報道には様々な記事がある。ジャーナリズムの様々な側面といってもいい。起こったことをただ単に記述する、それに解説を加える、さらに分析を試みる、そこからこれから起こることを予測する、など。
しかし、物事の基礎事実を知らせるということと同じくらい重要なことに、予防医学的な記事というものがありはしないだろうか。それは、今起こっていることから未来を考えること、それが悪いものであった場合、現状を指摘し注意をうながす、といったものである。
「共謀罪」関連における東京新聞や、踊る新聞屋さん等の記事やブログを見ていて、そこに空き地のような未来、他の物事の結果のようなことを書いているばかりの記事とは違う、未来を考える意志のような、そんな態度を思ったのだ。
「予防医学」とは少し違うが、たとえば仏リベラシオン紙が2003年のイラク戦争開戦時に書いた「釘をさす」的な記事なども、あんまり洗練されているとはいえないが必要なことがある。
こういう記事を書いておけば、流石厚顔無恥なアメリカも、おいそれとは「大量破壊兵器を発見した」とは言えなくなる。
リベラシオン紙はジャンポール・サルトル氏が協力し、1973年に創刊した左翼系新聞であるが、2004年12月にロスチャイルド一族のエドアール・ロッシルド氏が株式の37%を買収、筆頭株主となってしまった。
一方で、フィガロ紙も軍需企業のダッソーの傘下に入ってしまったし、ル・モンド紙は同じく軍需企業&メディア大手(フランスにおける書籍の流通の7割を牛耳り、テレビ、ラジオ、インターネットブロバイダまで持っているらしい)の外部資本が入った。
フランスの著名知識人たちは、こういう事態に沈黙をもってこたえているそうだ。(どこも同じだな)
リベラシオンやル・モンドが、イラク戦争の時に書いたような記事が今後も書けるのかちょっと心配してしまう。
ちなみに、フランスのメディア界の経営難は、無料新聞やインターネットの影響が大きいそうだ。…
しかし、物事の基礎事実を知らせるということと同じくらい重要なことに、予防医学的な記事というものがありはしないだろうか。それは、今起こっていることから未来を考えること、それが悪いものであった場合、現状を指摘し注意をうながす、といったものである。
「共謀罪」関連における東京新聞や、踊る新聞屋さん等の記事やブログを見ていて、そこに空き地のような未来、他の物事の結果のようなことを書いているばかりの記事とは違う、未来を考える意志のような、そんな態度を思ったのだ。
「予防医学」とは少し違うが、たとえば仏リベラシオン紙が2003年のイラク戦争開戦時に書いた「釘をさす」的な記事なども、あんまり洗練されているとはいえないが必要なことがある。
こういう記事を書いておけば、流石厚顔無恥なアメリカも、おいそれとは「大量破壊兵器を発見した」とは言えなくなる。
しかし、フランスの新聞業界も不穏な動きをみせているようだ。
そして大量破壊兵器は? liberation 2003/04/10
これは戦争の目的だった。まだ誰もそれを見つけていない。
ジャン=ドミニク・メルシェ記
これが戦争のモチーフだったのに、今のところ、米英同盟軍はいかなる大量破壊兵器も手に入れていない。イラク政府は、最終的な防禦に追い込まれても、それを一切使用しなかった。「もし米国が禁止兵器を手に入れるのに失敗したら、すでに外国人の間にかなり広がっている戦争の動機に関する疑惑をさらに補強するであろう」と、火曜日、アメリカの新保守主義の中心に近い新聞であるウォールストリート・ジャーナルは認めた。昨日、国連の査察団長ハンス・ブリクスは「それを見つけるかどうか本当に知りたいものだ」と、スペインの日刊紙エル・パイスのインタビューで語った。
地上では、特別部隊のスタッフが、検査資料と移動実験室を用意して、いつでも仕事に取りかかれる体制をとっているが、今のところ成功していない。ただし何度も緊急情報は与えられた。こうした情報として、第101空挺機動部隊の米兵士が、日曜日、化学工場に隣接する軍のキャンプの中で酒樽を発見している。検査は矛盾した結果をもたらした。神経性有毒ガスVXなのかただの農薬なのかである。補足的な分析が行なわれている。翌日、米軍はナジャフ地域でマスタードガスに汚染されたと疑われる5つのケースを追いかけた。…しかし誤報だった。
それに代わって、化学兵器や生物兵器について詳しく説明しているテロリストのマニュアルが、アンサール・アル・イスラムのキャンプで、ドイツの週刊誌シュテルンの記者によって発見された。このキャンプはイランとの国境、イラクのクルド人地区に位置し、アルカイダの組織に近いイスラム急進派によって占拠されていた所である。彼らとサダム政権との結びつきは決して証明されていない。週刊誌が引用した参考資料によれば、死に至らせるような実験が動物と、また人間に対しても行なわれ、ホスゲンと亜砒酸水素をベースにしたガス状混合物が使われた。それに対して、マスタードガスと神経性ガスVXの製造の試みは失敗したはずである。
もし彼らが化学または生物兵器を見つけ出すならば、アメリカはそれを知らせるに当たって真の問題にぶち当たることになる。つまり、それが後から戦争を正当化するために《でっち上げた》証拠ではないことを、どうやって証明するのだろうか。査察団がイラクに呼び戻されるだろう。「すべての発見は、必要な条件を満たす信憑性を付与するために、国連の組織によって事実と確認されねばならない」と、昨日、国際原子力機関のモハムド・エルバラダイ事務局長は示唆した。
(翻訳=さすれば氏)
リベラシオン紙はジャンポール・サルトル氏が協力し、1973年に創刊した左翼系新聞であるが、2004年12月にロスチャイルド一族のエドアール・ロッシルド氏が株式の37%を買収、筆頭株主となってしまった。
一方で、フィガロ紙も軍需企業のダッソーの傘下に入ってしまったし、ル・モンド紙は同じく軍需企業&メディア大手(フランスにおける書籍の流通の7割を牛耳り、テレビ、ラジオ、インターネットブロバイダまで持っているらしい)の外部資本が入った。
フランスの著名知識人たちは、こういう事態に沈黙をもってこたえているそうだ。(どこも同じだな)
リベラシオンやル・モンドが、イラク戦争の時に書いたような記事が今後も書けるのかちょっと心配してしまう。
ちなみに、フランスのメディア界の経営難は、無料新聞やインターネットの影響が大きいそうだ。…
「記者クラブ」は、原則的に日本新聞協会に加盟している新聞社、通信社、テレビ局などによって組織される”業界団体”である。その業界団体が、政府や官庁などから、あらゆる情報をほぼ独占的に入手し得るのは、何か法的根拠があってのことではない。ひとえに「新聞」と公的機関との、明治以来の”相互依存関係”に支えられてのことである。
当然のこととして、この世界に例を見ない、政府と「新聞」のもたれあいは欧米の記者の目には信じられない姿と映る。
かつて、フランスの『ル・モンド』紙は、「強者にはうやうやしく弱者には無情な日本のプレスは、権力との曖昧な関係を維持している」うえ、「その激しい競争は、慎重さよりもむしろ、政財界勢力との暗黙の申し合わせに基づく自制と情報操作への加担に結びついている」(九三年十一月三日付)と、酷評したことがある。また、同じフランスの『リベラシオン』紙も、日本の新聞記者を、「ジャーナリストと、役所の広報課員との中間の位置にある」(九三年六月二十二日付)と揶揄している。
(『新聞が面白くない理由』岩瀬達哉著より)