田舎暮らしの翻訳者 (My way of learning English)

海外ドラマや音楽を通して英語を学んでいる技術翻訳者のブログです。タイトル通り、田舎暮らしです。

学校の英語

2011年02月15日 | 学問

我が家の子どもたちは、結構まじめに勉学に励んでいます。

金銭的余裕も、時間的余裕もないし、距離的な問題もあるため、塾には通っていません。

自宅で学習している時間が長いので、仕事の合間に時々ちょっかいを出しに行きます。たまたま英語の教科書や問題集を開いていたりすると、「Any question?」と話しかけます。子どもが「No」と答えても、しばらく様子をうかがいます。すると、たいてい、「お父さん、この単語はどう発音するの?」とか「この文のここの語句はどういうつながりなの?」という質問がきます。

以前から「英語は文型が大切」と言い続けているため、娘もそのあたりは心得ています。誤解していそうな単語を辞書で調べてみせてやると、「ああ、そうか」で解決します。

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いくら元英語教師だとはいえ、内容も確認せずに答えられるわけはありませんから、長文のときには、一通り読んでから質問に答えます。一応、娘には翻訳を生業とする人の読む速度を体感しておいてほしいので、わざとらしいほど速く読みます(子どもには、もっと高いレベルを目指して欲しいですから)。

読みながら気づくのですが、最近の英語の教科書って、結構内容がおもしろい。朝補講用のテキストにしても、CDまで付属しています。リスニングテスト対策なのでしょうけど、なんだか私たちが学生だった頃とは雲泥の差。これでリスニング力が向上しなかったら、おかしい。

ただ、問題集に採用されている長文問題の出典がわからないのは相変わらずのよう。これって、著作権法上問題はないのでしょうか。誰が、いつ頃、どんな目的で書いたかわらかないので、たかだか300ワード前後抜き出されていても、実際の主張や物語は「?」のままですからね。長文問題で興味を持っても、その原文を読むというところには至らない...。

ここまでは、高校の英語の話。中学校の英語は、ちょっと違った意味でおもしろい。

以前、娘の英語ノートを見ていたら、

I have lived in Kagoshima since five years ago.

という英文があったので、「中学生がよくやる間違いだなあ」と思い、「こういう言い方はしないんだよ」と指摘すると、子どもからは意外な反応。「え、これは先生が黒板に書いた文だよ」と。驚く私を横目に、娘は「え、じゃあ、本当はどんな風に言うの?」と冷静に聞き返しました。

こんな状況のときには、「I have lived in Kagoshima for five years.」が普通。

since five years agoを使う表現は、明らかに日本語(5年前から)の影響を受けたもので、直訳という感じ。もちろん、日本人がこの言い方をしても、解釈が限られるため、英語のネイティブスピーカーには恐らく理解してもらえます。でも、for five yearsを使った文に言い直されることでしょう。「通じる」で満足するのであれば良いかもしれませんけど、「自然な表現、正しい表現」にこだわるのなら、使わない方が無難です。

以前、高校で教えていたとき、このsince five years agoを使った英文を英作文で書いた生徒がいました。念のため、どの辞書で調べても、参考書で調べても、例文として使われてはいません。学校に来ていたALTに質問しても、「そうは言わない」とのこと。

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この表現自体は気になったので、米国に住んでいるときにも、学校の英語教師や一般人に尋ねて調査しましたが、I have lived here since five years ago.のような英文を異口同音に「不自然だ。そんな言い方はしない」と評しました。ちなみに、先日、ヨーロッパの取引先の人(英語を母国語としない人)に尋ねてみたら、やはり答えは同じでした。

日本語では「○年前から(今まで)」という言い方をよくするため、sinceの方が先に浮かぶのかもしれません。でも、sinceの意味にtill nowまたはtill then(過去完了形の場合など)が含まれ、agoにfrom nowの意味合いが含まれていることを考えると、since five years agoという表現がおかしく聞こえるのはわかる気がします。

この「誤り」ですが、高校入試前だったので、学校の先生に知らせておかないとと思い、後日、ついでを装って何気なく指摘したら、先生曰く「でも、問題集の解答に書いていますよ」と。

仕方ないので、さらに数日後、英語担当の別の先生に伝えたら、「その問題は、私たちも気になったことがあったので、前にALTの先生に質問して確認したことがあります。ご指摘のとおりです。生徒たちにも訂正しておきます。最近は問題集の解答もいい加減なものが多くて...」といった趣旨の回答。確かに、学生向けの英語問題集の解答には、「?」と首をかしげたくなるものも目立つ。

学校から持ち帰った英語のプリントを見て、「おいおい」と思う反面、「私も英語を教える場所があればなあ」と思います。教材に工夫するのは大好きなんですけどねえ。せっかく、技術英語を18年ほど見てきていますから、工業英語の授業などおもしろそうなのですが...。


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