雑木帖

 ─ メディアウオッチ他 ─

異例ずくめ

2006-03-01 23:10:11 | 政治/社会
魚住(昭) 今回の検察のライブドア捜査に関して、私はいつにも増して違和感を持っています。なぜかというと、摘発の必然性というか大義名分が見えないんです。
 …(略)…
 私は、ホリエモンはフジテレビを取りに行って、検察官僚の虎の尾を踏んでしまったと解釈しています。
 日本というのは基本的に、官僚組織と放送局・新聞社を中心にした巨大メディアとの阿吽の呼吸での共犯関係、相互扶助の関係で成り立っている国だと思うんです。ところが、テレビのキー局というメディア組織のかなり重要な一画を、異星人のような成り上がりの男が取りにきた。フジテレビの経営陣も怒ったけど、検察官僚たちもこんな男を放っておいたら、自分たちが作ってきた国家秩序が壊れてしまうという危機感を持ったんじゃないでしょうか。
 ──「週刊現代」 2006.03.11号 ”ライブドア事件「検察の暴走!」”より
 魚住昭氏は元共同通信社の記者で社会部に所属し検察庁などを担当した。フリーになった後、今の司法の行く末に危惧を覚え『特捜検察の闇』などを著している。

 ライブドアショックがなければ、耐震偽装問題が小泉政権を大きく揺さぶった筈だが、その場合その功労者として、また世の中を変え得る大きな影響力として、世間の耳目を集めることとなっていたのは、間違いなくインターネットの『きっこの日記』であったろう。これは、「官僚組織と放送局・新聞社を中心にした巨大メディアとの阿吽の呼吸での共犯関係、相互扶助の関係で成り立っている国」にとって、放送局に手を出すライブドアや楽天などに劣らず、大変に困ることではなかったろうか。特に官僚は、自らがコントロールできない存在というのを、非常に嫌うとの認識が僕にはある。彼らは常に「民はよらしむべし、知らしむべからず」をめざしているようにも思う。

 ともあれ、今回の東京地検特捜部の「ライブドア強制捜査」は異例ずくめだった。
 まず、魚住氏も言っているように、マスメディアの事前報道がない案件だった。また、強制捜査の日取り自体もいつもと違い事前に記者たちには知らされなかった。ホリエモンとも親しかったヒルズ族の一人の社長は、ヒルズの仲間うち(ホリエモンも含む)では数ヶ月前から特捜部の強制捜査の噂を耳にしていたと証言しており、今更新聞・テレビの記者たちに黙って強制捜査をする理由すらなかったにもかかわらずである。
 強制捜査は普通、週末におこなわれるが、今回は株式市場への影響が大きいにもかかわらず、異例の月曜日におこなわれた。また、開始時刻も異例の夕刻だった。

 ライブドア事件に対する特捜部の布陣は、ロッキード疑獄、リクルート疑獄なみの100人体制とも言われているが、現在のところ、沖縄でのエイチエス証券副社長の野口氏の怪死も”自殺”で片付けてそれ以上追わないなど、それらの疑獄事件なみの「予定」があるのかどうかも疑わしい。
 しかし、異例のオンパレードや、やる気がちっとも伝わってこないことなどに対し、次のように考えれば、全てはしっくりする。
 たしかに、東京地検特捜部は以前からライブドアを調べていたのだろう。けれど、強制捜査の開始が1月16日だったのは、急な予定の繰上げだったのではないか。100人体制というのも、急に強制捜査の日取りが繰り上がったため、大量の要員が急遽必要になっただけなのでは?

 次の一節は、出版されたばかりの『さらば小泉──グッバイ・ゾンビーズ』ベンジャミン・フルフォード著の中の一節。
 日本では、政府は国民に極力「真実」を伝えないように振る舞う。また、それが政府の国民に対しての義務だと勘違いしている役人も存在する。「そんなことを知らせたら、国民はパニックになってしまう」と、彼らは真顔で言う。つまり、ウソをついても責任を取らなくてもいいから、彼らはこんなバカげた論理を平気で口にすることができるのだ。政府の高官たちは、こうして国民を徹底的に見下し、国民が真実を知り、それを基に判断する権利を奪っている。


参考:
 ・「きっこの日記」のアクセス数

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