【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

未知なる深海へ 高井 研 =024=

2018-04-27 06:12:16 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

 青春を深海に掛けて=高井研=   

  第二話 JAMSTECへの道・前編   

◇◆ その2 深海か、毒か =1/2= ◆◇ 

1991年、京都大学農学部3回生の高井研は、春から始める専門研究のテーマを選ぼうとしていた。教官から薦められたのは毒ウイルスか、深海に生きる超好熱菌か。高井は即答した。「時代は分子生物学なんで。毒ウイルスの研究がいいです!」 そして毒ウイルスを研究する先輩のもとを訪れるが・・・・・・

紹介された先輩は、現在、独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所の長崎慶三博士だった。 長崎さんは、石田先生-左子先生をたらい回し中のボクの話を聞いて、「おおお、毒がやりたいんか、活きのええ若者(ドレイ)が来た」と喜んだが、ボクの同級生が既に「毒遺伝子」をやりたいと言ってきたことを理由に「先生達がなんと言うかな」と不安な表情を見せた。

さすが「チョー生意気」なボクは、「ボクのような優秀かつ情熱に溢れた将来有望の博士課程進学予定者がその研究をやりたいと言っているのに、やらせないアホ大学教官は吊し上げてやりますよ」と言って意気込んだ。 男気溢れる長崎さんは「そこまで言うなら、よし、一緒にやろう」といってくれて、早速、同じ研究テーマ希望のもう一人の同級生と一緒に、決起集会を開くと言って飲みに連れて行ってくれたのだ。

やるでやるで。 あこがれの分子生物学&海外留学。 目指せノーベル医学・生理学賞。 打倒、利根川進! ボクはジュリアナトーキョーなど忘れてこれからの研究に意気揚々だった。 ところが数日後、長崎さんがクラーい顔をして現れた。
「タカイ君。まずいわ~。まずいことになったで~」

どうやら英国紳士然の左子先生が、ボクをイタク気に入ったらしく、「アイツには超好熱菌の研究をさせたい」ということで、ボクの知らないところで長崎さんにギュウギュウとオトナの圧力を掛けているらしいということだった。 長崎さんも「もう、キミ、超好熱菌の研究でええやん」といってボクのことはもはや投げ出しがちの様子だった。

でも一つだけとても心に残る事を言ってくれたのだ。 「タカイ君、よう聞きや。博士課程までの研究というのは人生を賭けるテーマとちゃうんやで。 研究のライフテーマというのを探す能力や知識、研究に対する世界観を養う期間なんや。 そやから、今選ぶ研究テーマをこれから先ずっとやるわけではないんやから、いろんな事を学ぶことのできる学際性というのが重要なんとちゃうかな」

聞くからに苦し紛れの「言い訳」っぽかったが、ボクはちょっぴり心動かされた。 まるで「言い訳」っぽかったけど、まったくその通りだと思った。 それに水産微生物学研究室のエース、左子先生にそこまで目を掛けてもらっているという話を聞いて、ボクは単純に嬉しかったのだ。

それでもやはり、毒ウイルスや毒遺伝子のテーマは捨て難いものがあった。 それまでも、その後も、あんまり人生に悩んだことのないボクだが、ちょっと悩んだ。 その晩、森直樹という友人(現在、大阪府立大学工学研究科知能情報工学分野准教授)に相談してみた。

そうすると、数学・物理・情報系の森はあっさり結論を出した。 「そら、超好熱菌の方がおもしろいやろ。オレやったら超好熱菌の研究選ぶわー。生命の起源の方が絶対おもしろいやん。なんか分子生物学って体の分子を全部調べたら生命現象が説明できるという指向っぽいけど、それで生命現象を理解できるとはとてもオレは思わんけどね」

ボクは分子生物学をバカにされてムッとしたが、かなり視界が開けた気がした。 持つべきものは友よ!そしてなんと頭のいい友よ!森の言うことは、ある意味、今のボクが言いたいことそのままだな。 うむ、確かに。ロマンで考えたら、絶対、分子生物学より生命の起源の方がスケールでかいわ。

そして約束の1週間後、再び左子先生に会いにいったボクは、晴れやかな表情で、「超好熱菌の研究をします。 生命の起源を解き明かしたいと思います。 よろしくお願いします」と言った。 左子先生はとても嬉しそうだった。 そして、研究テーマも決まったし、留学先を決めようかと言う話になり、左子先生が3つくらいの研究者を推薦してくれた。 そのなかにアメリカのシアトルにあるワシントン大学海洋学部のジョン・バロスという名があった・・・・・・。

超好熱菌の不思議な魅力

1年とすこし経った1992年初夏、ボクはいっぱしの「超好熱菌」研究者気取りの修士1年生だった。 やると決めた「超好熱菌」の研究は、実際のところ、生命の起源の謎など遙か宇宙空間の先にあるような遠い繋がりでしかない研究だったが、毎日とてもエキサイティングだった。

ボクは長崎県島原半島、雲仙普賢岳の西に位置する小浜温泉の沖にある水深の浅い海底温泉をメインフィールドに、誰も見つけたことないような超好熱菌の培養に取り組んでいた。 それともう一つ、超好熱菌のタンパク質の熱安定性について研究を進めていた。

=有人潜水調査艇・しんかい6500=

支援母船「よこすか」

「しんかい6500」はそれ単体では機能しません。調査航海に出るときは必ず支援母船に乗せて世界中の海へ調査に出かけます。その支援母船が「よこすか」です。「よこすか」には潜水船を整備するための格納庫、着水揚収するためのクレーン、潜水船の位置を測る測位装置、そして研究者が海底で採取したサンプルを研究するための研究室(ラボ)などがあり、「しんかい6500」の基地であると同時に「浮かぶ研究所」の役目も担っています。
「しんかい6500」は年によって行き先は変わりますが、おおよそ年間180~200日程度はこの「よこすか」と一緒に世界中の海で調査研究を行っています。

乗船者

「しんかい6500」には2人のパイロットと1人の研究者の合計3人が乗船し、海底で色々な調査研究を行っています。巨大地震が起こるメカニズムや地球内部の動きを調べ、あるいは光がなく高圧低温という特殊環境下に息づく生き物たちの生態を調べることで、深海という窓を通じて地球全体の成り立ちやしくみを研究しています。
ハッチ(出入口)を閉めてしまえば、海底まで行っても中は大気圧のままなので、乗員は水圧の影響を全く受けませんし、減圧症の心配も全くありません。もちろん、潜水船に乗るための特別な訓練は一切不要なので、これまでに老若男女色々な方が潜航しています。

・・・・つづく・・・

動画 : しんかい6500

https://www.youtube.com/watch?v=hllJvgHvGGQ

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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