●見せる質素、見せぬぜいたく
子どもの前では、質素を旨(むね)とする。つつましい生活、ものを大切にする生活、人間関係を大切にする生活は、遠慮せず、子どもにはどんどんと見せる。
ときに親もぜいたくをすることもあるが、そういうぜいたくは、できるだけ子どもの目から遠ざける。あなたの子どもはあなたの子どもかもしれないが、その前に、一人の人間である。それを忘れてはいけない。子どもは、一度ぜいたくになれてしまうと、そのぜいたくから離れることができなくなってしまう。こんな子どもがいた。
ある日、私の家に遊びに来ていた中学生(中2女子)が、突然、家に帰ると言い出した。理由を聞いても言わない。しかたないのでタクシーを呼んであげたら、あとで母親がこう教えてくれた。「あの子は、よその家のトイレ(便座式)が使えないのですよ」と。「ボットン便所だったら、なおさらですね……」と言いかけたが、やめた。
このまま日本が、今の経済状態を維持できればよし。しかしそうでないなら、それなりの覚悟を、親たちもしなければならない。多くの経済学者は、2015年には、日本と中国の立場が入れかわるだろうと予測している。実際には、2010年ごろではないかという説もある。すでにASEAN地域での、政治的指導力は、完全に中国に握られている。そういうことも考えると、2015年以後は、日本人が中国へ出稼ぎに行かねばならなくなるかもしれない。たいへん残念なことだが、すでに世界はそういう方向で動いている。
で、こういう状況の中、子どもにぜいたくをさせるということは、たいへん危険なことでもある。先日も、中国で使っている教科書(国定教科書)を小学生に見せたら、全員が、「ダサ~イ」と声をあげた。見るからに質素な装丁の教科書だった。しかし日本の教科書のほうが、豪華すぎる。ほとんどが四色のカラーページ。豪華な写真に、ピカピカの表紙。
アメリカのテキスト(アメリカには日本でいう教科書はない)も、豪華で、その上、たいへん大きく重い。しかしアメリカでは、テキストを学校で生徒に貸し与えたり、順送りにつぎの学年の子どもにバトンタッチしたりしている。日本では、恐らくこうした教科書産業のウラで、官僚と業者が何らかの関係をもっているのだろうが、しかしそれにしても……? たった1年しか使わないテキストを、ここまで豪華にする必要はない。カラー刷りが必要だったら、子ども自身にカラーペンで色を塗らせれば、よい。
またまたグチになってしまったが、将来、今のような経済状態が保てれば、それはそれでよい。しかしそうでなくなれば、苦しむのは、結局は子ども自身ということになる。「昔はよかった」と思うだけならまだしも、親が生活の質を落としたりすると、「あんたがだらしないから!」と、それだけで親を袋叩きにするかもしれない。よい例が、小づかい。
今どきの中学生や高校生は、1万円や2万円の小づかい程度では、喜ばない。それもそのはず。今の子どもたちは、すでに幼児のときから、そらゲーム機だ、そらソフトだと、目いっぱい、ほしいものを買い与えられている。あのプレステ・2にしても、ソフトを含めれば3万円を超える。そういうものを一方で平気で買い与えておきながら、「どうすればうちの子を、ドラ息子にしないですむでしょうか?」は、ない。
この「質素」の問題とからんで、「家庭経済」の問題がある。よく「家計はどこまで子どもに教えるべきか」ということが話題になる。子どもに不必要な不安感を与えるのもよくないが、しかしある程度は、子どもに見せる必要はある。たとえばアメリカの学校には、「ホームエコノミー」という科目がある。小学校の中学年くらいから教えている。日本でも家計簿の使い方を教えているが、アメリカでは、家計の管理のし方まで教えている。機会があれば、家計のしくみや、予算のたて方、実際の支出などを子どもに教えてみるとよい。子どもをよき家庭人として育てるという意味では、決して悪いことではない。
(02-11-7)
● 質素な生活を大切にしよう。
● 子どもには、ぜいたくは見せないようにしよう。
● 子どもには、ぜいたくな生活をさせないようにしよう。
● ある程度の家計の流れは、子どもに見せておこう。
子どもの前では、質素を旨(むね)とする。つつましい生活、ものを大切にする生活、人間関係を大切にする生活は、遠慮せず、子どもにはどんどんと見せる。
ときに親もぜいたくをすることもあるが、そういうぜいたくは、できるだけ子どもの目から遠ざける。あなたの子どもはあなたの子どもかもしれないが、その前に、一人の人間である。それを忘れてはいけない。子どもは、一度ぜいたくになれてしまうと、そのぜいたくから離れることができなくなってしまう。こんな子どもがいた。
ある日、私の家に遊びに来ていた中学生(中2女子)が、突然、家に帰ると言い出した。理由を聞いても言わない。しかたないのでタクシーを呼んであげたら、あとで母親がこう教えてくれた。「あの子は、よその家のトイレ(便座式)が使えないのですよ」と。「ボットン便所だったら、なおさらですね……」と言いかけたが、やめた。
このまま日本が、今の経済状態を維持できればよし。しかしそうでないなら、それなりの覚悟を、親たちもしなければならない。多くの経済学者は、2015年には、日本と中国の立場が入れかわるだろうと予測している。実際には、2010年ごろではないかという説もある。すでにASEAN地域での、政治的指導力は、完全に中国に握られている。そういうことも考えると、2015年以後は、日本人が中国へ出稼ぎに行かねばならなくなるかもしれない。たいへん残念なことだが、すでに世界はそういう方向で動いている。
で、こういう状況の中、子どもにぜいたくをさせるということは、たいへん危険なことでもある。先日も、中国で使っている教科書(国定教科書)を小学生に見せたら、全員が、「ダサ~イ」と声をあげた。見るからに質素な装丁の教科書だった。しかし日本の教科書のほうが、豪華すぎる。ほとんどが四色のカラーページ。豪華な写真に、ピカピカの表紙。
アメリカのテキスト(アメリカには日本でいう教科書はない)も、豪華で、その上、たいへん大きく重い。しかしアメリカでは、テキストを学校で生徒に貸し与えたり、順送りにつぎの学年の子どもにバトンタッチしたりしている。日本では、恐らくこうした教科書産業のウラで、官僚と業者が何らかの関係をもっているのだろうが、しかしそれにしても……? たった1年しか使わないテキストを、ここまで豪華にする必要はない。カラー刷りが必要だったら、子ども自身にカラーペンで色を塗らせれば、よい。
またまたグチになってしまったが、将来、今のような経済状態が保てれば、それはそれでよい。しかしそうでなくなれば、苦しむのは、結局は子ども自身ということになる。「昔はよかった」と思うだけならまだしも、親が生活の質を落としたりすると、「あんたがだらしないから!」と、それだけで親を袋叩きにするかもしれない。よい例が、小づかい。
今どきの中学生や高校生は、1万円や2万円の小づかい程度では、喜ばない。それもそのはず。今の子どもたちは、すでに幼児のときから、そらゲーム機だ、そらソフトだと、目いっぱい、ほしいものを買い与えられている。あのプレステ・2にしても、ソフトを含めれば3万円を超える。そういうものを一方で平気で買い与えておきながら、「どうすればうちの子を、ドラ息子にしないですむでしょうか?」は、ない。
この「質素」の問題とからんで、「家庭経済」の問題がある。よく「家計はどこまで子どもに教えるべきか」ということが話題になる。子どもに不必要な不安感を与えるのもよくないが、しかしある程度は、子どもに見せる必要はある。たとえばアメリカの学校には、「ホームエコノミー」という科目がある。小学校の中学年くらいから教えている。日本でも家計簿の使い方を教えているが、アメリカでは、家計の管理のし方まで教えている。機会があれば、家計のしくみや、予算のたて方、実際の支出などを子どもに教えてみるとよい。子どもをよき家庭人として育てるという意味では、決して悪いことではない。
(02-11-7)
● 質素な生活を大切にしよう。
● 子どもには、ぜいたくは見せないようにしよう。
● 子どもには、ぜいたくな生活をさせないようにしよう。
● ある程度の家計の流れは、子どもに見せておこう。