介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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第12章 社会保障と民間活力

2008-01-14 15:14:24 | 社会福祉
【経過】
京極高宣『社会保障と日本経済』
第12章は、「社会保障と民間活力」です。
・・前回、まくらだけで終わってしまった。

内容は、2つの節に分かれていて、
第1節 規制緩和と民間活力
第2節 市民の力とNPO
です。

【社会保障にとって規制緩和とは?】
第1節で著者がいわんとしていることは、
社会保障の分野も規制改革と民間開放の「聖域」ではない(p271)
という点にあります。

公共性   common goods p275
公共哲学  p276
企業の社会的責任 CSR、Corporate Social Responsibilities p276
など
最近の概念にも触れられているが、

この節の著者の分析の出発点は、
「日本の社会保障は公的に運営されている」という前提があるようだ。

【日本では、社会保障の運営は民間部門に丸投げされてきた】
日本では、介護保険制度ができるまではいわゆる「措置費」によって高齢者の介護サービスが行われてきた。
費用面では、公的な色彩があるが、実際の運営は、社会福祉法人の運営する特別養護老人ホームで担われてきた。

医療保険の場合はどうか?
医療費の支払いシステムは公的な健康保険制度によって、公的な顔つきをしてはいるが、日本の医療サービスの供給組織は、医療法人という形の民間組織が中心ではなかったのか?

【国際比較的に特異な形態】
ヨーロッパの場合と比較すれば明確なように、日本の社会福祉サービスや医療サービスで必要なのは、その民間組織への丸投げ的な構造を改めて公的な責任を徹底することだと思われます。
だから、著者が前提とする「福祉にも規制緩和」という現状認識には重大な事実認識の誤りがあります。

【なぜ、日本では医療や福祉が公共サービスとして発展しなかったか?】
それには、日本社会がもつ公的組織への深い絶望があるとも思いますが、話が大きくなってきたので、この点はこれからこのブログの読者のご意見も聞いて議論を深めたいです。

【コムスン事件は予想?】
介護保険の事業者の不正に触れたところ(p281)では、株式会社の不正の多いことに警鐘を鳴らしてはいます。それでも、「医療その他の社会サービス部門においても規制緩和と民間活力導入を推進することは避けられない状況」と明言している。

【NPOの評価】
NPO法(1998)による17項目のNPOの種別のうち、社会保障が57.5%と過半数を占める(p287)。「公的な組織」がしっかりした上でのNPOの活躍を期待することは時代の流れとはいえます。
ですが、「おおまかな推計」とはいえ、2500億円の資金投入で2兆2000億円の効果という試算(p296)は唐突ではないかなぁ。

【次回以降】
第Ⅴ部 社会保障の負担と給付
に入ります。
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