぎてしまっているのですよ。
 そして、いっそのこと新井素子世界であるなら「大きな壁の内と外」のヒトタンパクを思えば、「パイパー」はもっとつきぬけられたかもしれないと思う。
 パイパー値と左手が右手を止める・・・の件は印象に残っています。
 幸福指数という笛に踊らされる民衆。
 友人の日記の「パイパー」の感想に闘将ダイモスという言葉が出てきたので、別の友人と「闘将ダイモス」のダイモスって火星の衛星からだったのかな、とか話しましたが、どちらかというと神話からでしょうということに落ち着きました。「闘将ダイモス」にもう1つの衛星であるフォボスに関係するようなことは出てこなかったように思うし・・・。