**馬耳東風**

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ヒトラーの遺言(時代は巡り)中国

2016-03-20 | 世事諸々


1944年4月30日ヒトラーと愛人のエーフアは総統官邸の地下壕でソ連軍に追い詰められて自決しています。エーフアは前日結婚式をあげていて、もはや愛人ではなく、夫婦になっていて、仕合せそうに見えたそうです。

ヒトラー自身も、敗戦の将ではあっても、世界中の非難を浴びる極悪非道の大悪人に(いつの間にか)なっていたとは露知らず、最期には穏やかな人間の表情で介添えの秘書官二人を部屋から追い出したということです。

その日、同じテーブルで最後の晩餐ならぬ昼食を共にした秘書官の記述にはそう述べられています。また、この秘書官はヒトラーの最期の言葉も伝えています。それは歴史の必然を述べているかのように、淡々と忌憚のない語調だったそうです。

「ナチズムは、呼び名は変わるにしても思想は変わらない。一世紀を待たずして、それは世界のどこかで甦り、また大戦になるだろう。しかし今度はアメリカの勝利とは限らない」

本当にヒトラーの言葉だったのかどうか、疑いはあるにしても、(捏造された雑言の一つかも知れませんが)ドイツのネオナチの台頭とは別のところで、それ以上の類似した状況が今起りかけているようにも思われるのです。

ヨーロッパの弱体化(1930年代に似ている)、フランスやイギリスの自国中心主義、ドイツの商業主義。他国のためやヨーロッパのため、世界のためという思考を、アメリカをはじめ主要国すべてが失っていると思われ,1930年代のヒトラー台頭時の状況を彷彿とさせるものだそうです。

昨年10月、中国の習近平主席がイギリスを訪問していますが、イギリスは政府・王室をあげて近年にない質実共に最高の歓迎ともてなしをした、と中国国営メディアが伝えています。中国がこの訪問の期間中に300億ポンド(5兆5千億円)規模の投資をイギリス国内で行うと表明していたからです。

あたかも中国が南シナ海の岩礁と砂洲で出来た、満潮時には水没する暗礁を埋め立て、陸地化して領土とし、飛行場を建設、周辺海域を国際法上の領海と宣言、領有権を主張して周辺国(ベトナム・フイリッピン)それにアメリカとも対立を深めていたのです。強引な領海権の確立はアメリカも周辺国も一切認めないと対立している最中だったのです。

イギリスはかってのようにアメリカの同盟国の立場はとらず、中国の主張を容認する態度、あるいは無干渉を示していたのです。

1939年、ヒトラーがチェコのズデーデン地方に侵攻、住民の多数がドイツ系であるのを理由に同地域の領有を宣言、ついでポーランドに侵攻し無血占領したときの状況に似ているのです。イギリスのチェンバレン首相は平和主義者(気弱で優柔不断)だったのでポーランドまでならと、ヒトラーを容認していたものと、数十年後に悪評価かされています。当時のヨーロッパでも各国が平和主義ならぬ利己主義の時代だったのです。

アメリカも尖閣列島については、施政権は日本にあるが日本領とまでは明言出来ないとしています。次期大統領の理解度次第ですが、尖閣列島そのものに今後は関与しないと言い出すかもしれません。世界の構図が変わり目に来ているようにも思われるのです。

中国はこれまでのやり方を見る限り、ヒトラーが近隣国に侵攻を開始した頃の様相に似ています。アメリカ・イギリスのリアクションと本気度を窺いながら、どこまでアジアに関与する心つもりがあるか、見定めながら領土・領海の拡大を目指しています。

アメリカは次期大統領次第ですが、日本への関心度が変わると思われています。ヨーロッパは、イギリス、フランス、ドイツまでが、アジアに於ける日本の比重を、すでに中国ほどには重く見てはいません。日中間の軋轢の存在すら深くは知らないかもしれないのです。

従って、中国の尖閣列島への侵攻が仮にあったとしても、干渉してくるとは当の中国も考えてはいないようです。意見も述べない無関心かも知れないのです。沖縄から米軍が軍事撤退(する可能性あり)すると、その後に中国が軍事侵攻してきてもポーランドの時のように(優柔不断に)放置するとも思われます。沖縄は本来中国に所属するものと強く主張するでしょうから。

中国が巧妙なら軍事侵攻ではなく、民間人の大移住を計り、ヒトラーがズデーデンで主張したように人口比で沖縄の領有権を主張するかも知れません。近年ロシアが同じ事をしています。ウクライナのクリミアでロシア系住民を扇動して住民投票を行い、クリミアのロシア所属を大多数が望んでいると多数決で決議(したと称して)クリミアを取得しています。

国土の所属など歴史を遡って申し立て、また現在人口の比で領有を強く主張すれば、時には戦うことなく領有できると、強国ほど考えがちです。

沖縄には長年の米国施政とその後の基地化によって、反米傾向が強く、中国にとっては思う壺かも知れません。沖縄の領有権は歴史的事由からでも(探せば)主張でき、住民の意思表示よるものと(策を弄して)主張することも可能でしょう。

案外、その日は遠くないかも知れないのです。現在、沖縄の中国人居住者は増加の一途にあるそうですから。

ヒトラーの今の評価は極悪非道の悪魔的人物像ですが、あと数百年たてばアレキサンダー大王が近隣諸国を攻めまくった話、程度の好悪に差のない評価になるかも知れません。所詮、ヒトラーも人間、時間の経過でいつの日か反転して偉大な人物像になるかも知れないのです。


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