日本でも中国の(小さな)侵略が小笠原沖にみられる騒ぎがありました。17隻の赤錆びた漁船が小笠原沖に現れたのが一昨年10月末で、11月3日にはそれが200隻を越えていたということでした。日本の領海侵犯で不法操業を承知の上、底引き網で珊瑚を,繰り返し執拗に浚う臆面のなさは見ていて不安を残すものでした。
その騒動のあった同じ週、偶然にもニューズウイーク誌(日本語版同年11/11号)が符丁を合わせたかのように、「中国の侵略」と題した特集記事を掲載していました。サブタイトルは「愛憎入り混じる世界の中国観」というものです。
愛憎の愛から先に紹介すると、「エボラ出血熱との戦いで中国は200人を越える医療スタッフを感染地域に派遣し3,800万ドル相当の医療機器支援を行い、さらに1,600万ドルの追加支援と現地アフリカ人看護師10,000人の訓練を申し出ている」というものですが、それに対して自国の共産党系新聞(環球時報)はアフリカの反応を「大きく期待されているが、動機も疑われている」と目下の微妙な状況は理解している様でした。
中国の世界各地への〔侵略〕は「イナゴのように押し寄せ、貪り尽くして、何も残さない」とニューズウイーク誌は冒頭で述べています。中央アジアのカザフスタンやトルクメニスタンそれに東南アジアのミャンマーでのすさまじい〔開発〕振りをそう評しているのです。カザフスタンでは鉱物資源を大規模に、特にレアアースを乱獲し、その多くを日本に供給(高値で売りつけた)したケースは、揶揄交じりに報道しています。
トルクメニスタンでは、資源の搾取と共に労働力の搾取もあったとしています。中国は十数年前から石油と天然ガスをトルクメニスタンで採掘、自国に向けて搬送するパイプラインの敷設と道路などのインフラ整備で、大勢の建設労働者を使役しているのですが、その待遇で不満が爆発しているのです。通例通り、中国人技術者・労働者が大挙してこの国にやって来ていますが、現地建設労働者は当然ながらその数倍で、その賃金格差が騒動のもとでした。
中国石油公司はトルクメニスタンの労働法規を無視して一日10時間労働を強制し、賃金は中国人と同一労働でありながら彼らの1/4であったと述べているそうです。その他、セクハラやパワーハラストメントなども多発、現地人を奴隷の様に処遇していると抗議していたのです。まさに過去の植民地主義そのままだとニューズウイーク誌は評していました。
ミャンマーでは国政が軍部独裁政権下にあった頃、中国は手馴れた収賄作戦で軍政府の幹部に賄賂を贈り、アジア最大の(中国人が珊瑚同様大好きな)翡翠(ヒスイ)鉱山を山脈丸ごと入手して、その採掘権と森林(ジャングル)の伐採権を取得、同時に道路・港湾建設などインフラ整備事業を請け負い、時を置かず大型機器を導入して素早い開発を行ったのです。
その後、お決まりの中国製品の大量流入、それを売る商人や建設労働者、ヒスイ加工工場に至るまで、中国人が大挙して移住してきたのです。そして、十数年で翡翠は掘り尽され、森林は切り株だけ残す保水性のない荒地に変っていたのです。その有様をイギリス人は軍隊蟻が通過したようだったと評して、それが中国悪評の最たるものとなっているのです。
スぺイン人ジャーナリスト、パブロ・カルディナルは中南米でコスタリカからチリの南端まで(足で歩いて)中国の(侵略)をリポートしていますが、その中のアルゼンチン編の一部をここに要約紹介してみます。
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスには、現在中国人は推定6万人住み、全土では30万人を越えていると言われていますが、中国人が中華人民共和国人として最初にアルゼンチンへやって来たのは2006年頃で、あたかもアルゼンチンはディフォルトに陥って破産寸前でした。IMF・世界銀行からの借款やその他の負債も返済不能で破産宣告寸前だったのです。
中国はそのタイミングでやって来て経済支援(融資)を申し出たのでした。、その見返りに求めたのはアルゼンチンにとって特に負担になるものでもなかったのです。中国人と中国製品を受け入れること、自由に制限を課さずに経済活動を認可すること、といったものでした。アルゼンチン政府に異論があるはずはなかったのです。
以来まだ10年と経っていませんが、もうこの国の小売業の約三割は中国人の手中にあるそうです。中国製品は優遇関税で大量に輸入されていて、その多くはすでにアルゼンチンの人々にとって欠かせない日用品になっているとのことです。
パブロ・カルディナルは、どの国でも、その国で活躍している中国人の事業家達に会って直接話を聞き、当事国の役人などともインタビューを重ね、忌憚のない会話から事実を煮詰め、客観的なリポートを仕上げています。
それによると、この国一番の成功者は、食品雑貨小売業のスーパーマーケット8900店舗を全国ろなるど展開しているCASRECHというシンジケートのCEO(在北京)で目下の急成長を誇り、さらに「毎月22店舗増え続けている」と豪語する無敵振りだったそうです。それまでのこの国での小売業界の主流だった、スペイン人・イタリア人の小規模店舗経営者を短期間で駆逐し、取って替わっているということです。
今もこの国に残留している中国以外の外国スーパーマーケットはアメリカのウオルマートとフランスの大手、カルフールのみで、彼らも撤退は近いと思われているそうです。CASRECHはすでにアルゼンチンの全スーパーマーケットの株式を少量のところもあるが概ね所有していると言っています。同様にして、ボリビア、チリ、エクアドル、ペルーのスーパーマーケットの多くからも株式を購入中で、それらの国への進出も近いとのことです。南米大陸すべての小売業を制覇する勢いに見えたそうです。
しかし、中国がアルゼンチンでこれまでに得た最大の成果は、制覇しつつある小売業の商権以上のもので、それは中国の一つの郡か行政区の農耕地にも匹敵する広大な(32万ヘクタールに及ぶ)土地の取得でした。10万ヘクタールをアルゼンチン政府から購入し、残りを個人地主数名から借り受ける50年契約の借地で、その契約内容は中国が指定する農作物を全ての土地で20年間作り続け、毎年その収穫量を契約値段ですべて中国に引き渡すというものでした。
その土地の所在地はパタゴニアに隣接するリオ・ネグロ州の一角で、適度の降雨にも恵まれた暖地にもかかわらず、それまで耕作不能の荒地だったので、中国の購入時の価格はわずか$200/ht というものでした。その後、灌漑用水と電力エネルギィーを導入し、大型農耕機器で耕作地に転換するとその土地の評価額は高騰して、今では時価相場で$2,000/htを越える価格になるということです。
外国ジャーナリストの目を通してみると、中国の本質(キーワード)は(膨張)となります。経済の膨張、人口の膨張、他国への侵略膨張・・・俯瞰してみると、この20年間に世界中で目を見張る浸略を行っているのが虫食い痕のように見えるのです。
イギリス・フィナンシャルタイムの直近のアンケート調査によると、イギリス フランスを含む欧州主要国では「中国が21世紀の世界のリーダーになる」と答えたものが60%を越えていたそうです。
今年はアメリカ大統領選挙の年、今予備選挙の最中ですが、いつになく混迷しているといわれています。共和党のトップランナーはドナルド・トランプ、民主党はバーニーサンダースかヒラリー・クリントン・・最終的には、それでもまだヒラリー・クリントン有望との観測とか。そして、本選挙では民主党のクリントン対共和党のトランプが大統領の地位をあらそうことになる、かも知れない・・
「やばいね、アメリカ」
トランプは未知数。クリントン夫妻は、中国企業との深い関わりが知られています。夫のビル・クリントンは前々回、大統領に就任早々、同盟国である日本や韓国は飛ばして(立ち寄らず)、中国に直行、どのような密談密あったのか、延々9日間という異例の長さで滞在し、その会談のどこかで、「アジアの事は、中国に・・」と言ったとかいわないとか。その奥さんが今や最有力大統領候補・・・
アメリカはあらぬ方向に大きく舵をきるのでしょうか。
その騒動のあった同じ週、偶然にもニューズウイーク誌(日本語版同年11/11号)が符丁を合わせたかのように、「中国の侵略」と題した特集記事を掲載していました。サブタイトルは「愛憎入り混じる世界の中国観」というものです。
愛憎の愛から先に紹介すると、「エボラ出血熱との戦いで中国は200人を越える医療スタッフを感染地域に派遣し3,800万ドル相当の医療機器支援を行い、さらに1,600万ドルの追加支援と現地アフリカ人看護師10,000人の訓練を申し出ている」というものですが、それに対して自国の共産党系新聞(環球時報)はアフリカの反応を「大きく期待されているが、動機も疑われている」と目下の微妙な状況は理解している様でした。
中国の世界各地への〔侵略〕は「イナゴのように押し寄せ、貪り尽くして、何も残さない」とニューズウイーク誌は冒頭で述べています。中央アジアのカザフスタンやトルクメニスタンそれに東南アジアのミャンマーでのすさまじい〔開発〕振りをそう評しているのです。カザフスタンでは鉱物資源を大規模に、特にレアアースを乱獲し、その多くを日本に供給(高値で売りつけた)したケースは、揶揄交じりに報道しています。
トルクメニスタンでは、資源の搾取と共に労働力の搾取もあったとしています。中国は十数年前から石油と天然ガスをトルクメニスタンで採掘、自国に向けて搬送するパイプラインの敷設と道路などのインフラ整備で、大勢の建設労働者を使役しているのですが、その待遇で不満が爆発しているのです。通例通り、中国人技術者・労働者が大挙してこの国にやって来ていますが、現地建設労働者は当然ながらその数倍で、その賃金格差が騒動のもとでした。
中国石油公司はトルクメニスタンの労働法規を無視して一日10時間労働を強制し、賃金は中国人と同一労働でありながら彼らの1/4であったと述べているそうです。その他、セクハラやパワーハラストメントなども多発、現地人を奴隷の様に処遇していると抗議していたのです。まさに過去の植民地主義そのままだとニューズウイーク誌は評していました。
ミャンマーでは国政が軍部独裁政権下にあった頃、中国は手馴れた収賄作戦で軍政府の幹部に賄賂を贈り、アジア最大の(中国人が珊瑚同様大好きな)翡翠(ヒスイ)鉱山を山脈丸ごと入手して、その採掘権と森林(ジャングル)の伐採権を取得、同時に道路・港湾建設などインフラ整備事業を請け負い、時を置かず大型機器を導入して素早い開発を行ったのです。
その後、お決まりの中国製品の大量流入、それを売る商人や建設労働者、ヒスイ加工工場に至るまで、中国人が大挙して移住してきたのです。そして、十数年で翡翠は掘り尽され、森林は切り株だけ残す保水性のない荒地に変っていたのです。その有様をイギリス人は軍隊蟻が通過したようだったと評して、それが中国悪評の最たるものとなっているのです。
スぺイン人ジャーナリスト、パブロ・カルディナルは中南米でコスタリカからチリの南端まで(足で歩いて)中国の(侵略)をリポートしていますが、その中のアルゼンチン編の一部をここに要約紹介してみます。
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスには、現在中国人は推定6万人住み、全土では30万人を越えていると言われていますが、中国人が中華人民共和国人として最初にアルゼンチンへやって来たのは2006年頃で、あたかもアルゼンチンはディフォルトに陥って破産寸前でした。IMF・世界銀行からの借款やその他の負債も返済不能で破産宣告寸前だったのです。
中国はそのタイミングでやって来て経済支援(融資)を申し出たのでした。、その見返りに求めたのはアルゼンチンにとって特に負担になるものでもなかったのです。中国人と中国製品を受け入れること、自由に制限を課さずに経済活動を認可すること、といったものでした。アルゼンチン政府に異論があるはずはなかったのです。
以来まだ10年と経っていませんが、もうこの国の小売業の約三割は中国人の手中にあるそうです。中国製品は優遇関税で大量に輸入されていて、その多くはすでにアルゼンチンの人々にとって欠かせない日用品になっているとのことです。
パブロ・カルディナルは、どの国でも、その国で活躍している中国人の事業家達に会って直接話を聞き、当事国の役人などともインタビューを重ね、忌憚のない会話から事実を煮詰め、客観的なリポートを仕上げています。
それによると、この国一番の成功者は、食品雑貨小売業のスーパーマーケット8900店舗を全国ろなるど展開しているCASRECHというシンジケートのCEO(在北京)で目下の急成長を誇り、さらに「毎月22店舗増え続けている」と豪語する無敵振りだったそうです。それまでのこの国での小売業界の主流だった、スペイン人・イタリア人の小規模店舗経営者を短期間で駆逐し、取って替わっているということです。
今もこの国に残留している中国以外の外国スーパーマーケットはアメリカのウオルマートとフランスの大手、カルフールのみで、彼らも撤退は近いと思われているそうです。CASRECHはすでにアルゼンチンの全スーパーマーケットの株式を少量のところもあるが概ね所有していると言っています。同様にして、ボリビア、チリ、エクアドル、ペルーのスーパーマーケットの多くからも株式を購入中で、それらの国への進出も近いとのことです。南米大陸すべての小売業を制覇する勢いに見えたそうです。
しかし、中国がアルゼンチンでこれまでに得た最大の成果は、制覇しつつある小売業の商権以上のもので、それは中国の一つの郡か行政区の農耕地にも匹敵する広大な(32万ヘクタールに及ぶ)土地の取得でした。10万ヘクタールをアルゼンチン政府から購入し、残りを個人地主数名から借り受ける50年契約の借地で、その契約内容は中国が指定する農作物を全ての土地で20年間作り続け、毎年その収穫量を契約値段ですべて中国に引き渡すというものでした。
その土地の所在地はパタゴニアに隣接するリオ・ネグロ州の一角で、適度の降雨にも恵まれた暖地にもかかわらず、それまで耕作不能の荒地だったので、中国の購入時の価格はわずか$200/ht というものでした。その後、灌漑用水と電力エネルギィーを導入し、大型農耕機器で耕作地に転換するとその土地の評価額は高騰して、今では時価相場で$2,000/htを越える価格になるということです。
外国ジャーナリストの目を通してみると、中国の本質(キーワード)は(膨張)となります。経済の膨張、人口の膨張、他国への侵略膨張・・・俯瞰してみると、この20年間に世界中で目を見張る浸略を行っているのが虫食い痕のように見えるのです。
イギリス・フィナンシャルタイムの直近のアンケート調査によると、イギリス フランスを含む欧州主要国では「中国が21世紀の世界のリーダーになる」と答えたものが60%を越えていたそうです。
今年はアメリカ大統領選挙の年、今予備選挙の最中ですが、いつになく混迷しているといわれています。共和党のトップランナーはドナルド・トランプ、民主党はバーニーサンダースかヒラリー・クリントン・・最終的には、それでもまだヒラリー・クリントン有望との観測とか。そして、本選挙では民主党のクリントン対共和党のトランプが大統領の地位をあらそうことになる、かも知れない・・
「やばいね、アメリカ」
トランプは未知数。クリントン夫妻は、中国企業との深い関わりが知られています。夫のビル・クリントンは前々回、大統領に就任早々、同盟国である日本や韓国は飛ばして(立ち寄らず)、中国に直行、どのような密談密あったのか、延々9日間という異例の長さで滞在し、その会談のどこかで、「アジアの事は、中国に・・」と言ったとかいわないとか。その奥さんが今や最有力大統領候補・・・
アメリカはあらぬ方向に大きく舵をきるのでしょうか。