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第2508号 「福祉に重点をおいた経済」アマルティア・センの論評から

2009-03-13 07:51:18 | 経済
【経済学者セン】
Amartya Sen ハーバード大学。ノーベル経済学賞受賞。インド出身。
The New York Review of Books
第56巻第5号 2009年3月26日付に掲載された論評

Capitalism Beyond the Crisis

タイトルを意訳すると、
「今回の経済危機を機会に資本主義の本質を長期的な視野で考える」といったところです。
私のブログタイトル「福祉に重点をおいた経済」は、さらに私が内容を補ってつけたもの。
*写真は、そのダウンロードしたもの。6ページ余りあります。
*もともとは、ハーバード大学経済学教授のマンキューのブログ3月11日付の記事にリンクされていたものです。

【日本でも】
私のこのブログでも、
○ 湯浅 誠さんの著書を読んでいたときに、湯浅さんの「溜めの議論」のもとになった思想として紹介しました。
2008.10.28 第1765号
2008.10.05 第1651号
2008.10.04 第1647号
2008.10.03 第1639号

○ 成年後見の原理に関する細川瑞子さんの著作にも何度か出てきました。
2008.02.29
2008.01.27

【この論文で言っていること】
○ 今回の経済危機をきっかけに、少し長いスパンで考えておく必要がある。

○ 1776年 1759年のアダム・スミスの古典とピグーを紹介、その現代的な意味を問うている。

○ スミスやピグーの時代から、市場にだけは任せてはおけない、という思想だった。

○ 特に、教育、医療、交通などの分野の公共性を強く意識していた。

○ アメリカのオバマ政権の政策方向も、この流れで理解すべきだ。
 *アメリカにおける4000万人もの無保険者のことを再三言及している。

○ 中国も、1979年の政策転換以降、経済は発展したが、医療は停滞した。このため、中国の平均寿命の伸長の動きは停滞した。

○ 今回の経済危機では、ヨーロッパが社会不安を起こさないでおれるのは、手厚い失業保険給付のおかげだ。さらに、医療についての公共的な責任が徹底している。

○ アメリカにおいても、中国においても、公共的な医療は
should be central elements in tackling the economic crisis
(経済危機への対応の中心的な部分であるべきだ)

【私の感想】
日本での社会保障の論議の骨筋が弱いのは、センのような整然とした論議がすくないことにある。どの論者も、企業優先、財政優先のラインを前に腰が引けている。

中国の医療費政策とアメリカの医療費政策とを同様な位置づけで考察している部分が興味深かった。

センの英語は、センテンスが長いし、経済思想のある程度の知識を前提としていて私などには難しいが、簡単にダウンロードできるので、博士課程在籍者などには一読をお薦めします。
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1 コメント

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国際的な視点 (陳)
2009-03-13 15:11:34
しっかり読みたいですが、意味が分からない際には、またお願いします。

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