**馬耳東風**

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来年は、米中の親密化・日米の希薄化?

2016-03-22 | 世事諸々

アメリカの大統領選挙の勝敗予測が(日本政府にも)ようやく届いたのか、今まで歯牙にもかけていなかったドナルド・トランプ候補の確かな浮上に留意し、今後チームを作ってトランプ対策にも取り組むとニュースの片隅に報じられていました。

元ニューヨーク市長でトランプ以上といわれる富豪のマイケル・ブルームバーグが(トランプ大統領)だけは阻止したいと、自ら二大政党外で立候補すると宣言していたのですが、先般、それを取り消したので、11月の本選挙でヒラリー・クリントンとドナルド・トランプ、の争いになるのはほぼ確実となりそうです。

ブルームバーグは12年間のニューヨーク市長時代に穏健な人格と穏当な政策、同性婚も認めた非差別主義者で広汎な人気と支持をえていて、人格見識ともに現在のどの候補より優れているともいわれ、大統領選に出馬すれば・・と長らく望まれながら今回も空振りに終わったのです。

ユダヤ系でユダヤ教徒というのが重いブレーキで、ユダヤ人はアメリカ大統領にはなれない、というジンクスをブルームバーグでも破れなかったようです。

ヒラリー・クリントンの親中国の度合いは深く、現在の選挙資金の大口の幾つかが在米帰化中国人富豪からのもの(違法ではない)といわれています。オバマ大統領が就任直後、国務長官だったヒラリーが(夫のビル・クリントン大統領当時からの)アジア政策での中国重視を助言していて、そのため日本・韓国軽視外交になったものと(日本政府は)理解していたようです。

ヒラリー。クリントン次期大統領では不安が大きく、ドナルド・トランプは未知数でも選挙中の言動から親日的とは言えず、外務省筋はあれやこれや屋上屋を重ねる推測・憶測に眠れない日々を過ごしているようです。

中国はどうみているか?

中国からみるとヒラリーは意中の人物で、ドナルドでもそれほど悪くはない、彼は人権主義者でも、人道主義者でも、非差別主義者でもなく、アメリカ式正義漢でも勿論ない・・その範疇から遠く離れた圏外にあるのがドナルド・トランプとみているからです。

本質は(ドイツ人ではあるが)シエークスピアのベニスの商人のスピリットで成功した、金銭万能主義者で、判断基準は利益の多寡であり、利を提供すれば御しやすい人物、と分析されているかも知れません。その証拠に・・・

昨年10月、習近平主席はアメリカ最後の公式訪問でオバマ大統領を直接訪問と思いきや、最初に降り立ったのはワシントンDCではなく、西海岸のワシントン州シアトルでした。

最初の訪問先はシアトル郊外のボーイング社で、そこでは大型旅客機300機を(いきなり)正式発注、同時に737型機の組み立て最終工程施設(工場)を中国国内に作ることを要求、条件にして、前例のない大量契約を結んでいます。

次いで、米中ビジネス・ラウンドテーブルと称する、アメリカのトップ企業の経営者との懇談会を開催しています。
出席者はマイクロソフト、アマゾン、アップル、IBM、アリババ、といったトップ企業のほか30社に及んでいます。

その後の晩餐会で
キシンジャー元国務長官
ヘンリー・ポールソン元財務長官
ビル・ゲイツ夫妻 
などと旧交を温めたそうです。

同じワシントン州内で、信じられないことながら、アメリカの原発企業とのジョイント・ベンチャーとはいえ、原子力発電所(数基)の受注に成功していると報じられています。

翌日、サンフランシスコに移動、その郊外のビル・ゲイツ邸を訪問、中国でボイコットされているGoogle解禁問題など長時間滞在して極秘の話し合いをしたとされています。(外国通信)

ついで、カリフォルニア州庁舎を訪問、懸案のロスアンジェルス・ラスベガス間の新幹線建設を正式に受注したと報じられています。前州知事のシュワルツネガーが来日の折、試乗し絶賛した新幹線は、結局中国に発注されていたのです。

政治家というより実業家のドナルド・トランプの感性なら、大統領になると、おそらくこの習主席の訪米時の精力的な経済活動を高く評価するに違いありません。中国非難は直ぐにも解消して、より親密なウインウインの経済協力関係に両国を発展させるとでも表明するかも知れません。

習近平主席は先を見越して、いずれの大統領候補にも有無を言わせぬ布石を敷いていたかに思えます。

ここまで経済界に深く浸透されると、アメリカの新大統領も、中国のアジアに於ける摩擦などに深く関与するつもりはない、と宣言するかも知れません。世界中で露骨な自国優先の時代が、はや始まっているのです。

日本に対しては為替の不均衡を言い立て、また日米安保条約の不公平を指摘、変更を迫る、ような事態になるかも知れません。トランプの民間の同業者が(いみじくも)述べているように、トランプ式ビジネス交渉術は、とにかく自分の要求を大声で怒鳴り、憎言悪語で相手を貶め(古いタイプのユダヤ商人)さながらにことを運ぶというものです。

国が相手でも、それは同じかも知れません。日本にも試練のときが訪れそうです。

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